Rita Nazareth
- S&P500種はほぼ変わらず、メタ決算待ちの雰囲気も
- 米国債は大規模な5年債入札後も軟調、NY原油は反落
24日のニューヨーク外国為替市場では円相場が一時1ドル=155円37銭に下落。34年ぶりの安値を更新した。日本の通貨当局が円買い介入に踏み切るとの警戒感が強まっている。入札に圧迫された米国債の利回りが上昇。ドル買いを誘った。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)の市場戦略担当グローバル・ヘッドを務めるウィン・シン氏は「水準に関係なく、介入リスクは依然高い」と述べた。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1261.03 | 1.49 | 0.12% |
ドル/円 | ¥155.35 | ¥0.52 | 0.34% |
ユーロ/ドル | $1.0698 | -$0.0003 | -0.03% |
米東部時間 | 16時46分 |
米証券保管振替機関(DTCC)のデータによれば、円安を後押ししたのは、対ドル、対ユーロでの円売り契約に対する需要だった。これには、行使価格156円、1カ月物の円プット(売る権利)オプションの3億ドル相当の購入も含まれ、スポット市場での円を圧迫した。
鈴木財務相とイエレン米財務長官、韓国の崔相穆経済副首相兼企画財政相は17日に米ワシントンで会談し、通貨安を巡る日本と韓国の深刻な懸念を認識しつつ「為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」との共同声明を発表。同日の主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、為替の過度な変動は経済に悪影響を与えるとしたコミットメントを共同声明で再確認した。市場ではいつ為替介入が実施されてもおかしくないとの警戒感が高まっている。
インタッチ・キャピタル・マーケッツのシニア為替アナリスト、ピョートル・マティス氏は「為替介入よりも、予想外の利上げの方がはるかに理にかなうだろう」との見解を示した。利上げの可能性は低いと同氏もみているが、「円安を落ち着かせる最も効率的な方法は、利上げで市場を驚かせることだ」と指摘した。
一方、ラボバンクの為替戦略責任者、ジェーン・フォーリー氏は「日銀が26日の政策会合後に何らかのタカ派的な発言をしてくれることを財務省は恐らく望むだろうが、同日のその後で発表される米個人消費支出(PCE)価格指数が強い内容であれば、ドル高を強めることになるだろう」と語った。
バークレイズの外為ストラテジストによると、グローバル・ファンド・マネジャーによるポートフォリオのリバランスに絡み、ドルは昨年11月以来初めて月末特有の買い意欲が強くなるとみられている。
米株式市場ではS&P500種株価指数がほぼ変わらず。国債利回り上昇に加え、国内総生産(GDP)の発表を翌日に控えた警戒感から上値が重かった。GDPは今後の米金融政策の行方に影響するとみられる。
終値 | 前営業日比 | 変化率 | |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5071.63 | 1.08 | 0.02% |
ダウ工業株30種平均 | 38460.92 | -42.77 | -0.11% |
ナスダック総合指数 | 15712.75 | 16.11 | 0.10% |
通常取引終了後に発表されるメタ・プラットフォームズの決算を待ちたいとの雰囲気も強かった。前日夕に買い求めやすいモデルの投入を急ぐ方針を明らかにしたテスラは大幅高。エヌビディアは反落。
米テスラ、手頃な価格の車投入計画を大幅前倒し-戦略巡る懸念後退
メタの1ー3月(第1四半期)決算は売上高と利益がともに予想を上回った。ただ、4ー6月(第2四半期)の売上高見通しレンジの中央値が予想を下回ったため、株価は時間外取引で大きく下げている。
1-3月(第1四半期)のGDP成長率は前期比年率2.5%と予想されている。
インタラクティブ・ブローカーズのホセ・トレス氏は「明日の重要なGDPは、市場参加者が利下げにつながるような軟調な数字を期待する中で発表される」と指摘。「予想より強い数字になるとみている。そうなれば、売上高の伸びを期待するには良いが、利下げのタイミングや程度には悪い材料だ」と述べた。
今週は注目度の高い決算がいくつか発表されるが、ネーションワイドのマーク・ハケット氏は、これらの数字が投資家の安心感をさらに試すことになるだろうと語る。
