- パウエルFRB議長講演、米金融当局者発言
- 日銀総裁インタビュー、米失業保険統計、ガザの戦闘停止時間
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言がタカ派的だと捉えられ、米国債利回りが上昇しました。2年債利回りは発言後に5%を超えて、この日の最高水準を付けましたが、10年債は発言の1時間前に実施された30年債入札直後の方が売られました。応札倍率が2.24倍と、2021年12月以来の低水準となったばかりか、年金基金や保険会社など間接入札者の割合は60.1%と、過去6回の平均(68.6%)を大きく下回りました。膨らむ供給を意識してか、実質的な買い手が長期債から離れつつあるようです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
ためらわない
パウエル議長は、適切なら一段の政策引き締めをちゅうちょしないと述べ、インフレ率を2%に下げる上で十分な引き締めを行ったと完全には確信を持てていないとの考えを改めて示した。「しかし、数カ月の良好なデータで見誤るリスクと、引き締め過ぎるリスクの両方に対処できるよう、引き続き慎重に行動していく」と続けた。「インフレ低下に向けた進展で、この先は総需要の伸びを抑えるタイトな金融政策がより大きな役割を果たす必要があるかもしれない」とも話した。
ハト派とタカ派
リッチモンド連銀のバーキン総裁は「全体として、政策の影響はまだ完全には表れていない」と発言。「減速が近づきつつあると思っている」と述べた。アトランタ連銀のボスティック総裁は「インフレ率は2%に低下する」とし、「そうなるまで、あるいはそうなると確信するまで、景気抑制的な政策を続ける」と語った。ボウマンFRB理事はインフレ抑制にはさらなる利上げが必要になるだろうとなお考えているとあらためて述べた。セントルイス連銀のペーズ暫定総裁はインフレ鈍化の進展が鈍った場合に政策金利をさらに引き上げる用意をしておくべきだとの見解を示した。
アンダーシュートへの対処は困難
日本銀行の植田和男総裁は金融政策の正常化を急ぐ考えはないことを示唆した。日本の現状を踏まえると、望ましい水準よりも低いインフレ率はオーバーシュートよりも対処が難しいと、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)主催のイベントでのオンラインインタビューで語った。「アンダーシュートの場合、金利の実質的な下限がゼロであることや、非伝統的な金融政策手段の制約や問題を考えると、対処はかなり難しいだろう」と続けた。
7週連続で増加
米失業保険申請件数の統計では、継続受給者数が7週連続で増加し、4月中旬以来の高水準。最近の増加基調は失業者が職を見つけるのが一段と困難になっていることを示唆している。ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「先週は継続受給者数がさらに増加し、失業率の上昇が続く可能性が高いことを示唆した。失業率は連邦公開市場委員会(FOMC)の第4四半期予想である3.8%をオーバーシュートする勢いだが、慎重なFOMCは年末まで政策金利を据え置くと予想する」と述べた。
4時間の戦闘停止
イスラエルはガザ北部で1日4時間の戦闘停止時間を設けることで合意したと、ホワイトハウスが発表した。イスラエル軍のヘクト報道官も戦闘停止があることは認めたが、重大な発表ではないと主張。バイデン米大統領は人質解放を確保するために「3日以上の戦闘停止を要請した」と語り、イスラエルのネタニヤフ首相がそれを受け入れなかったことに米国側の困惑は増していると認めた。
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