中国株の先行きについて、海外各紙はどう報じたのか Photo by Getty Images

中国株の先行きについて、海外各紙はどう報じたのか Photo by Getty Images

中国政府が発表した景気刺激策の中身とはt by COURRiER Japon

長らく低迷していた中国株が突然、急騰した。なぜ? また、大型連休の国慶節に突入した中国株式市場は、休場明けも上昇が続くのだろうか。

中国株が突然急騰

景気の停滞から大きく下落していた中国株が突然、急上昇し始めた。2024年9月30日の上海総合指数は大幅に9日続伸し、2023年5月以来、およそ1年5ヵ月ぶりの高値圏に浮上。年初来安値の近辺をうろうろしていた中国の株式相場は、一気に急上昇した。

上海と深圳市場の売買代金は大きく膨らみ、過去最高記録を更新するなど商いも活発だ。また、香港ハンセン指数も大きく上昇し、約1年8ヵ月ぶりの高値を更新した。新興市場にも資金が向かっている。

10月1日から中国は大型連休の国慶節に入り、株式市場は休場となっている。国慶節明けも株式相場の上昇は続くのだろうか?

なぜ急上昇したのか?

ではなぜ、中国株は突然大きく上昇したのか?

中国の中央銀行にあたる中国人民銀行や証券監督管理委員会などは2024年9月24日、3つを柱とする景気刺激策を発表した。金利を引き下げる金融緩和、投資家や自社株買いをおこなう企業への融資、規模は明確にしなかったものの財政出動、の3つを柱とする経済政策だ。金融緩和では、中国人民銀行が市中銀行から強制的に預かる比率(預金準備率)の引き下げや、各種金利の引き下げを発表した。

低迷する不動産市況をテコ入れするための政策も発表された。融資済みのローン金利を引き下げるように促し、住宅購入者の金利負担を低減する政策を打ち出した。また、消費者が2軒目以降の住宅を買う際に、購入価格の25%を頭金として支払わなければならない規制があったが、これを15%に引き下げた。住宅投資の意欲を高めるための措置で、これを好感して中国の不動産関連株は大きく上昇した。

各紙の反応 今後も株式相場の上昇は続くのか? 


「フィナンシャル・タイムズ」紙は、今回まだ充分に明らかになっていない財政出動の詳細について、今後、中国政府がどのような発表をするのかを海外投資家は様子見していると報じた。資産運用大手ヌビーンのアセットマネージャーは「今回発表された景気刺激策は、実態経済よりも株式相場への短期的な影響が大きい。株高が続くかは、大型の財政出動があるかどうかだ」と述べた。

米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、景気刺激策の詳細が明らかになる過程において、期待感から株式相場は当面上昇する可能性があると指摘。一方で、消費を促しデフレを脱却する道筋が示されない限り、長期的な上昇につながるかは懐疑的な見方を示している。

香港メディア「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」は、この株高に乗り遅れないように、連休中にもかかわらず、株式取引の口座開設の問い合わせが殺到していると報じ、短期的には株高が継続する可能性を示唆した。一方で、「中国はじわじわと日本のようなデフレ経済に陥る可能性を警戒している。今回発表された景気刺激策は、政府が中国経済停滞の重大さに気づいたことの表れに過ぎない」と述べる専門家の意見を紹介した。

米メディア「ブルームバーグ」は、中国政府による経済政策が継続しなければ、株式相場の上昇は長く続かないだろうと投資家は懐疑的な見方をしていると報じた。また、「米国の不透明感が払拭されるまでは、中国株式相場の上昇が続くとは考えにくい」とする市場関係者がいる一方で、「中国に対するセンチメントの最悪期は脱した。景気刺激策は中国政府の本格的なテコ入れを目指す本気度を示している」と明るい見方も伝えている。