▽米FRB、金利据え置き インフレ低下「確信」まで利下げせず<ロイター日本語版>2024年2月1日午前 6:40 GMT+9
[ワシントン 31日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は30─31日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%で据え置いた。据え置きは4会合連続。声明でインフレ懸念に関する文言を和らげたほか、金利引き上げの可能性を巡る言及を削除し、向こう数カ月の利下げの可能性に向け大きな一歩を踏み出した。
ただFRBは声明で「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、目標誘導レンジの引き下げが適切になるとは予想していない」と表明。利下げが間近に迫っていることは示唆しなかった。
物価情勢については「インフレ率はこの1年で緩和したが、依然として高止まりしている」とし、「インフレのリスクを引き続き大いに注視している」と改めて表明した。
パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、インフレとの闘いは終わっていないと指摘。「われわれは勝利宣言をしない。まだ道のりは残っている」と語った。
その上で、次回3月のFOMCで利下げを実施するタイミングに間に合うよう当局者が十分な確信を持てるとは考えていないとし、様子を見なければならないとしながらも、3月の利下げは政策当局者にとって基本シナリオではないとの見解を示した。
同時に、FF金利の誘導目標は「現在の引き締めサイクルのピークに達している可能性が高い」と言及。FRBは「今年のある時点で」利下げに踏み切る可能性が高いと述べた。ただ、金融緩和がデータで裏付けられるか見極めるには時間がかかるとの考えも示した。
<雇用と物価の「リスクバランス改善」>
FRBは声明で「雇用とインフレ率の目標達成に対するリスクのバランスが改善しつつあると判断する」と表明。これまでは、リスクは物価上昇の影響の方に傾いているとの見解を示し、利上げバイアスに傾いていた。
今回の声明で「目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある。委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する」と表明。
前回12月のFOMC声明は、インフレ率を目標の2%に戻すために適切な「いかなる追加的な金融政策の引き締めの程度(the extent of any additional policy firming)」を決めるに当たっても、経済と金融の動向を考慮するとしていた。 もっと見る
経済全般については「経済活動は堅調なペースで拡大している」と指摘。労働市場については「雇用の伸びは昨年初旬から緩やかになったが依然として力強く、失業率は依然として低い」とした。
今回の声明には銀行システムの健全性に関する言及はなかった。言及がなかったのは昨年に地方銀行の破綻が相次ぎ銀行システムの強化を余儀なくされて以降初めて。
ペッパーストーン(ロンドン)の市場アナリスト、マイケル・ブラウン氏は、FRBは予想通りに一段とハト派的な一歩を踏み出し、次の動きが利下げになることを唆したと指摘。ただ市場で予想されているほど急速な利下げをFRBが急いでいないのは明らかで、利下げに着手するには一段と有望なインフレデータが必要になるとの見方を示した。
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