Rita Nazareth

  • 円は対ドルで一時156円25銭、2日以来の安値ー介入観測やや後退
  • 米国債利回りは全年限で小幅に低下、原油相場は上昇
Japanese 10,000 yen, left, and US 100 dollar banknotes arranged for a photograph
Japanese 10,000 yen, left, and US 100 dollar banknotes arranged for a photograph Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

13日のニューヨーク外国為替市場では、円が他の主要10通貨全てに対して下落。商品相場の上昇に加え、当局がすぐにも円買い介入を行うとの観測がやや後退していることが背景。

  円は対ドルでは一時0.3%安の1ドル=156円25銭と、今月2日以来の安値となった。

Dollar-Yen Tops 156 Level

  ブルームバーグのドル指数は一時の下げを縮小し、前営業日比ほぼ変わらず。ニューヨーク連銀の調査で、米消費者の1年先インフレ期待が上昇したことに反応した。

米消費者の1年先インフレ期待上昇、5カ月ぶり高水準-NY連銀 (1)

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1253.760.070.01%
ドル/円¥156.22¥0.440.28%
ユーロ/ドル$1.0790$0.00190.18%
  米東部時間16時51分

  米連邦準備制度理事会(FRB)のジェファーソン副議長は、インフレ率が当局目標の2%に下がることを示す証拠がさらに得られるまで、政策金利を据え置くことが適切だとの見解を示した。

ジェファーソンFRB副議長、インフレ鈍化するまで金利据え置きを

  イエレン米財務長官はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、外国為替市場での政府介入に改めて後ろ向きな見方を示し、主要7カ国(G7)による介入にはなおさら否定的な姿勢を明らかにした。

イエレン米財務長官、G7国による為替介入に後ろ向きな見方繰り返す

  商品市場では大半が買われ、銅は約2年ぶり高値を付けた。

  米株式市場では、S&P500種株価指数が前週末比で小幅に下落。米金融政策と世界の金融市場の見通しを左右する主要インフレ指標の発表を週内に控え、トレーダーはそれに備えたポジション構築を進めた。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数5221.42-1.26-0.02%
ダウ工業株30種平均39431.51-81.33-0.21%
ナスダック総合指数16388.2447.370.29%

  15日に発表される4月の米消費者物価指数(CPI)は、前月に比べて伸びが横ばいないし鈍化する見通しだが、利下げを開始するには依然高過ぎる水準にとどまると市場では予想されている。

  ウォール街の一部トレーディングデスクは、CPI発表を受けて米国株が大きく変動する事態に備えるよう投資家に呼び掛けている。

  JPモルガン・チェースの米国マーケット・インテリジェンス責任者アンドルー・タイラー氏が率いるチームは、「主なリスクはCPI統計が上振れすることだが、今後入手するマクロデータは両面のリスクを生む。すなわち、予想以上に力強い成長がインフレ懸念をあおることと、成長鈍化がリセッション(景気後退)またはスタグフレーションの懸念を高めることだ」と顧客向けリポートに記した。

JPモルガンが警戒促す、米CPI後にS&P500種は大幅変動も

  モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのクリス・ラーキン氏は「S&P500種は3週間に及ぶ上昇トレンドを経て、3月に付けた史上最高値に迫っている。今週の極めて重要なインフレデータはそのタイミングで発表される」と指摘。「現在の相場上昇が続くかどうかは、データ発表後も市場が利下げについて前向きでいられるかによるかもしれない」と述べた。

  CPI発表前日の14日には米生産者物価指数(PPI)が公表される。PPI項目のうちヘルスケアやポートフォリオ管理などは、米金融当局が重視する米個人消費支出(PCE)価格指数に用いられており、エコノミストはPPIデータも精査することになる。14日にはパウエルFRB議長の発言機会もある。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)のオースン・クウォン氏は「追加利上げの可能性が排除される中、株式相場は高めのインフレに耐えられる可能性があるとわれわれはみている。インフレ指標が市場予想に沿った数字となれば、少なくとも短期的にインフレの差し迫った脅威は取り除かれ、差し引きでプラスだ」と述べた。

