- 米国のディスインフレ圧力、米小売売上高、日銀の金融政策姿勢
- 今年最大の新興ファンド誕生、半導体不足の再燃を予想
この夏は世界各地が猛暑に見舞われています。米国立気象局(NWS)によると、アリゾナ州フェニックスでは18日連続で最高気温がカ氏110度(セ氏43度)以上となり、1974年6月に記録した過去最長に並びました。欧州でもギリシャやイタリアなど各地で熱波が続いています。高温の空気が巨大な高気圧の塊の下に閉じ込められるヒートドーム現象。現在、メキシコ北部から米南部にかけての一帯と北大西洋、北アフリカ、南アジアの4地域でこのヒートドームが形成されています。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
ディスインフレ圧力
イエレン米財務長官は、米国の労働市場を冷めつつあるが失速はしていないと表現し、それがインフレ減速に大きく寄与していると指摘した。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれているインドでブルームバーグ・ニュースとのインタビューに応じ、「企業側の雇用需要の強さは後退した」と述べ、「労働市場は実質的な苦痛を伴うことなく冷めつつある」と続けた。また住宅費と自動車価格も引き続きコスト圧力を押し下げる要因になる可能性が高いと指摘。企業利益による影響もあり得るとし、複数の要因がインフレを下押ししているとの見方を示した。
基調は堅調
6月の米小売売上高は前月比0.2%増と、伸びが市場予想(0.5%増)を下回った。一方で、家計支出の基調的な指標は消費が堅調さを増したことを示唆している。国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は前月比0.6%増。前月の伸び率(0.3%増)の2倍に加速した。
目標との距離
日本銀行の植田和男総裁は18日、日銀が目指す持続的・安定的な2%の物価目標までに距離があるとの認識に変化がなければ、粘り強く金融緩和を続ける姿勢も変わらないとの見解を示した。植田総裁はG20財務相・中央銀行総裁会議の終了後に記者会見し、物価目標実現には距離があるとの認識を踏まえて、「金融仲介機能や市場機能に配慮しつつ、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の下で粘り強く金融緩和を続けてきた」と説明。その上で、目標との距離や見通しを毎回の金融政策決定会合できちんとチェックし、「その前提が変わらない限り全体のストーリーは不変だ」と語った。
今年最大
シタデルの元トレーダー、ジョナス・ディードリッヒ、デーブ・サットン両氏が新たに立ち上げたヘッジファンドが当初の目標を上回る資金を調達し、今年最大の新興ファンドが誕生した。関係者によると、ロンドンを拠点とするアイレックス・キャピタル・パートナーズは、7月1日に顧客資産18億5000万ドル(約2600億円)で取引を開始した。今月中にさらに数億ドルを調達する方向にあり、8月1日には資金の受け付けを停止するという。両氏は当初、約17億ドルの調達を目指していた。
半導体不足は再燃も
自動車大手ステランティスは半導体不足が再び顕在化すると予想している。電気自動車(EV)の需要が拡大する一方で、地政学的リスクが高まっていることが理由。同社の「ジープ」ブランドで半導体調達を統括するヨアヒム・カーマン氏は、自動車のソフトウエア機能が急増するのに伴い、今後数年で半導体需給が再び極度に逼迫(ひっぱく)するリスクが「著しく高まる」とみている。
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