鈴木英樹、吉田昂

  • 認められればクシュタールの買収ハードルは上がる可能性も
  • 買収提案受領後に打診と関係者、政府が申請を認めるかは不透明

セブン&アイ・ホールディングス(HD)が政府に対し、「外国為替及び外国貿易法」(外為法)で最も規制が厳しい「コア業種」分類への格上げを申請したことが、関係者への取材で分かった。

  関係者によると、7&iHDはカナダのアリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けた後に申請をしたという。仮に認められればクシュタールにとって買収のハードルが上がる可能性もある。関係者の1人は、財務省などの当局側が認めるかどうかは分からないと述べた。

  7&iHDの広報担当者は、法的拘束力のない初期的な買収提案があったことは事実だが、詳細について決定したものはないとし、独立社外取締役のみで構成する特別委員会で検討を進めているとコメントした。財務省には電子メールでコメントを求めたものの、回答を得られていない。

  軍事技術の流出など安全保障上の問題につながる恐れなどから、外資企業による日本企業の買収や出資は外為法で一定の規制がかけられている。7&iHDは買収に際して事前届け出が必要な企業に指定されているが、現在は規制度合いが低い「コア業種以外」に分類されている。

  コア業種では出資比率が10%以上の場合、必ず事前届け出が必要になる。また10%未満であればいくつかの条件を満たせば事前届け出が免除されるケースもあるが、コア業種以外の場合に比べて条件が厳しくなる。役員を送り込まないなどの条件に加えて、コア業種に属する事業に関して、取締役会や重要な意思決定の権限を持つ委員会に参加できなくなるといった制約も加わり、買収後の企業運営がより難しくなる恐れがある。

  7&iHDなどコンビニ各社は自治体との協定などを通じ、災害時に飲食料品の供給の役割を担っている。また、店内の複合機では住民票の写しや印鑑登録証明書なども取得でき行政サービスを補完するなどインフラとしての役割を果たしており、安全保障上重要な存在との見方もできる。

  関連記事: