Rita Nazareth、Jess Menton
- S&P500は終値で5300下回る、米国債利回りは年限短め中心に上昇
- 円は対ドルで一時0.4%安の155円53銭、原油は在庫減少など受け続伸
16日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均が一時、史上初めて4万ドルの大台に乗った。今後見込まれる利下げで、米企業の業績拡大が続くとの見方が背景にある。ただ、最終的には主要3指数がいずれも反落で終えた。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5297.10 | -11.05 | -0.21% |
ダウ工業株30種平均 | 39869.38 | -38.62 | -0.10% |
ナスダック総合指数 | 16698.32 | -44.07 | -0.26% |
ダウ平均は底堅い経済、インフレ鈍化、堅調な企業業績といった見通しを背景に上昇基調をたどってきた。同指数が3万ドルを突破したのは、2020年11月だった。
インディペンデント・アドバイザー・アライアンス(IAA)のクリス・ザッカレリ最高投資責任者(CIO)は「4万ドルの壁突破は、強気派にとって心理面の大きな押し上げ材料だ。切りの良い数字は特別な意味を持つからだ」と指摘。その上で「相場は現在『割高な領域』に向かっているため、株式投資をより選択的に行い、ドルコスト平均法(一定額を定期的に投資する手法)を採ることが賢明だ」と述べた。
S&P500種株価指数は終値で5300を下回った。個別銘柄では通期予想をやや上方修正したウォルマートが大幅高。ミーム銘柄のゲームストップとAMCエンターテインメント・ホールディングスは大幅続落となった。
カーソン・グループのライアン・デトリック氏は「4万ドルは大きな節目だが、結局のところ3万9999ドルと4万ドルの間に大きな差はない」と指摘。「それでも、ここまできたのかと思わせるものがある。昨年は年間を通じて、どれだけ多くの人がリセッション(景気後退)や弱気相場について話していたか。それが今や、再び高値更新という状況になっている」と述べた。
モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントのリサ・シャレットCIOは「真のソフトランディング、あるいは米国の景気全般が堅調さを保つノーランディングのシナリオにさえ、市場は自信を深めつつある」と指摘した。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)はブルームバーグテレビジョンで、著しい物価上昇圧力が依然として米経済に影響を及ぼしており、多くの投資家が予想しているよりも高金利は長期化するかもしれないとの考えを示した。
JPモルガンCEO、米経済になお「多くのインフレ圧力」 (1)
米国債相場は下落(利回り上昇)。年限が短めの国債の利回りが特に上昇した。原油高を受け、利回りに一段と上昇圧力がかかった。
国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.51% | 1.3 | 0.29% |
米10年債利回り | 4.38% | 3.5 | 0.81% |
米2年債利回り | 4.79% | 6.9 | 1.47% |
米東部時間 | 16時53分 |
複数の地区連銀総裁がこの日、公の場で発言。リッチモンド連銀のバーキン総裁は、サービス部門の物価が高水準だとして、インフレ率を目標の2%に引き下げるには高金利を維持する必要があるとの考えを示した。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、最新の米インフレデータは物価上昇圧力が徐々に和らいでいることを裏付けているが、金利を調整するにはさらなる証拠が必要だと主張。
クリーブランド連銀のメスター総裁も、インフレが米金融当局の目標である2%に向かう道筋にあるとの確信を得るには、さらなるデータが必要だとの見解を示した。
ニューヨーク外国為替市場では、ブルームバーグ・ドル・スポット指数が小反発。米国債利回り上昇を受けてドル買いが入った。前日は1カ月ぶりの安値に沈んでいた。
円はドルに対して一時0.4%安の1ドル=155円53銭まで下げた。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1245.42 | 1.03 | 0.08% |
ドル/円 | ¥155.40 | ¥0.52 | 0.34% |
ユーロ/ドル | $1.0867 | -$0.0017 | -0.16% |
米東部時間 | 16時53分 |
この日発表された米経済指標では、先週の新規失業保険申請件数が前週比1万件減少。4月の住宅着工統計は、建設許可件数が2カ月連続で減少した。4月の輸入物価指数は約2年ぶりの大幅上昇を記録した。
ニューヨーク原油先物相場は続伸。ただ比較的狭いレンジでの推移となった。米原油在庫減少と米国のインフレ見通しが意識された。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は今月に入ってから77-82ドル前後でのレンジ取引が続いている。先週の米原油在庫は250万バレル減少し、3月以来初めて2週連続でマイナスとなった。
前日発表の4月米CPI統計ではコア指数の前月比の伸びが6カ月ぶりに鈍化。これを受けて利下げ観測が強まり、金融市場全体のリスクオンにつながった。
INGグループの商品戦略責任者、ウォーレン・パターソン氏は「最近のマクロデータは、米金融当局が間もなく利下げを開始するとの観測を高めており、これが原油相場を支えることになるだろう」と指摘。その上で、レンジ相場を抜け出すには、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」の生産方針が明らかになるなど、新たな材料が必要だとの見方を示した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物6月限は、前日比60セント(0.8%)高の1バレル=79.23ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント7月限は0.6%上昇の83.27ドルで引けた。
金相場は反落。前日発表の米CPI統計を受けて低下していた米国債利回りが反発し、利息を生まない金の投資妙味が相対的に下がった。ドルの反発も金には弱材料。
ニューヨーク時間午後2時現在、金スポット価格は前日比4.31ドル(0.2%)下げて1オンス=2381.68ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は9.4ドル(0.4%)安の2385.50ドルで終了した。
原題:Dow Average Touches 40,000 Before Pulling Back: Markets Wrap(抜粋)
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