[東京 1日 ロイター] – 日銀が1日発表した「債券市場サーベイ」の8月調査によると、債券市場の機能度に対する市場参加者の見方を示す機能度判断DIはマイナス40となった。前回5月調査(マイナス46)から持ち直した。DIの改善は2回連続。イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用柔軟化を受け、日銀が積極的な金利上昇抑制に動かなかったことで、市場機能の改善が続いた。
機能度判断DIは機能度が「高い」と答えた割合から「低い」と答えた割合を差し引いた数字で、マイナスの数字が大きいほど市場機能が低下していると判断している市場参加者が多いことを意味する。
調査期間は8月1─7日、日銀の国債売買オペ先や大手機関投資家など70社を対象に調査を行った。日銀の担当者によると、YCCの運用柔軟化で金利の変動余地が拡大したことで機能度が改善したとの回答が寄せられた。その一方で、調査期間が7月会合の直後に当たり、判断が難しいとの声も出ていたという。
機能度判断DIのうち「3カ月前と比べた変化」はプラス15と2回連続のプラスとなった。20年8月調査以来の高水準。
機能度や流動性に関する各論で、改善が目立ったのは取引頻度。前回のマイナス27からマイナス14に改善した。一方、運用柔軟化の決定後に相場が動いたこともあり、ビッド・アスク・スプレッドや取引の厚みは改善しなかった。
<金利見通し、総じて上方シフト>
YCC運用柔軟化による金利上昇で、金利見通しの中央値は各年限で前回を上回った。10年債利回りの中央値は、23年度末で0.75%(前回0.65%)、24年度末で0.86%(同0.75%)、25年度末は0.95%(同0.75%)。
20年債利回りでは、23年度末が1.40%(同1.30%)、24年度末は1.50%(同1.40%)、25年度末は1.50%(同1.40%)。30年債利回りでは、23年度末は1.65%(同1.50%)、24年度末が1.80%(同1.60%)、25年度末が1.80%(同1.60%)。
(和田崇彦)