21日の米株式相場は上昇。トランプ次期政権は規制緩和に前向きとの見方が買いを促した。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
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S&P500種株価指数 | 5948.71 | 31.60 | 0.53% |
ダウ工業株30種平均 | 43870.35 | 461.88 | 1.06% |
ナスダック総合指数 | 18972.42 | 6.28 | 0.03% |
ハイテク銘柄中心のナスダック100指数は0.4%高。一時は1%余り下落していた。エヌビディアは前日引け後に発表した売上高見通しが市場の高い期待に届かず、大きく売られる場面もあったが、プラス圏で終了。取引終了前の数時間に再び上げに転じた。
ビットコインは9万8000ドルを突破し、一時10万ドルに接近。トランプ次期大統領の下、規制緩和などで業界にブームが到来するとの期待が背景にある。米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長は1月に退任する計画で、規制緩和やデジタル資産への追い風になるとみられている。
暗号資産政策に特化した役職新設を計画しているとされる次期政権は、この初代責任者に元米商品先物取引委員会(CFTC)委員長のクリス・ジャンカルロ氏を検討していると、FOXビジネス・ニュースは報じた。
個別銘柄ではスノーフレイクが30%超の急伸。マイクロストラテジーは下落。空売り投資家として知られるアンドルー・レフト氏のシトロン・リサーチが、同社の下落に賭けていると明らかにした。
市場調査会社ファンドストラットのストラテジストは、米国株は感謝祭の祝日を含む来週にかけて上昇し、12月にはやや弱含むとリポートで予想。「エヌビディアの決算は感謝祭ラリーの可能性を残す」とし、「人工知能(AI)の道筋はそれほど大きく変わっていない。エヌビディアの決算を巡る不確実性が去ったという点に比べれば、発表直後の市場の反応はそれほど重要ではない」と続けた。
ニュースレター「ザ・セブンズ・リポート」を創業したメリルリンチの元トレーダー、トム・エッセイ氏は、今週公表されたウォルマートとターゲットの決算が対照的な内容となり、個人消費の抑制が一部で示唆されたとし、注視する必要があると指摘。
「労働市場と個人消費の状況がソフトランディングを示唆しており、それは良いことだ」としつつ、「ここからの悪化に対しては脆弱(ぜいじゃく)だ。そうなった場合は、ハードランディングの可能性が著しく高まり、株価にとっては決定的なマイナス要因となるだろう」と述べた。
国債
米国債は下落。朝方は上昇していたが、株価の値上がりに伴い、売りが優勢となり、引け前に下げ幅を拡大した。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
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米30年債利回り | 4.60% | 0.7 | 0.15% |
米10年債利回り | 4.42% | 1.4 | 0.31% |
米2年債利回り | 4.35% | 3.4 | 0.80% |
米東部時間 | 16時55分 |
トランプ氏が司法長官候補に指名したゲーツ元下院議員は、指名を辞退するとX(旧ツイッター)への投稿で明らかにした。 トランプ氏による財務長官指名を巡る不透明感は続いており、米国債を圧迫した。
ヘッジファンド運営会社キー・スクエア・グループ創業者のスコット・ベッセント氏、投資会社アポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ローワン最高経営責任者(CEO)、ケビン・ウォーシュ元連邦準備制度理事会(FRB)理事が有力候補と目されている。
BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者、イアン・リンジェン氏は「財務長官の指名争いはベッセント、ローワン、ウォーシュの3氏に絞られたようだ。3氏は全て長官としての資質を有する」と指摘。「市場の観点からすれば、明確性は常に望ましい」と述べた。
外為
外国為替市場で円の対ドル相場は上昇。ロシアとウクライナの戦争が再びエスカレートする中、逃避のフローに支えられた。日本銀行の来月の政策決定も意識された。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
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ブルームバーグ・ドル指数 | 1286.32 | 2.21 | 0.17% |
ドル/円 | ¥154.53 | -¥0.91 | -0.59% |
ユーロ/ドル | $1.0474 | -$0.0070 | -0.66% |
米東部時間 | 16時55分 |
円は一時0.98%高の1ドル=153円91銭まで買われた。
ロシアは新たな種類の弾道ミサイルでウクライナを攻撃したと、ウクライナ当局は主張した。
