- 雇用コスト指数は1年ぶりの大幅上昇、消費者信頼感は低下
- S&P500種、月間で昨年9月来の大幅安-2年債利回り5%超
30日の外国為替市場で円相場は1ドル=157円台後半に下落。 第1四半期(1-3月)の米雇用コスト指数が予想以上の伸びを示し、米国債利回りが上昇したことを背景に、ドルが買われた。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1265.88 | 7.57 | 0.60% |
ドル/円 | ¥157.83 | ¥1.48 | 0.95% |
ユーロ/ドル | $1.0668 | -$0.0053 | -0.49% |
米東部時間 | 16時47分 |
雇用コスト指数は前期比1.2%上昇。市場予想の中央値は1%上昇だった。賃金上昇圧力が続き、インフレを高止まりさせていることがうかがえる。
1-3月の米雇用コスト指数、1年ぶりの大幅上昇-賃金圧力示す (1)
市場では1日の連邦公開市場委員会(FOMC)政策発表に注目が集まっている。FOMCは金利を据え置き、将来の利下げに関して慎重なガイダンスを示すと予想されている。ブルームバーグ・エコノミクスによれば、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長はFOMC会合後の記者会見でタカ派転換を示唆する見通しだ。
オスカー・ムニョス氏らTDセキュリティーズのストラテジストは「FOMCにとって、タカ派色を出さないようにすることが一段と難しくなりつつある」と指摘。「米インフレの再燃や相対的な金利差などを背景に、ドル高は続くと見込んでいる」と述べた。
マネックスの外国為替トレーダー、ヘレン・ギブン氏は「あす(5月1日)に円安の動きが再開する著しいリスクがある。パウエル議長が現実に、よりタカ派的な姿勢を示す場合だ」と指摘。「とはいえ、そのような円安にはマクロ的な理由がある。従って、日本銀行がそれに対して行動するとはみていない」と述べた。
ステート・ストリートのストラテジスト、リー・フェリッジ氏はドルに対する円下落のスピードが減速すれば、日本の当局は円が1ドル=170円まで下げても円安継続を容認する可能性があると指摘。「年内を通して非常にゆっくりとそこに到達する場合」、日本の当局はドル・円の同水準を許容する可能性があると述べた。
日本当局はドル170円でも容認する可能性、円安緩やかなら-ステートS
円相場が乱高下した前日の市場で日本の通貨当局が円買い介入を実施した可能性が高い。日本銀行が30日公表した5月1日の当座預金増減要因の予想値と市場の推計値との差が大きかったためだ。
29日の為替介入は5.5兆円規模の可能性、日銀当座預金見通しが示唆
また、前日の円スポット取引は2016年11月以来の活況だったと、規制された通貨取引市場としては世界最大のCMEグループが明らかにした。
29日のドル・円スポット取引高は12兆円、2016年以来の大きさ-CME
米株式相場は反落。根強いインフレで米金融当局が金利を「より高くより長く」維持するとの警戒が広がった。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
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S&P500種株価指数 | 5035.69 | -80.48 | -1.57% |
ダウ工業株30種平均 | 37815.92 | -570.17 | -1.49% |
ナスダック総合指数 | 15657.82 | -325.26 | -2.04% |
S&P500種は月間ベースで6カ月ぶりに下落し、昨年9月以来の大幅安となった。この日発表された米経済指標で根強い賃金上昇圧力が示唆され、FOMCが今週の会合で金利を約20年ぶり高水準で据え置くとの見方を裏付ける格好となった。近く利下げが実施される可能性も低い。消費者信頼感の低下も株価の重しになった。
パウエル議長は今月の講演で、インフレ押し下げで一段の進展がないことや、労働市場の強さが持続していることを指摘していた。最新の物価データのほか、3日公表の4月雇用統計が堅調な内容になると予想されていることを踏まえれば、パウエル氏がトーンを変える可能性は低い。
ナットアライアンス・セキュリティーズのアンドルー・ブレナー氏は「市場はあすのFOMC発表にかけて、完全な『不安モード』になっている」と指摘した。
エバコアのクリシュナ・グハ氏は、賃金に関する失望でインフレ見通しに対するFRBの確信は弱まると指摘。「その結果、トーンが一段と強硬になるだろう」とし、「初回利下げを6月から、7月や9月、さらに先に遅らせることに政策当局者は明らかにオープンな姿勢だ」と続けた。
米国の消費者信頼感は4月に2022年7月以来の水準に低下した。労働市場に対する見方と経済見通しが悪化した。
米消費者信頼感指数、22年7月以来の低水準-全ての予想下回る (1)
通常取引終了後の時間外取引では、アマゾン・ドット・コムが上昇。引け後に発表した決算が予想を上回った。スターバックスは約3年ぶりに売上高が減少した。
22Vリサーチが実施した調査によると、1日のFOMC決定に対して「リスクオン」の反応を予想する投資家は全体の16%にとどまった。44%は「リスクオフ」、40%は「ごくわずか、ないしまちまち」になると回答。調査では、回答者の3分の2が年内の利下げをなお見込んでいることも示された。
米国債は下落。2年債利回りは5%を超え、昨年11月以来の高水準を付けた。
国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
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米30年債利回り | 4.78% | 4.9 | 1.04% |
米10年債利回り | 4.68% | 6.4 | 1.39% |
米2年債利回り | 5.04% | 5.8 | 1.17% |
米東部時間 | 16時47分 |
インタラクティブ・ブローカーズのホセ・トレス氏は「株式と債券、ドルは全て、1日の金利決定でパウエル氏が苦渋の表情となる可能性を先取りしている」と指摘。「この日のデータは、FOMCがタカ派色を強めるのを正当化する」と述べた。
ニューヨーク原油先物は続落し、1カ月ぶり安値近辺に下げた。イスラム組織ハマスとイスラエルとの間で人質解放に関して合意がまとまる可能性が意識されており、地政学的な緊張の緩和が相場を下押しした。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は50日移動平均線を試し、バレル当たり82ドルを割り込んで引けた。この移動平均線(81.80ドル付近)が主要な下値支持線となっており、大きく割り込むようだと売りが加速する可能性がある。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物6月限は前日比70セント(0.8%)安の1バレル=81.93ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント7月限は1%安の86.33ドルで終えた。
ニューヨーク金相場は下落。市場の関心は引き続き、今週のFOMC会合に向いている。スポット相場は月間ベースでは3カ月連続の上昇となった。
FOMCでは金利に関してタカ派的姿勢が示されると見込まれている。金利スワップ市場では年内の米利下げ回数について、多くて2回が織り込まれているに過ぎない。高金利は通常、利息の付かない金投資にはマイナスとなる。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時44分現在、前日比1.8%安の1オンス=2294.25ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は54.80ドル(2.3%)安の2302.90ドルで引けた。
原題:Dollar Advances, Yen Weakens, as Traders Eye Fed: Inside G-10(抜粋)
Dollar Jumps on Employment Cost Data, Yen Weakens: Inside G-10(抜粋)
Wall Street Hit by Fed Jitters to Close Wild April: Markets Wrap(抜粋)
Oil Sinks Near Lowest in a Month, Testing Key Technical Level(抜粋)
Gold Slumps as Markets See Hawkish Fedspeak at US Rate Meeting(抜粋)