[ワシントン 15日 ロイター] – 米労働省が15日発表した4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同月比で3.4%と3月の3.5%から鈍化した。インフレ率が第2・四半期初に再び低下傾向に転じたことが示唆され、市場では9月の米利下げ期待が高まった。
前月比の伸びも0.3%と2月および3月の0.4%から鈍化した。
ロイターによるエコノミスト調査では、前月比0.4%上昇、前年比3.4%上昇と予想されていた。
FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は、CPIの伸び鈍化に加え同日発表された4月の米小売売上高が横ばいになったことは利下げを支持する内容と指摘。「米国はインフレの脅威から逃れたわけではないが、終わりが見え始めている」と述べた。 もっと見る
前月比では、家賃を含む住居費が3カ月連続で0.4%上昇した。ガソリン価格は2.8%上昇。3月は1.7%上昇だった。両者の伸びで全体の伸びの7割超を占めた。
食品は横ばい。3月は0.1%上昇だった。
帰属家賃(OER)は0.4%上昇と、2月および3月の伸びと変わらずだった。自動車保険は1.8%上昇。3月は2.6%上昇だった。
パーソナルケア製品、娯楽、教育も上昇。医療費も0.4%上昇した。一方、中古車・トラックは1.4%下落。家庭用家具や新車、航空運賃も下落した。
サービスは0.4%上昇。3月は0.5%上昇だった。家賃を除くベースでは0.2%上昇となり、3月の0.8%上昇から伸びが鈍化した。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPI上昇率は0.3%、3月は0.4%だった。前年比では3.6%で3月の3.8%から鈍化、2021年4月以来の小幅な上昇率だった。
エコノミストは、CPIと卸売物価指数(PPI)のデータから、4月のコア個人消費支出(PCE)価格指数が前月比0.2%上昇したと推定している。3月は0.3%上昇だった。4月の前年比は2.7%上昇になったとみられる。3月は2.8%上昇だった。
CPIの伸び鈍化を受け、金融市場では9月の米利下げ確率が発表前の69%から約73%に上昇した。
バイデン大統領は、物価はまだ高すぎるとしながらも、200万戸の住宅建設や大手製薬会社との提携による処方せん薬価の引き下げを含む自身の政策が「家計にゆとりを与えるだろう」との見解を示した。
一方、大統領選で返り咲きを狙うトランプ前大統領の陣営は、インフレの原因はバイデン政権の政策にあるとし、トランプ氏が掲げる「アメリカ・ファースト」の柱として低税率・低価格・高賃金を標ぼうした。