• 米金融当局者発言、ウィーワーク投資の結末、UBS決算
  • イスラエル通貨が下げ埋める、中国の中東進出を警戒
ウォラーFRB理事
ウォラーFRB理事 Photographer: Bess Adler/Bloomberg

米金融当局からインフレを警戒する声が相次ぎましたが、米国債利回りはむしろ低下。ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事が「地震」に他ならないと表現した10月末までの急激な利回り上昇の反動からか、この日の市場では国債売りにはつながりませんでした。イングランド銀行(英中央銀行)のチーフエコノミスト、ヒュー・ピル氏が来年の利下げ予想に理解を示したことも利回り低下に寄与。ここ数年は市場の利下げ予想が打ち消される格好で、利回りは上昇してきましたが、いよいよ金融当局が市場の言うことに耳を傾ける番になるのかもしれません。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

インフレ警戒

シカゴ連銀のグールズビー総裁は「インフレ率を下げなければならない、それが最優先だ」と述べ、金利の決定について「あらかじめコミットする」ことを政策当局は望んでいないと指摘した。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、金融政策当局はまだインフレとの闘いに勝利していないと述べ、必要となればさらなる引き締めを検討するだろうと話した。FRBのボウマン理事は、インフレ抑制のためには利上げが必要になるだろうと今も考えているとしながらも、9月からの米国債利回り急上昇が金融環境を引き締めていると付け加えた。

投資損失と信頼性

ソフトバンクグループによる米ウィーワークへの投資は、ウィーワークの破産申請という結果に終わった。グループ創業者の孫正義氏にとってウィーワークと関わった数年間は、同氏の投資スタイルに衝撃的な欠陥があることを明るみに出し、被った損失以上のダメージを同氏の評判に与えるものとなった。ウィーワーク急転落でソフトバンクGは推計115億ドルの投資損失を出したほか、22億ドル相当のウィーワーク社債も保有している。ニューヨーク大学スターン経営大学院のアスワス・ダモダラン教授は「孫氏の行動は『自分は傲慢(ごうまん)だ』と言っているようなものだ」と語った。

6年ぶり四半期赤字

UBSグループは、買収したクレディ・スイス・グループの統合が足かせとなり、約6年ぶりに四半期赤字を計上した。ただ、顧客からの資金流入は予想を上回り、コスト削減目標の達成に向けても進展した。7-9月(第3四半期)の純損益は7億8500万ドル(約1180億円)の赤字。統合関連の費用は合計で20億ドルだった。10-12月(第4四半期)にさらに10億ドルの費用計上を見込んでいる。

戦争開始後の下げ埋める

イスラエル・シェケルは、同国とイスラム組織ハマスとの戦争が始まって以来の下げを埋めた。中央銀行は7日、シェケル防衛のため10月に82億ドル(約1兆2342億円)の外貨売り介入を行っていたことを明らかにした。同中銀は戦争開始当初、シェケルを支えるため外貨準備から最大300億ドルを売却すると約束、さらにスワップを通じて最大150億ドルを供給する意向を示していた。

オマーンに軍事拠点

バイデン米大統領は、中国がオマーンに軍事施設を建設する計画だと補佐官から報告を受けた。事情に詳しい関係者が明らかにした。中国は中東との防衛・外交関係を深めようと全般的な取り組みを進めている。この問題を中国の軍事当局者が10月にオマーン側と議論したとバイデン氏には伝えられた。オマーン側も受け入れる方向で、双方は数週間以内にさらに協議することで合意したという。

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