Rita Nazareth

  • 2年債入札が好調、市場の利下げ期待が浮き彫りに
  • NY原油先物は4日続落、6月初旬以来の長期下げ局面

23日の米株式相場は小反落。多数の企業決算をこなす中、引けにかけて売りが優勢になった。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数5555.74-8.67-0.16%
ダウ工業株30種平均40358.09-57.35-0.14%
ナスダック総合指数17997.35-10.22-0.06%

  前日に6月上旬以来の大幅高となったS&P500種は反落。経済のバロメーターである宅配大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)は過去最大の急落。4-6月(第2四半期)決算で利益が市場予想を大きく下回ったことが嫌気された。通常取引終了後には、ハイテク大手7社で構成する「マグニフィセント・セブン」の先陣を切ってテスラとアルファベットが決算を発表した。

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  アメリプライズのアンソニー・サグリンビーン氏は「マグニフィセント・セブンは利益期待が高いことを考えると、決算発表時に多くを証明しなければならないだろう。同時に、これらの企業の見通しは高いバリュエーションと比較され、厳しく吟味されるだろう」と語った。

  株価は今年前半に大きく上げただけに、業績の上振れは株式にとって待望の原動力となるだろう。市場は季節的に弱い時期に向かう中で圧力に直面しており、米大統領選挙によってボラティリティーが高まる可能性が高い。

  アップルが上昇。折り畳み式「iPhone(アイフォーン)」の開発を進めていると、テクノロジーニュースサイトのジ・インフォメーション(TIF)が報じた。

  ビスポーク・インベストメント・グループは「これらの銘柄が決算発表前に軟調に推移していることは、必ずしも悪いことではない。決算発表に向けて上昇すれば、クリアすべきハードルが非現実的なほど高水準に設定されてしまうだけだ」と指摘。当然ながらハードルが低ければ低いほど、乗り越えるのは簡単だと述べた。

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  UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのソリタ・マルチェリ氏は「決算シーズンが株式市場に対する信頼感を高めると予想している。ポジショニングが過剰だった時期があったため、市場は短期的には不安定になる恐れがあるが、ファンダメンタルズは依然として強いと考える」と述べた。

  米大型テクノロジー株の持続的な下げが懸念されているが、バークレイズのストラテジストは力強い業績見通しを根拠に、これらの銘柄は最近の下げ後でもなお魅力的だとみている。

  ベヌ・クリシュナ氏率いる同社のチームは、S&P500種の年末目標を5300から5600に上方修正。「大手ハイテク企業に対する当社のバリュエーションの想定は高いが、そのバリュエーションに見合う収益を上げると予想している」と語った。

  米国債は上昇(利回りは低下)。2年債入札(発行額690億ドル)が好調となり、市場の利下げ期待が浮き彫りとなった。

  落札利回りは4.434%と、入札締め切りであるニューヨーク時間午後1時時点の入札前取引(WI)水準の利回りを2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下回った。2年債の落札利回りとしては、1月(発行額600億ドル)以来の低水準だった。

国債直近値前営業日比(BP)変化率
米30年債利回り4.49%1.40.32%
米10年債利回り4.25%0.00.00%
米2年債利回り4.49%-2.4-0.52%
  米東部時間16時45分

  オックスフォード・エコノミクスのアナリスト、ジョン・キャナバン氏は、連邦公開市場委員会(FOMC)が来週、9月の利下げに向けた地ならしをするとの見通しが「短期債への今月の強い需要を支え、その需要はこの日午後の入札にも波及した」と述べた。

  外国為替市場では円が主要通貨に対して上昇。米国債利回りの低下が寄与したことに加え、来週の日銀金融政策決定会合を前に円売り持ちを縮小する動きとなった。円は対ドルで一時、1ドル=155円58銭まで上昇。7月18日につけた高値の155円38銭に近づいた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1257.252.000.16%
ドル/円¥155.59-¥1.45-0.92%
ユーロ/ドル$1.0854-$0.0037-0.34%
  米東部時間16時45分
NY時間の円相場は対ドルで上昇

  ニューヨーク原油先物相場は4営業日続落。6月初旬以来の長期下げ局面となった。夏季で流動性が低い中、アルゴリズム取引の売りが影響した。

  先物価格がこれまで支持線の役割を果たしてきた50日と100日の移動平均線をともに下抜けた後、商品投資顧問業者(CTA)が強気なポジションを手じまったことで下落に拍車がかかった。ただ、原油は相対力指数(RSI、9日間)で売られ過ぎの領域に入っており、反転が近い可能性が示唆されている。

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  原油価格は年初来では引き続き上昇。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の供給削減や、米利下げへの期待に支えられている。バイデン米大統領が再選を断念したことの影響など、政治リスクも引き続き強く意識されている。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物9月限は、前日比1.44ドル(1.8%)安の1バレル=76.96ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント9月限は1.39ドル(1.7%)下げて81.01ドルで引けた。

  金相場は上昇。週内に公表される米経済指標に関心は移っている。

  スポット相場は一時1オンス=2412ドルまで上昇した。ただ先週につけた最高値をなお大きく下回っている。インドは金の輸入税を引き下げ、世界2位の金消費国である同国での宝飾品製造を支援する。

  今週は4-6月(第2四半)の米実質国内総生産(GDP)速報値や、米金融当局が重視する個人消費支出(PCE)価格指数などが発表され、利下げの道筋に関する手掛かりを提供する見通しだ。金利低下は通常、利子を生まない金にとって強材料と見なされる。

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  金スポット相場はニューヨーク時間午後2時55分現在、前日比9.21ドル(0.4%)高の1オンス=2405.80ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、13.10ドル(0.5%)上げて2455.20ドルで引けた。

原題:S&P 500 Falls as US Earnings Kick Into High Gear: Markets Wrap(抜粋)

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