  スティーフル・ニコラウスのバリー・バニスター氏は、S&P500種は4-6月(第2四半期)ないし7-9月(第3四半期)に約10%下落し4750になると予想。インフレが根強く続いており、米金融当局の利下げ見通しが一段と先延ばしされるためだとしている。

S&P500種は今後数カ月で10%下落へ-スティーフルのバニスター氏

  一方、ゴールドマン・サックスの米ポートフォリオ戦略チームでシニアストラテジストを務めるベン・スナイダー氏は、S&P500種は既に同社の年末予想である5200を超えているが、株式相場の基本的な環境は引き続き「非常に良好だ」とインタビューで発言。米企業業績の力強さとディスインフレの道筋に対する自信を理由に、今後の株式相場を楽観視していると話した。

  米国債相場は全ての年限にわたって小幅に上昇(利回りは低下)した。朝方には買い進まれていたが、NY連銀調査で米消費者のインフレ期待上昇が示されると上げ幅を縮小する展開となった。

  この指標の発表と同じ時間帯に、先物のブロック取引で売りが見られ、利回りの押し上げ圧力が一段と強まった。 

国債直近値前営業日比(BP)変化率
米30年債利回り4.63%-0.9-0.19%
米10年債利回り4.49%-1.0-0.22%
米2年債利回り4.86%-0.4-0.09%
  米東部時間16時50分

  HSBCの米州調査責任者ダラーグ・マヘル氏は、CPIの数字が穏やかなものであったとしても米金融当局のスタンスが変わることはないかもしれないと指摘。

  「今年既に何度も見てきたように相場は急激に変動する。しかし、米金融当局のガイダンスはそうではない。忍耐強くあるべきだという見解を堅持すると考える」とブルームバーグテレビジョンで述べた。 

Oil Steadies Near March Lows | WTI futures trading in narrow range for most of May

  ニューヨーク原油先物相場は上昇。地政学的リスクの低下と需給逼迫(ひっぱく)の兆候がせめぎ合い、原油価格は比較的狭いレンジでの取引となった。

  石油輸出国機構(OPEC)2位の産油国であるイラクは週末、生産量削減の道筋について矛盾するシグナルを発した。アブドルガニ石油相は11日、さらなる減産には同意しない考えを表明。しかしその後、減産延長はOPECが決定することであり、イラクはどのような決定にも従う意向だと述べた。次回のOPEC会合は6月1日に開催される。

イラク、減産延長はOPECが決定する-前日の発言から軌道修正

  同会合まで原油トレーダーは数多くのデータを消化することになる。15日の4月米CPIに加え、OPECと国際エネルギー機関(IEA)の月報も発表される。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物6月限は、前営業日比86セント(1.1%)高の1バレル=79.12ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント7月限は0.7%上昇の83.36ドルで引けた。

  金スポット相場は下落。前週には週間ベースで2.6%上昇し、約3週間ぶりの高値を付けていた。市場では米景気減速の可能性と根強いインフレ圧力の両方が意識されている。

  金相場は今年に入り、中央銀行による金購入や中東の地政学的リスクの高まりを受けた逃避需要で上昇基調にある。また、経済の先行き不安などで金への投資意欲が高まっている中国からの需要増大も強材料だ。

  ただ、商品先物取引委員会(CFTC)の最新データによると、金先物を取引するヘッジファンドは7日までの1週間で金に対する強気なポジションを6週間ぶりの低水準まで減らしている。

  金スポット価格はニューヨーク時間午後2時現在、前営業日比24.51ドル(1%)安の1オンス=2335.99ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は32ドル(1.35%)安の2343ドルちょうどで終えた。

原題:Dollar Erases Drop After Inflation Survey; Yen Down: Inside G-10(抜粋)

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