自民党安倍派幹事会を終えて総会に臨む(手前から)塩谷立・会長代理、萩生田政調会長、下村博文・会長代理。党本部で(2023年7月6日)
自民党5派閥による政治資金パーティー収入の過少記載問題で、最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)がパーティー券収入の一部を所属議員側に還流させ、直近5年間で計1億円超を政治資金収支報告書に記載せず「裏金」としていた疑いのあることがわかった。還流させた資金は同会の収入と支出の双方に記載がなく、収支報告書への不記載や虚偽記入の総額は数億円に上る可能性がある。東京地検特捜部は、政治資金規正法違反容疑での立件を視野に捜査している。
同会は2018~22年に年1回、政治資金パーティー「清和政策研究会との懇親の集い」を開催し、収支報告書には毎年約1億~2億円、5年間で計約6億6000万円のパーティー券収入が記載された。
関係者によると、所属議員には当選回数や閣僚経験などに応じて個人や企業、業界団体などにパーティー券を販売するノルマがあるが、同会では、各議員がノルマを超えて販売した分について、議員側に還流させる運用が常態化。本来は、超過分も同会の収支報告書にパーティー券収入として記載し、キックバックした場合には議員側への寄付の支出として記載する必要があったが、収支ともに記載せず、年に数千万円、5年間では計1億円を超える「裏金」が作り出された疑いがあるという。
この結果、同会の収支報告書に記載のない収支の総額は、5年間で計数億円に上る可能性がある。さらに、キックバックを受けた議員側の政治団体も収入として記載していない疑いがあるという。
特捜部は、同会関係者への任意の事情聴取などを通じ、こうした同会の資金運用の実態を把握しており、応援検事も投入して解明を進めるとみられる。
5派閥を巡っては、18~21年分の収支報告書にパーティー券収入を計約4000万円少なく記載したなどとして会計責任者らが告発された。このうち同会の過少記載額は約1900万円とされている。不記載の罰則は5年以下の禁錮または100万円以下の罰金。