[東京 16日 ロイター] – 9月末に終了予定の物価高対策の延長の是非を巡り、政府は近く、議論を本格化させる。複数の政府関係者がロイターの取材に答えた。8月中にも結論を出したい考え。

政府は物価高対策として、ガソリン・電力・ガス料金の支援策を実施しており、10月以降の延長について、自民党政調幹部は「お盆休みの状況を見て判断する」とこれまで繰り返している。

こうしたスケジュール感を受けて、政府内でも、「早ければ今週末以降に議論が始まる」(経済官庁幹部)との声が出ている。

ただ、延長すべきかどうか、また、その規模や内容に関しては政府内でもさまざまな意見が聞かれ、集約はこれからだ。

経産省の幹部は「価格が落ち着いてきた電力・ガス支援策は予定通り9月で終了し、ガソリンは延長が落としどころではないか」と予想する。

一方、財務省の幹部は「ガソリン支援は9月終了を一度決定済み。延長するのは電力・ガス支援ではないか」と話している。

与党からはすでに延長論を主張する声が聞かれる。ある自民党の閣僚経験者は「年内の解散・総選挙を岸田文雄首相が目指すのであれば、ガソリン・電力・ガスのいずれも支援延長は当然」と言い切る。

<ガソリン13週連続上昇、15年ぶり高水準>

経済産業省が16日発表した今月14日現在のレギュラーガソリン全国平均小売り価格は前週比1円60銭高い、1リットルあたり181円90銭と13週連続で値上がりした。

原油価格上昇と円安進行に加え、ガソリンに対する補助金の補助率が6月から段階的に引き下げられていることが影響した。ガソリン小売価格は15年ぶりの高値水準にある。

ガソリン価格支援策として、政府は2022年1月から石油元売り会社に補助金を支給している。一時1リットルあたり35円補助していたが、今年からは段階的に補助金額を引き下げている。

電力・ガス料金支援策「激変緩和対策事業」は政府が2022年度補正予算に約3.1兆円を計上し、今年1月使用分(2月検針分)から9月使用分(10月検針分)までが対象だ。

支援額は、家庭用電気料金で1キロワット時あたり7円、家庭用都市ガス料金で立法メートルあたり30円。

資源エネルギー庁によると標準的な家庭で、電気料金は月1820円、都市ガス代で月900円の負担軽減効果がある。9月使用分(10月請求分)は支援規模が同3.5円、同15円に半減する。

後藤茂之経済財政相は15日の会見でガソリン、電気・都市ガス補助金の延長是非について、「物価や経済、燃料価格動向をみて適切に対応を考えたい」と述べている。

(竹本能文)