Rheaa Rao

  • 米小売売上高は消費の底堅さ示唆、18日の利下げ見通しほぼ変わらず
  • 米国債相場ほぼ変わらず、20年債の入札不調-原油と金は下落

17日の米国株式相場は下落。市場は18日に明らかになる連邦公開市場委員会(FOMC)会合の結果と来年の予測に身構えている。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6050.61-23.47-0.39%
ダウ工業株30種平均43449.90-267.58-0.61%
ナスダック総合指数20109.06-64.83-0.32%

  ナスダック100指数は0.4%下げた。ダウ工業株30種平均は9日続落と、1978年以来の長期連続安となった。

  11月の米小売売上高は個人消費の底堅さを浮き彫りにした。BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン氏は「明日のFOMCで25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利下げが決まるとのコンセンサスは健在で、これを変える材料は統計にはなかった。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が2025年早期の一時停止に向けて市場に準備を促すとの見方も同様だ」と述べた。 11月の米鉱工業生産指数は予想外に低下し、3カ月連続のマイナスとなった。

  市場の関心は今年最後の金利決定に向けられた。25bpの追加利下げが広く予想されているが、その後数カ月がどうなるかが不透明だ。米経済は底堅い一方、インフレ高進を伴う輸入関税をトランプ次期米大統領が提案しているため、FOMCはこの先の利下げペースについて考える可能性がある。 

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)のブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標が3.75%まで引き下げられるとした同行の見方を明らかにした。現行水準から3回の追加利下げを意味する。

  「もう少し引き下げる必要がある。より慎重にならなくてはならない。経済が3カ月前や6カ月前にわれわれが考えていたより強いが、なお潜在的な弱さを抱えているからだ」とモイニハン氏はブルームバーグテレビジョンで話した。

  モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのクリス・ラーキン氏は、小売売上高のような強い経済統計が続けば、1月の利下げ見送り説が強化される可能性があると指摘した。

  ニュースレター「ザ・セブンズ・リポート」の創業者トム・エッセイ氏は「明日のFOMCによる決定が株式や債券にとってポジティブなのかネガティブなのか、あるいは中立なのかを決定付けるのは、実際の利下げではない。2025年の利下げについてFOMCが何と言うかによって決まる」と述べた。

  医薬品大手ファイザーは4.7%高。同社が示した2025年通期の売上高と利益の予想は、アナリスト予想とほぼ一致した。同社を巡っては、経営が不適切だと批判するアクティビスト(物言う投資家)との対立が公になっているが、今回の業績見通しはそうした批判をかわす上で一歩前進した格好だ。

  ウォルト・ディズニーは英BBC放送のスタジオ部門と協力し、子供向け人気アニメ「ブルーイ」を原作とする初の劇場用長編映画を2027年に公開すると発表した。

米国債

  米国債相場はほぼ変わらず。英国債の売りに影響された朝方の下げから反転した。原油安も反転を後押しした。その後20年債入札で需要が弱かったため、上昇分を縮小した。18日の利下げ発表と予測修正への期待から、フェデラルファンド(FF)金利先物市場の商いは活発だった。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.58%-1.5-0.32%
米10年債利回り4.39%-0.4-0.09%
米2年債利回り4.24%-0.8-0.20%
  米東部時間16時32分

  10年債利回りは一時4bp余り上昇し、11月21日以来の高水準を付けた。

  入札では最高落札利回りが入札前取引(WI)の利回りを1.5bp上回り、午後の相場回復を抑制した。プライマリーディーラー落札分は17.9%と前回より少なく、直接応札の落札分は20.1%に急伸。間接応札の落札分の低下を相殺した。

  FF金利先物市場は引き続き活発で、大口の取引は買い傾斜が続いている。FF金利スワップ市場は現時点で18日の発表に向けて約22bpの利下げを織り込んでいる。12月と1月会合を合わせた緩和の織り込み具合は合計で27bp。

  インサイト・インベストメントの北米債券責任者ブレンダン・マーフィー氏はFOMCについて「最近のデータが比較的強く、利下げの必要性が明白ではないという課題を抱えている」と述べた。

