日銀、金融政策の現状維持を決定 10年金利の変動幅も据え置き<ロイター日本語版>2023年6月16日12:15 午後
[東京 16日 ロイター] – 日銀は15―16日に開いた金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を全員一致で決めた。マイナス金利、10年物国債金利の誘導目標ゼロ%をいずれも維持し、10年物国債金利の変動幅もプラスマイナス0.5%で据え置いた。物価は、輸入物価高からの価格転嫁の影響が後退する中で「今年度半ばにかけてプラス幅を縮小していく」として、従来の表現を維持した。
短期金利は、引き続き日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用。長期金利は、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行う。
日銀は10年物国債0.5%での指し値オペを「明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日実施する」と改めて表明した。金融市場調節方針と整合的なイールドカーブ形成を促すため、大規模な国債買い入れを続け、各年限で機動的に買い入れ額の増額や指し値オペを実施する。
金融政策運営について、内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金上昇を伴う形で2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指すとした。
物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続すると改めて表明。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続するとした。引き続き企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに「必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和を講じる」と明記した。
<物価の先行き、表現を維持>
景気は、過去の資源高などの影響を受けつつも「持ち直している」との判断を維持した。先行きは、今年度半ばころにかけて海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要に支えられて「緩やかに回復していく」との見方を示した。
コアCPIの前年比は足元で3%台半ばとなっているものの、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰していく中、「今年度半ばにかけてプラス幅を縮小していく」との予想を維持した。
海外の経済物価動向やウクライナ情勢、資源価格の動向などが引き続きリスク要因になると指摘。日本経済を巡る不確実性は「きわめて高い」状況で、「金融・為替市場の動向やその日本経済・物価への影響を十分注視する必要がある」とした。
(和田崇彦、杉山健太郎 編集:内田慎一、田中志保)
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