Rita Nazareth

  • 神田財務官の発言、円安が続くという見方に拍車を掛ける-ドイツ銀
  • 米株高の持続性について市場参加者の見方は分かれている

7日のニューヨーク外国為替市場で円相場は下落。午後に入ると下げ幅を拡大し、一時1ドル=154円75銭を付けた。神田真人財務官はこの日、市場が健全に機能していれば政府が介在する必要もないと語った。

  ドイツ銀行の為替調査世界責任者、ジョージ・サラベロス氏は、日本の政策金利が他国に比べて引き続き低い水準で推移するであろうことを踏まえると、今回の神田財務官の発言は円安が続くという見方に拍車を掛けるものだと指摘。

  ブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューでサラベロス氏は「円安の根本的な要因は、日本の実質金利がマイナス2%を下回る極端なマイナスであることだ」とし、「そうである限り、また日銀が早急な利上げを行わない限り、円は弱いままだとわれわれは考えている」と語った。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1254.432.880.23%
ドル/円¥154.69¥0.770.50%
ユーロ/ドル$1.0755-$0.0014-0.13%
  米東部時間16時40分

  主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.3%上昇し、約1週間ぶりの大幅高。ミネアポリス連銀カシュカリ総裁の発言を受けて米国債利回りが下げ幅を縮小したことなどが材料。

  カシュカリ総裁は、インフレが当局目標への道筋を進んでいるとの確信が得られるまで、金利を現行水準に「長期間」維持する方針だと語った。「現行政策を長期にわたって続けるというのが最も可能性の高いシナリオだ」と同氏はミルケン研究所主催のグローバルカンファレンスで発言。その上で「インフレが3%で定着し、金利を引き上げる必要があると最終的に確信した場合は、必要に応じてそうするだろう」とも指摘。それは最も可能性の高いシナリオではなく、追加利上げを実施するハードルはかなり高いが、可能性は排除しないと述べた。

ミネアポリス連銀総裁、政策金利を「長期間」据え置く可能性高い

Dollar Index Holds Above 1250 Level

  株式相場でS&P500種株価指数は小幅高。日中には一時5200を超える場面もあったが、勢いは続かなかった。市場関係者の間では、米株がこの先も上昇を維持できるかどうかで意見が分かれている。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数5187.706.960.13%
ダウ工業株30種平均38884.2631.990.08%
ナスダック総合指数16332.56-16.69-0.10%

  JPモルガン・チェースのストラテジストは、株式相場は調整局面を迎えようとしていると指摘。一方、バンク・オブ・アメリカ(BofA)とシティグループによる2つの逆張りセンチメント指標は、今が株の買い時という水準にある。ゴールドマン・サックス・グループは、株式エクスポージャーを拡大している商品投資顧問業者(CTA)は相場がどの方向に進んでも今後1週間は株を買う構えだと指摘している。

  米株は5月に入り、年内の利下げ観測と堅調な企業業績を受けて上昇してきた。S&P500種はテクニカル上の節目を最近上回ったが、市場関係者の多くは、株高の持続性を判断するのは時期尚早とみている。

  アメリプライズ・ファイナンシャルのチーフ市場ストラテジスト、アンソニー・サグリンビーン氏は「ファンダメンタルズが引き続き安定し、利益成長が前向きなトレンドを維持する限り、株価は上昇基調を続けるだろう」と指摘。「ただ、金利の高止まりや根強いインフレ、米金融当局が年初時点の大方の予想より長期にわたって金融政策を景気抑制的な水準に維持していることは、一部でリスクを高めている」と語った。

  UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのソリタ・マルチェリ氏は、市場のボラティリティーを再び上昇させる可能性がある多種多様な経済的および地政学的なリスクへの警戒を怠るべきではないと指摘。

  「投資家は資産クラスを分散してバランスを取ることで、そうしたボラティリティーを軽減し、ポートフォリオを軌道に乗せておくことが可能になる。ポートフォリオの観点では、質の高い債券に大きな価値があるとみている。成長失速や地政学的不確実性への懸念が高まれば大きなリターンが期待できるからだ」とリポートに記した。

  米10年債利回りは約3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。580億ドル規模の3年債入札は堅調な需要を集めた。今週は8日に420億ドル規模の10年債入札、9日に250億ドル規模の30年債入札が控える。

国債直近値前営業日比(BP)変化率
米30年債利回り4.60%-3.4-0.74%
米10年債利回り4.46%-2.8-0.63%
米2年債利回り4.83%-0.2-0.05%
  米東部時間16時40分

  ゴールドマン・サックスは、米株の最大の買い手である米企業が市場に復帰し、次の株高をけん引する準備が整ったとみている。同行タクティカルスペシャリストのスコット・ルブナー氏がまとめた7日付の顧客向けリポートによれば、今年見込まれている9340億ドル(約144兆5000億円)規模の自社株買いのうち、約6分の1が5-6月に実施される見通しだ。

米企業が次の株高けん引へ、自社株買い活発化で-ゴールドマン

  ニューヨーク原油先物相場はほぼ横ばい。地政学的な緊張は高い状態が続いているほか、テクニカルな水準が相場を支えた。原油先物相場は1カ月にわたり下落傾向が続いてきた。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は、日中は値動きの激しい展開となったが、終値で1バレル=78ドルを上回った。100日移動平均となる78.15ドル近辺が支持線となった。この日の午後は中東での緊張の高まりを背景に原油は上昇。イスラエルの戦時内閣は前日、イスラム組織ハマスが受け入れた停戦案を拒否。ラファでの軍事作戦継続を表明した。

  原油は4月初旬から下落傾向が継続。主要なタイムスプレッドは2月以来の水準に低下し、現物市場の供給が十分なことを示唆している。ロシアのノバク副首相は、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」が、次回6月に開催する会合を控え、増産の可能性を含む選択肢について分析を行っていると述べた。

Crude Market Shows Signs of Softening | WTI's prompt spread narrows to weakest since February

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物6月限は10セント(0.1%)安の1バレル=78.38ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント7月限は17セント(0.2%)下落し83.16ドルで引けた。

  金スポット相場は反落。ニューヨーク時間午後2時37分現在、前日比10.19ドル(0.4%)安の1オンス=2313.78ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は7ドル(0.3%)下落の2324.20ドルで引けた。

原題:Stock Rally Wavers as S&P 500 Briefly Tops 5,200: Markets Wrap

Stock Revival Puts S&P 500 on the Brink of 5,200: Markets Wrap

Dollar Trades Mixed as Yen and Commodity FX Retreat: Inside G-10

Dollar Jumps Most in a Week as Yields Pare Drop: Inside G-10

Oil Steadies as Technicals Provide Support After Monthlong Slump

Gold Edges Lower After Getting a Lift From Fed Rate-Cut Hopes