日向貴彦、田村康剛、伊藤純夫

  • 生損保や資産運用会社など国内外25社が市場参加者会合に出席
  • 前日の銀行や証券との会合ではメガ中心に積極的な減額を求める意見

日本銀行は10日、生命保険会社など機関投資家との債券市場参加者会合を開いた。会合では日銀の国債買い入れについて、過度な減額に反対するなどさまざまな意見が出たことが、関係者への取材で分かった。

  会合には生保のほか、損害保険会社や資産運用会社など国内外の25社が参加した。流動性への懸念から日銀に緩やかな減額を求める意見が出た一方で、買い入れ自体をやめるべきだとの声もあった。会合の参加者が匿名を条件に明らかにした。

  銀行や証券会社などが参加した9日の会合では、メガバンクを中心に日銀に積極的な減額を求める意見が出ていた。

メガバンクと証券、国債購入の積極的な減額を主張-日銀の実務者会合

  日銀は6月の金融政策決定会合で月6兆円程度としている国債購入の減額方針を決定。市場参加者の意見は、今月末の決定会合で決める「今後1-2年程度の具体的な減額計画」を議論する上での重要な材料となる。減額計画が市場のコンセンサスを上回るペースや額になるかが焦点となっている。

  インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは、今回の一連の会合について「意見が集約されている訳ではないことが明らかになった」と述べた。その上で、日銀にとっては市場の意見を聞く姿勢を見せることが大事だったとし、「最初は慎重に減額を進めていくことになるのではないか。いずれにしろ非常に難しい判断だ」と語った。

  ブルームバーグが6月の決定会合後に行ったエコノミスト調査では、まず5兆円程度に減額し、半年ごとに段階的に縮小して、2年後に3兆円程度まで圧縮する姿が中心的な見方となった。植田和男総裁は同会合後の記者会見で、「減額する以上、 相応な規模になる」との見解を表明した。

  前日の銀行との会合では、三菱UFJ銀行と三井住友銀行、みずほ銀行の3行のうち、1行が早い段階で大きく減額すべきだと発言。別の1行は最終的に月間1兆円への減額を主張し、もう1行は3兆円に減額すべきだと述べた。地銀からはより慎重な姿勢が示された。

  また、証券会社などとの会合では、複数の社が8月に即時に3兆円に減額した上で1年間継続するよう要望したほか、1年をかけて徐々に3兆円に減らすことを求めた社も複数あった。日銀は具体的な減額計画を提示しなかった。

  10日の債券市場では、日銀による大幅な買い入れ減額への警戒感から売りが優勢となり、新発10年債利回りは1.5ベーシスポイント(bp)高い1.085%に上昇。新発20年債利回りは一時2bp高い1.96%と2011年以来の高水準を付けた。

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