• FRBの結束脅かされる、「ポスト利上げ」時代、史上最速Uターン
  • 「シャンシャン総会」は過去のもの、「オマハの賢人」好機疑わず
A worker places vinyl records in sleeves at the United Record Pressing LLC facility in Nashville, Tennessee, U.S. Photographer: Eilon Paz/Bloomberg

26日終了の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25ポイントの利上げがほぼ確実視されており、焦点は年内の追加利上げの有無に移っています。先行きを左右するのはインフレ鈍化ペース。イエレン米財務長官は先頃、働き盛り世代の労働参加率が上昇している点に触れ、これが賃金上昇圧力を和らげてインフレ抑制に寄与しているとの考えを示しました。足元で働き盛り世代(25-54歳)の労働参加率は2000年代初頭以来の高水準。男性はなお新型コロナウイルス流行前の水準を下回るも、女性に限れば過去最高を更新しました。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

タカ派VSハト派

米連邦準備制度はインフレとの闘いにおいて極めて重要な局面を迎えた。利上げをいつ止めるか、ピーク金利をいつまで維持するかについて、意見の相違が深まり始めている。FOMC参加者は大きく3つのグループに分かれている。タカ派は政策を引き締める用意があり、インフレを強く警戒。ハト派は雇用創出を優先する緩和政策を志向する。中道派はその中間の立場だ。グループ間の見解の隔たりが大きくなるに伴い、金利の先行きは不透明になり、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が在任中に維持してきた結束が脅かされつつある。

「ポスト利上げ」突入

ウォール街は米金融政策当局による引き締めが終わりに近づいているとの確信を強めており、資産運用担当者はすでに、まるで利上げが過去のことであるかのような戦略に転じている。JPモルガン・アセット・マネジメントは株式に資金を精力的に投入し、インベスコでは少なくとも1つのファンドが従来の慎重姿勢からポジションを一転させた。データトレックによれば、投資家は目下、マクロをテーマにした取引ではなく、個別銘柄の売買にシフトしている。

史上最速Uターン

ユーロ圏経済は弱く、欧州中央銀行(ECB)の金融政策は史上最速のUターンを強いられる。こうした展開にオプション市場のトレーダーが賭けている。短期金融市場では、ECBが今週の0.25ポイントを含めあと2回の利上げで中銀預金金利を過去最高の4%とすることが有力視されている。しかし、オプション市場は2回目の利上げが行われず、成長への過度の打撃を避けるために早ければ9月にも利下げがある可能性を示唆する。9月利下げなら、世界金融危機の発生で緊急利下げに踏み切った2008年よりもさらに素早い方向転換となる。

株主の監視強まる

今年の株主総会では、日本を代表する著名企業の経営トップの取締役選任を巡って賛成率が急落するケースが相次いだ。企業統治(コーポレートガバナンス)への意識の高まりから投資会社や議決権行使助言会社が基準を設けたことで判断が厳格化していることが背景にある。会社側が提出した議案が大きな反対もなく議決される「シャンシャン総会」は過去のものとなり、経営者は取締役の構成から資本効率の改善まで、さまざまな点において株主の声に配慮する必要に迫られている。

好機疑わず

著名投資家ウォーレン・バフェット氏は、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)発生後間もなく、石油・天然ガス業界への数十億ドルの投資を行い、過去最高の業績が相次いだ2022年には、その成果を実感した。ところが「オマハの賢人」は、巨額の利益を得るために権益を今年処分することはせず、むしろ投資を拡大したいと考えているようだ。バークシャー・ハサウェイは、商品価格の押し目の機会を捉えて、同氏が選好する石油・ガス投資の一部を大きく積み増そうとしている。

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