[東京 15日 ロイター] – 日韓の防衛当局は15日、北朝鮮が弾道ミサイル2発を東の方向へ発射したとそれぞれ発表した。防衛省によると、ミサイルはいずれも日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下。米韓が大規模な合同実弾演習を実施した翌日で、北朝鮮は国営メディアを通じて非難していた。
防衛省によると、北朝鮮は午後7時30分ごろ、西岸から少なくとも2発のミサイルを東へ発射。いずれも石川県舳倉島の北北西約250キロの海域に落下したと推定している。
1発は飛距離約850キロ、もう1発は約900キロ。2発とも高度は約50キロで、変則軌道で飛翔した可能性があるという。韓国軍は2発とも短距離ミサイルで、約780キロ飛行したと分析している。
岸田文雄首相は国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合後に記者団に対し、「関連する安保理決議に違反し、国際社会全体への挑発をエスカレートさせる暴挙」と述べ、北朝鮮に厳重に抗議したことを明らかにした。その上で、「引き続き日米、日米韓と緊密に連携していく」と語った。被害の報告はないという。
日米韓3カ国の外交当局は局長級の電話協議を開催。複数のミサイルを日本のEEZ内に落下させたことを強く非難した。この日は日本の秋葉剛男国家安全保障局長、米国のサリバン大統領補佐官、韓国の趙太庸国家安保室長が東京で北朝鮮情勢などについて協議していた。
韓国軍と米軍は14日、大規模な合同実弾演習を実施。北朝鮮は15日、国営朝鮮中央通信(KCNA)を通じて非難する声明を出し、1時間もたたずにミサイルを発射した。
会見した松野博一官房長官によると、自衛隊は迎撃ミサイルによる破壊措置を実施していない。北朝鮮は5月下旬に失敗した軍事偵察衛星の打ち上げを再度行う方針を表明しているが、松野官房長官は「いわゆる衛星と称するものとは違うと考えている」と述べた。