Nayla Razzouk、Grant Smith、Salma El Wardany
- 日量約200万バレルの「自主減産」、一部予想より早く巻き戻しへ
- グループ全体での産油抑制は2024年末まで延長
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」は、2025年も減産を継続することで合意した。ただし一部の減産については規模を縮小する時間的枠組みを設定。短期的には原油価格に下押し圧力がかかる可能性がある。
サウジアラビアの首都リヤドで2日に開かれた閣僚級会合は、市場の見通しより踏み込んだものとなった。サウジやロシアなど主要メンバー国による「自主的な」減産は、来年も継続される。一方で減産を巻き戻すタイミングは、一部の専門家が予想していたよりも早まった。
会合前に市場関係者らが広く予想していたのは一連の減産措置の延長だったが、一部には今年の年末までとの見方があった。2日の合意では、追加減産に参加する8カ国が来年1月まで日量約75万バレルの供給増加を認められる。
原油価格は4月に一時的にバレル=90ドルを上回った後は下落傾向にある。石油消費大国である中国のぜい弱な経済見通しに加え、主要国の利下げペースに疑念が生じていることが背景。5月31日の北海ブレント先物は81.62ドルで終了。月間で7.1%下げた。
今年の原油価格を支えてきた日量約200万バレルの自主減産は、6月末で失効する予定だった。今回の合意により、この取り組みは9月末までフル体制で継続され、その後は1年かけて段階的に廃止されると、サウジのエネルギー省は声明で説明した。
こうした「自主減産」は、先に合意しているグループ全体の生産を日量約3900万バレルに抑制する取り決めに加えられたもの。OPECプラスは今年の年末までとされていたこの取り決めを、2025年末まで延長することでも一致した。OPECのウェブサイトに掲載された声明で明らかになった。数年前から新たな石油プロジェクトに積極投資しているアラブ首長国連邦(UAE)は、来年の生産枠を日量30万バレル引き上げられる。
OPECプラスの合意に対する反応はまちまちで、一部アナリストは減産延長による原油価格への好影響に言及した。
コンサルティング会社エナジー・アスペクツの共同創業者で調査ディレクターのアムリタ・セン氏は「この結果、今年と来年、石油在庫が大幅に削減される」とし、OPECプラスによる市場のコントロールは続くとした。
一方、10月に市場が余剰分を吸収できるかどうかについて懸念する声も聞かれた。
ゴールドマン・サックス・グループのアナリストらはリポートで、「われわれはこの会合を弱気材料とみている」とし、追加減産を巻き戻す詳細な計画は「市場がOPECの強気な見通しよりも軟調な展開になった場合、低水準の生産維持をより困難にする」と指摘した。
原油価格の下落は根強いインフレと闘う中央銀行には朗報だが、サウジアラビアなど産油国の歳入を脅かす。ムハンマド皇太子が指揮を執る大規模プロジェクトの財源を確保するには、バレル当たり100ドルに近い原油価格が必要になると国際通貨基金(IMF)は推計している。
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原油市場の価格指標が減産延長の必要性を強調した可能性は高い。北海ブレント先物のプロンプトスプレッド(当限月と来限月の価格差)は逆ざや解消の傾向にあり、世界の需給バランスが需要超過から供給超過に傾斜していることを示唆している。
今年の世界石油需要伸び見通し、引き続き軟化-国際エネルギー機関
原題:OPEC+ Extends Cuts But Lays Out Plan to Bring Barrels Back (1)、
OPEC+ Agrees to Extend and Gradually Wind Down Oil Output Cuts(抜粋)