8日の米株式相場は反発。半導体メーカーを中心にテクノロジー銘柄の上昇が相場をけん引した。大型ハイテク株の「マグニフィセント・セブン」指数は1.7%上昇した。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
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S&P500種株価指数 | 5751.13 | 55.19 | 0.97% |
ダウ工業株30種平均 | 42080.37 | 126.13 | 0.30% |
ナスダック総合指数 | 18182.92 | 259.02 | 1.45% |
エヌビディアは5営業日続伸。同社はこの日、「AIサミットDC」と呼ばれるワシントンでのイベントで、次世代人工知能(AI)半導体「ブラックウェル」のエネルギー効率の高さをアピールした。
一方、エネルギー銘柄は原油安を受けて下落。米上場の中国株もさえない。中国政府が大規模な追加景気刺激策を見送ったことが嫌気された。空売り投資家ヒンデンブルグ・リサーチの標的となったオンラインゲーム・プラットフォーム運営会社ロブロックスは一時9%を超える下落となった。終値は2.1%安。
パイパー・サンドラーのクレイグ・ジョンソン氏は「決算シーズンが始まるのに伴い、10月の株式相場は『揺れ動く』ことが見込まれる」と指摘。「投資家は『健全な』調整局面を利用しながらポジションを積み増すべきだ」と述べた。
市場では米金融当局者発言も引き続き意識された。クーグラー連邦準備制度理事会(FRB)理事は、雇用の伸びや経済成長の「望ましくない」減速を避ける「バランスの取れたアプローチ」を伴いつつ、インフレ率を2%の目標に回帰させることに金融当局として引き続き重点を置くべきだとの見解を示した。アトランタ連銀のボスティック総裁は、インフレに対するリスクは低下している一方で、労働市場に対する脅威は高まっているとの見解を示した。
国債
米国債相場は総じて小動き。米大幅利下げ観測の後退を背景にした国債売りがいったん落ち着いた。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
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米30年債利回り | 4.29% | -1.0 | -0.24% |
米10年債利回り | 4.01% | -1.4 | -0.34% |
米2年債利回り | 3.96% | -3.3 | -0.82% |
米東部時間 | 16時43分 |
ランズバーグ・ベネット・プライベート・ウェルス・マネジメントのマイケル・ランズバーグ最高投資責任者(CIO)は、国債利回りは健全な低下の後に上昇しており、債券市場での利下げ観測後退を示していると指摘。「利回りはボックス圏内で推移する公算が大きく、ここから上昇するとしても、利回り上昇が株価に悪影響を及ぼし始めるまでには十分な距離がある」と語った。
一方、UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのマーク・ヘーフェル氏は「米経済データは、世界的な利下げサイクルへの米金融当局の貢献を終わらせるほどには強くない」と指摘。「従って、投資家は金利低下を見据えたポジションを取るべきだとの確信をわれわれは維持する」と語った。
モハメド・エラリアン氏は、米金融政策の道筋を巡る不透明感が米国債相場のボラティリティーを高めているとの認識を示した。
英ケンブリッジ大学クイーンズカレッジ学長のエラリアン氏は、ブルームバーグテレビジョンで「11月に50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げが行われる確率は過去15日間で、60%強からゼロになった」と指摘。「現在の市場にどれほどの不確実性があるかを示している。データに基づく動きとしては非常に大きい」と述べた。
米利下げの道筋に不透明感、国債ボラティリティー続く-エラリアン氏
為替
外国為替市場ではドルが上昇。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は7営業日続伸し、2022年4月以来の長期連続高となった。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1239.32 | 0.65 | 0.05% |
ドル/円 | ¥148.20 | ¥0.02 | 0.01% |
ユーロ/ドル | $1.0978 | $0.0002 | 0.02% |
米東部時間 | 16時43分 |
円相場はほぼ変わらずの1ドル=148円台前半。ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)の市場戦略グローバル責任者ウィン・シン氏は「軟調となった日本の実質賃金データは、日銀の慎重姿勢を裏付けるものだ」と述べた。
赤沢再生相:良い知らせではない-実質賃金3カ月ぶりマイナス
原油
原油先物相場が反落。中国の国家発展改革委員会(発改委)が追加の大規模な景気刺激策を見送ったため、リスク回避の動きが強まった。
発改委は今年の経済目標の達成に自信を示したが、追加刺激策を表明しなかったため、失望を誘った。
マッコーリーのグローバル為替・金利ストラテジスト、ティエリー・ウィズマン氏は「新たな財政支出を期待していたトレーダーの失望感が、ほとんどの商品価格をこの日押し下げた」と語った。
先週にミサイル攻撃を受けたイスラエルによるイランへの報復になお注目が集まっており、全面戦争への懸念が高まっている。イスラエルが数ある選択肢の一つとして、イランのエネルギー施設への攻撃をまだ検討しているとのNBCの報道で下げ渋る場面もあった。
商品に特化したアンデュラン・キャピタル・マネジメントを経営するピエール・アンデュラン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「在庫が少ないため、短期的なリスクは価格上振れだ」と指摘した。
原油10~15ドル急騰、イスラエルがイラン攻撃すれば-アンデュラン氏
ニューヨーク原油先物相場は6日ぶりに下落。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)先物11月限は3.57ドル(4.6%)安の1バレル=73.57ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント12月限は4.6%安の77.18ドルで引けた。
金
金スポット相場は5日続落。ドルが上昇を続けたため、売りが優勢になった。今週に発表が予定されている米インフレ指標に市場の関心が移った。
ブルームバーグ・ドル指数が7営業日連続で上昇し、2022年4月以降で最長の上昇局面となるなどドル高が金の魅力を低下させ、金スポットは一時1.4%下落した。
サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は、中東情勢の緊迫を想定したロングポジションの巻き戻しも金の下落に影響していると指摘。「原油と金の地政学的リスクプレミアムの解消が主な要因だ」と語った。イスラム組織ハマスによるイスラエル急襲から1年を迎えた7日が「イスラエルの行動がないまま終わり、緊張の高まりを見込むポジションへの意欲が減退した」と述べた。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のリポートによると、現物の金を裏付けとする上場投資信託(ETF)には9月に差し引き14億ドル(約2080億円)が流入し、5カ月連続の純流入となった。この流入は北米がけん引し、欧州は純流出した唯一の地域だった。
スポット価格はニューヨーク時間午後2時41分現在、1%安の1オンス=2615.95ドル。ニューヨーク商品取引所の金先物12月限は30.60ドル(1.2%)安の2635.40ドルで引けた。
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