Bond Index Yield Exceeds Cash and Fed's Target
ブルームバーグ米総合債券指数とFF金利上限、3カ月物Tビル金利出所:ブルームバーグ

  ピムコのリチャード・クラリダ、モヒト・ミッタル両氏は追加利下げが「既定路線ではない」ものの、「徐々に金利を引き下げるというのが、最も可能性の高いシナリオだ」とリポートで指摘した。

外為

  外国為替市場ではブルームバーグ・ドル指数が小幅高。ドルは対円では下げ、1ドル=153円に近づいた。米小売売上高は強弱混在した統計となり、米国債利回りを圧迫した。トレーダーの関心は18日のFOMC会合に集まっている。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1289.480.940.07%
ドル/円¥153.53-¥0.62-0.40%
ユーロ/ドル$1.0490-$0.0022-0.21%
  米東部時間16時32分

  金利スワップ市場は18日の25bp利下げを約90%の確率として織り込んでいる。

  シティのジゼラ・ホクシャ、アンドルー・ホレンホースト両エコノミストは「個人消費は全般的に底強さを維持しており、消費は成長をけん引し続けているが、今後の軌道は労働市場が堅調を維持できるか、あるいは一段と悪化するかで決まってくる」と述べた。

  ドルは153円16銭まで下げた。円安がこれ以上進行すれば日本当局による口先介入の引き金となるほか、日本銀行に利上げ圧力を加えかねないと、ストラテジストらは警告している。

  ドルは対カナダ・ドルで一時2020年3月以来の高値を付けた。カナダではフリーランド財務相の辞任が波紋を広げており、解散総選挙の可能性が高まっている。

  ブラジル・レアルは過去最安値。債務と財政赤字の拡大が懸念されている。中央銀行はレアル安に歯止めをかけようと、30億ドル余りのドル売り介入を実施した。

原油

  ニューヨーク原油先物は続落。前日に続いて中国需要懸念が意識された。

  原油先物は今年後半、2025年の需給への懸念を背景に約14%下落。10月半ば以降は狭いレンジでの推移が続いていたが、中国需要に対する悲観を受けて先物価格はレンジ相場の上限から離れた。

  みずほセキュリティーズUSAのエネルギー先物部門ディレクター、ロバート・ヨーガー氏は「中国のデータをきっかけにした弱気モメンタムは、相場が過去2カ月のレンジを上抜けるとの投機筋の期待を打ち砕いた」と述べた。

   パレスチナ自治区ガザでの停戦について、イスラエル当局者が過去1年で最も現実的な見通しになっているとの見解を表明したことも、原油相場には逆風となった。

関連記事:イスラエル、ガザ停戦交渉で突破口の兆し-数日内に合意成立の見方も

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は、前日比63セント(0.9%)安の1バレル=70.08ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は72セント(1%)安の73.19ドルで引けた。

  金相場は下落。FOMCを含む主要中銀の政策発表が今週相次ぐのを控え、他の商品市場や株式市場と同様に売りが優勢となった。

Gold Slips Ahead of Fed Meeting | Bullion has surged 28% this year
上段:金スポット価格と100日移動平均、50日移動平均、下段:相対力指数【14日ベース)出所:ブルームバーグ

  ただ、金スポット価格は年初来では28%余り上昇しており、年間ベースで2010年以来の大幅高に向かっている。

  シティグループの商品調査グローバル責任者マックス・レイトン氏は、ブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで「金はややゴルディロックス的な状況にある」と指摘。インフレ率が予想より高いままでも低いままでも、金相場は米経済減速と金利低下の両方から恩恵を受けられるとの見方を示した。

  金スポット価格はニューヨーク時間午後2時現在、前日比5.01ドル(0.2%)安の1オンス=2647.71ドル。ニューヨーク商品取引所の金先物2月限は同8ドル(0.3%)下落し、2662ドルで引けた。

原題:Stocks Drop Before Fed’s Last Decision of the Year: Markets Wrap(抜粋)

