Enda Curran、Alex Harris、Greg Ritchie
- FRBのQTプログラムはあと数カ月とウォール街の多くの人は予想
- 株安はQTの潜在的反響への警戒信号だったかもしれないとバロー氏
未知の水域を過去20年に何度も航行してきた先進国・地域の中央銀行が、新たな難所を迎えている。主要中銀が共同で量的引き締め(QT)に動く局面は、過去に例がない。
日本銀行は、保有国債のポートフォリオを今後数年で着実に減らすことを7月に決定した。米連邦準備制度や欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(英中央銀行)とバランスシート縮小を同時に実行することになる。管轄地域によって異なるが、新型コロナ危機の際、債券を買い入れ経済に供給した流動性を引き揚げる。
日銀が政策金利0.25%に引き上げ、経済・物価想定通りなら利上げ継続
米連邦準備制度の初めてのQT実施では、2019年の金融市場の予期せぬ混乱に政策担当者らは不意を突かれた。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、そこから教訓を学んだと述べ、問題が発生する前に停止を約束したが、順調にいく保証はない。グローバル規模で流動性の水位が低下する現状ではなおさらだ。
スタンダード・バンクでG10戦略責任者を務めるスティーブン・バロー氏(ロンドン在勤)は「他の中銀が試されないうちに米連邦準備制度で再び問題が生じることもあり得るのではないか」と指摘した。
米連邦準備制度が景気下支えのため利下げに転換する過程で、QTプログラムはあと数カ月しかないとウォール街の多くの人々は予想する。米国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)は今年6月から既にペースダウンし、250億ドルに上限が引き下げられた。
市場メルトダウン予防か、米国債買い戻し再開の真の狙い-QuickTake
資金調達市場に最近表れた圧力の兆候は、連邦準備制度がプログラムを終了させることへの期待を促した。8月5日に20年以降で最悪の下げに見舞われた世界的株安について、QTの潜在的反響への警告サインだったかもしれないとバロー氏は最近の顧客向けリポートで分析した。
「中銀によるかつての債券買い入れは、経済に資金を供給し続け、一部は株式などリスク資産投資に向かった。しかし今やこれらの中銀が保有する資産は減り、投資家にとって厳しい」と見解を示した。
原題:Quantitative Tightening Goes Global First Time, in Market Test(抜粋)