スコシアバンクのチーフ為替ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は「きょうは円のアウトパフォームが鮮明だ。市場はウクライナ関連のニュースに反応している」と指摘。一方、日銀の植田和男総裁の発言は「12月の利上げ観測を高める」と述べた。
関連記事:12月会合の「予測は不可能」と植田日銀総裁、ライブになることを示唆
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は小幅上昇。売り買いが交錯する、荒い値動きとなった。
先週の米新規失業保険申請件数は市場の予想外に減少し、4月以来の低水準。ただ、失業保険の継続受給者数は増加し、3年ぶり高水準となった。
関連記事:米失業保険申請は減少、4月以来の低水準-労働市場の堅調さ示す (1)
原油
ニューヨーク原油相場はバレル当たり70ドル台に反発。ロシアとウクライナの戦争激化に反応し、ほぼ2週間ぶりの高値で引けた。
西側が提供した長射程ミサイルの使用を拡大したウクライナは、この日はロシアが「新たな」種類の弾道ミサイルでドニプロを攻撃したと主張した。ロシアが使用したのは大陸間弾道ミサイル(ICBM)ではないとの米当局者情報を受け、原油価格は伸び悩んだ。北海ブレント原油先物は今月7日以来の高値で引けた。
需要改善の兆候にも価格は支えられた。石油製品の精製マージンは数カ月ぶりの水準に上昇している。米国ではガソリンとディーゼル油の精製マージンが、最近になって8月以来の高水準に達した。メキシコ湾岸の燃料メーカーが輸出需要の増加に応えようと、生産を強化したことが背景にある。
エリック・リー氏らシティグループのアナリストは「ショートサイドへの相場傾斜は以前ほど行き過ぎているようにはみえない。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」の会合まで数週間は、時折不安定になることはあるものの、全般には横ばいに近い値動きになり得る」とリポートで分析。「中東およびロシア・ウクライナの戦争で供給が混乱し得る強気リスク」と、トランプ次期政権が関税と規制緩和を導入した場合の弱気要因のせめぎ合いになっていると指摘した。
原油相場は10月中旬から不安定な展開。中国需要に対する不安と、商品投資の妙味低下につながり得るドルの上昇が相場に影響を与えている。来年の需給は供給超過になると予想されている。OPECプラスが増産にかじを切るかどうかが注目されており、それが地政学的要因による相場上昇を抑え込んでいる。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は、前日比2%高い1バレル=70.10ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント1月限も2%上昇し74.23ドル。
金
ニューヨーク金相場は4日続伸。ウクライナでの戦争激化で逃避の買いが続いた。
ロシアは「新たな」種類の弾道ミサイルをドニプロ攻撃に使用したと、ウクライナ当局が主張。これを受けて金相場はオンス当たり2660ドルを超えた。地政学的な緊張激化は金にプラスに作用する傾向がある。
金相場は米大統領選挙のトランプ氏当選直後の下げを埋めつつある。年初からは30%近く上げており、来年には過去最高値を更新するとの見方が広がっている。ゴールドマン・サックスとUBSはいずれも、金への強気見通しを最近明らかにした。
米金融政策が緩和サイクルに入ったことで、投資家は金現物を裏付けとする上場投資信託(ETF)に買いを入れる余裕が出てきたと、ゴールドマンのアナリスト、サマンサ・ダート氏はブルームバーグテレビジョンで指摘した。金ETFの金保有高は今年減少している。
トランプ次期政権でインフレ率が上昇する可能性があり、利下げペースの減速もしくは一時停止につながり得ると投資家は神経質になっていると、フィリップ・ノバの市場アナリスト、プリヤンカ・サッチデーバ氏は指摘した。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時25分現在、前日比20.80ドル(0.8%)上昇の1オンス=2671.40ドル。ニューヨーク商品取引所の金先物2月限は23.70ドル(0.9%)高い2699.30ドルで引けた。
原題:Trump Trade Boosts Stocks, Bitcoin Run at $100,000: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Extend Losses in Late Session as Stocks Push Higher(抜粋)
Dollar Rises; Yen Gains on Geopolitical Risks, BOJ: Inside G-10(抜粋)
Oil Rises on Signs of Further Escalation in Russia-Ukraine War(抜粋)
Gold Climbs for Fourth Day as War Worries Fuel Haven Demand(抜粋)