原題:Treasuries Erase Move to Month’s Yield Highs, End Little Changed(抜粋)

原題:Dollar Edges Higher Ahead of Fed; Loonie Pressured: Inside G-10(抜粋)

原題:Treasuries Erase Move to Month’s Yield Highs, End Little Changed(抜粋)

原題:Oil Dips as Equity Market Weakness, Chinese Data Weigh on Prices(抜粋)

原題:Oil Declines as Weak Chinese Economic Data Weighs on Outlook(抜粋)

原題:Gold Falls Alongside Stocks, Commodities Ahead of Fed Decision(抜粋)

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ホンダと日産が統合巡り協議開始へ、三菱自の合流視野-日経

ドーソン・チェスター

2024年12月18日 3:03 JST 更新日時 2024年12月18日 4:33 JST

  • 実現なら世界有数の自動車メーカー誕生、日本勢は実質2陣営に
  • EV市場でテスラや中国勢に対する競争力強化に寄与する見通し
Makoto Uchida, left, and Toshihiro Mibe pose for a photograph during a joint news conference in Tokyo, on Aug. 1.
Makoto Uchida, left, and Toshihiro Mibe pose for a photograph during a joint news conference in Tokyo, on Aug. 1. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

ホンダ日産自動車が経営統合に向けた協議に入ると、日本経済新聞が日本時間18日未明に報じた。報道によると、傘下に両社が入る持ち株会社を設立する方向で調整中で、近く覚書を結ぶ。

  将来的には、三菱自動車の合流も視野に入れているという。統合比率などの詳細は今後詰める予定だと日経は伝えた。

  報道を受けて、日産の米国預託証券(ADR)は一時17%上昇。ホンダのADRは一時3.6%高となった。

  こうした統合が実現すれば、世界でも有数の自動車メーカーが誕生することになり、日本の自動車業界は実質的に二つの陣営に集約される。ホンダと日産は世界規模で競争するためのリソース拡充にもつながる。

  日産とホンダが協業の検討を始めると発表したのは今年3月。8月には協業の強化を発表し、次世代車「ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)」など5つの分野で協業に合意していた。

  その際、ホンダの三部敏宏社長は日産との資本提携の可能性について、現時点でそういった話はしていないが、今後の可能性は「別に否定するものではない」と述べていた。

関連記事:ホンダ・日産協業強化、競争激化で強い危機感-三菱自加え規模確保

  日産とホンダは日経の報道内容を確認するには至らなかったが、ともに将来の協力関係についてさまざまな可能性を模索していると声明で述べた。

  ホンダは、何か新たな情報があれば、適切な時期にステークホルダーに報告するとしている。

Honda’s and Nissan’s Diverging Fortunes

Nissan’s valuation has slumped since Carlos Ghosn’s 2018 arrest

https://www.bloomberg.com/toaster/v2/charts/yeh9wae9861bnffoo5b4rfengnm6ipra.html?brand=cojp&webTheme=default&web=true&hideTitles=true

Source: Bloomberg

  両社の統合は、米テスラや中国メーカーなどが勢いを増す電気自動車(EV)市場で競争力を強化する狙いがあるとみられる。

  一方、日産の信用リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は今月に入り、信用格付けの見通しが相次ぎ下方修正されたことを受けて2年超ぶりの高水準に拡大。日産株は内田誠社長が就任した2019年12月1日から11月末までに47%下落していた。日産はまた、アクティビスト(物言う投資家)からの圧力にも直面している。

  フィナンシャル・タイムズ(FT)は先月、日産が仏ルノーの保有株の一部を引き受ける銀行や保険グループなど長期安定株主を模索しており、ホンダによる株式一部取得の可能性も排除していないと報じていた。

  ホンダは、ハイブリッド車の販売を強化する一方で、EVの生産能力増強にも投資を継続している。

  ホンダ、日産、三菱自動車の3社を合わせた今年上期の世界販売台数は約400万台。トヨタの販売台数520万台をなお大きく下回る。

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