ハイテク大手7社で構成する「マグニフィセント・セブン」は過去2年間、市場全体と比較して1株当たり利益の伸び率が高かったため、好調に推移してきたが、この優位性は2024年には低下し、25年にはさらに大きく低下する可能性があると、ハケット氏は指摘。「マグニフィセント・セブンはかつてのような強力な存在ではなく、このような市場の広がりはS&P500種株価指数の他の銘柄に好機をもたらしている。これは、最近のけん引役から分散して投資したいと考えている投資家にとって、ポジティブな展開だと考えている」と話した。
JPモルガン・チェースのトレーディングデスクが手がけるモデルが、目先の株高を示唆することが多い水準に達したと、米国マーケット・インテリジェンスの責任者、アンドルー・タイラー氏率いるチームが明らかにした。
投資家による米国株の配分を測定するTPM(米国タクティカル・ポジショニング・モニター)が、S&P500種株価指数が「魅力的な環境」にあることを示す水準に達したと、24日付けのリポートで指摘した。
TPMがこの水準近辺に達すると、S&P500種は通常、その後の20日間に約3%上昇してきたという。
米国債相場は下落。大規模な国債入札の後も軟調となった。
国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.78% | 4.9 | 1.04% |
米10年債利回り | 4.65% | 4.5 | 0.99% |
米2年債利回り | 4.93% | -0.2 | -0.04% |
米東部時間 | 16時46分 |
5年債入札(規模700億ドル)で落札利回りは4.659%と、ニューヨーク時間午後1時の入札締め切り時点の入札前取引における利回り4.655%をわずかに上回った。
BMOキャピタル・マーケッツのベイル・ハートマン氏は「落札利回りが入札前取引の利回りをやや上回ったが、まずまずの入札だった。国債は入札前、薄商いの中を安くなっていた。入札結果の発表後、追随的な動きはほとんど見られない」と述べた。
シティー・インデックスのファワド・ラザクザダ氏は、堅調な経済統計と根強いインフレに後押しされ、トレーダーは今年の利下げ期待を後退させており、高い利回りを求めて国債の保有に動いていると指摘。大規模な国債入札が終われば、関心はマクロ経済に戻り、今週は経済成長とインフレに関する重要な統計が発表されると述べた。
さらに「これらの数字が弱さを示さない限り、利下げの可能性が再考され、債券利回りはさらに上昇する可能性がある。そのようなシナリオは、リスク資産を下振れさせる恐れがある」と語った。
米原油先物相場は反落。予想以上の在庫減少と、金融市場全般に広がるリスク回避ムードという強弱まちまちの材料が綱引きする格好となり、狭いレンジで取引された。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した先週の米原油在庫は637万バレル減と、1月以来の大幅な落ち込みとなった。減少幅は大半のアナリスト予想を上回った。
半面、リスクオフの流れが強まり、米国株は方向感を欠く動き。またドル高の進行で、ドル建てで取引されるコモディティー(商品)の割高感が強まった。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物6月限は前日比55セント(0.7%)安の1バレル=82.81ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント6月限は40セント安の88.02ドルで終えた。
金スポット相場は3日続落。米利下げの行方に関する手掛かりを得ようと、26日に発表される個人消費支出(PCE)価格指数データに注目が集まっている。
金スポット価格は中東情勢を巡る懸念後退を受けて、過去2営業日に約3%値下がりしていた。
TDセキュリティーズのアナリスト、ダニエル・ガリ氏はリポートで、商品取引顧問(CTA)として知られるファンドが「2200ドルを上回る水準で持ち高を手じまう可能性は低い」ため、一段と売られる展開となる公算は小さいと指摘。一方で、マクロトレーダーのポジショニングは依然として、米利下げ観測の後退に伴うドル高と米国債利回りの上昇によって制約を受けているという。
金スポット価格はニューヨーク時間午後4時半現在、前日比6.24ドル安の1オンス=2315.78ドル。一方、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は3.70ドル(0.2%)安の2338.40ドルで引けた。
原題:Stock Rally Wavers as Bonds Struggle Before GDP: Markets Wrap(抜粋)
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