[東京 26日 ロイター] – 神田真人財務官は26日、足元の為替相場について「最近の急速な円安の進行に関しては深刻な懸念を有しており、高い警戒感をもって市場の動向を注視している」と語った。同日夜、財務省内で報道陣の取材に応じた。行き過ぎた動きには「必要な対応を取っていく」と強調した。
このところ150円台後半で推移していたドル/円は、この日夕方に2カ月ぶりに160円台へ上昇。その後も上げ幅を広げ、財務官の発言後に160.63円まで上値を伸ばした。約38年ぶりの水準で、市場では政府・日銀による為替介入への警戒が一段と強まっている。
神田財務官は記者団に、「特定の相場水準を対象には考えておらず、あくまで投機などによる急激な変動、あるいは無秩序な動きに対して対応する方針に変わりない」と語った。
どう対処するかは「平時でもいつでも急激な変動に対応できるよう準備している。ずっと準備している」と説明。「変動の幅やスピードやファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)とどう乖離(かいり)しているか、その背景に何があるのかということを総合的に勘案して必要な場合にはしっかりした対応を取るということに変わりない」と述べた。
最近の動きについて「方向としては必ずしも円安をジャスティファイ(正当化)するものではない。投機によるものであるというのが多くの人の見方」との認識も示し、「足元の動きは急激であるというふうに思っている」と語った。
ドル/円が前回160円台に乗せた4月29日は、直後に154.4円まで急落し、介入観測が広がった。