米物価、控えめな上昇 今後6カ月は成長鈍化=地区連銀報告

[17日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は17日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動は大多数の地域で小幅から控えめなペースで拡大を維持したとの認識を示した。

今後6カ月の見通しについては、大統領選や地政学的要因、インフレを巡る不確実性により活動が鈍化すると予想した。

物価は全体的に「控えめなペースで上昇した」とした。一部の地域でわずかな上昇が見られるにとどまったという。

5月下旬から7月8日までに調査した12の地区連銀の管轄地区のうち7つの地区が活動の増加を報告した一方、5地区が横ばいまたは減少を報告した。前回の報告から横ばいまたは減少を報告した連銀が3つ増えた。企業は雇用市場が引き続き軟化しているいくらかの兆候を報告した。

中でも、11月に迫った大統領選への関心がますます高まっていることが示された。アトランタ地区連銀は、選挙結果を巡る不確実性が再生可能エネルギー分野の投資活動の重しになっていると報告。ダラス連銀は、製造業や建設業、不動産業の見通しの不透明感につながっていると指摘した。

FRBのパウエル議長や当局者は、インフレによるリスクと雇用のリスクが均衡しているとの見解を示している。ただFRB当局者2人が17日、利下げが「近づいている」と発言。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始決定に向けた布石とみられる。

今年の第1・四半期はインフレ率が予想を上回ったものの、第2・四半期はFRBにとって好ましい数字を示している。FRBが重視する5月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.6%上昇だった。

インフレが鈍化し始める中、FRB当局者は労働市場の需給に緩みが見られること強調するようになった。FRBは、インフレが目標である2%に戻ったとしても失業率が低いままで推移する「ソフトランディング」を実現させようとしている。

いくつかの地区では労働市場の需給の緩みが指摘された。ウィスコンシン州ではミネアポリス地区連銀に対し「求人はまだたくさんある」と話す関係者もいた一方、複数の雇用主が採用基準を引き上げ、一部の採用を停止していると報告した。フィラデルフィア地区連銀からは、電気工事の仕事に過去20年間で最多となる20件の応募があったとの声が聴かれた。

当局者は最近、特に外国人労働者の流入により労働市場のバランスが改善されたと述べており、今回のベージュブックでもその点に言及がなされている。ボストン地区連銀は、短期ビザプログラムを通じた外国人労働力の供給が地域の季節労働需要を支えていると述べた。