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  • GDPデフレーターのマイナス続く見通し、データ開始後の最長へ
  • 恐らくデフレの第2ステージに入っている-モルガンSの邢自強氏

中国で続くデフレ圧力が、ここへきて負のスパイラルに陥りつつある。世界2位の経済規模を持つ同国の景気見通し悪化につながりかねず、早期の政策対応を求める声が高まっている。

  9日に発表された中国の消費者物価指数(CPI)統計では、所得が減少する中、食品価格を除けば経済の大部分で物価は辛うじて上昇しているに過ぎないことが確認された。

中国のデフレリスク拡大-コアは3年ぶり低い伸び、積極策必要か (3)

  BNPパリバなど複数行のアナリストとブルームバーグ・エコノミクスによれば、中国経済全体の物価動向を示す国内総生産(GDP)デフレーターは、2025年もマイナスが続く見通し。今年4-6月(第2四半期)まで5四半期連続でマイナスとなっており、予想通りなら1993年のデータ開始後で最長のデフレ局面となる。

  モルガン・スタンレーの中国担当チーフエコノミスト、邢自強氏は賃金の減少を挙げ、中国経済が「間違いなくデフレに陥っており、恐らくデフレの第2ステージに入っている」と指摘。「日本の経験は、デフレが長引くほど、負債デフレの問題を克服するために中国当局がいずれ追加刺激策を講じざるを得ないことを示唆する」と述べた。

  中国のデフレは以下のように一段と深刻化する危険性を抱える。家計の賃金減少が支出削減を招く。あるいは価格がさらに下がることを見越して、消費者が購入時期を先送りする企業の売り上げが減少し、それが投資抑制と一段の給与削減やレイオフを引き起こす。家計や企業の破産が起きる。

  民間調査は、そうした事態が既に始まっていることを示している。財新智庫とBBD(数聯銘品)の調査によると、電気自動車(EV)製造や再生可能エネルギーといったセクターで、8月は新入社員の給与が2022年のピーク時に比べて約10%減少した。

  長江商学院が300社の幹部を対象に実施した調査によれば、先月の労働コスト指数は20年4月以来の低水準。中国が新型コロナウイルス流行に伴う最初のロックダウンを実施し、それを緩和し始めた時期以来の低さとなったことを意味する。

  日本は1990年代からデフレスパイラルに陥った。不動産と金融市場のバブルがはじけた後に停滞期が長く続いた。

China Consumer Prices Rise Less Than Expected in August | Weak CPI comes despite higher food prices caused by bad weather

原題:China’s Deflationary Spiral Is Now Entering Dangerous New Stage(抜粋)