Rita Nazareth

  • テスラなど大型株買われる、トランプ氏と習氏との会談もプラス材料
  • 米国債相場も週間で上昇、10年債利回りは約15bp下げる
Stocks see best week since November presidential election.
Stocks see best week since November presidential election. Photographer: Yuki Iwamura/Bloomberg

17日の米株式相場は反発。S&P500種株価指数は、週間では昨年11月の大統領選の週以来の大幅高となった。20日にはドナルド・トランプ氏の米大統領就任式が行われる。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数5996.6659.321.00%
ダウ工業株30種平均43487.83334.700.78%
ナスダック総合指数19630.20291.911.51%

  S&P500種では主要な業種別指数の大半が値上がり。テスラとエヌビディアが大型株の上げを主導した。インテルは9%超の上げ。買収の標的になっているとの一部報道に反応した。このほか、トランプ次期米大統領と中国の習近平国家主席が電話会談し、動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」や貿易などについて協議したとの報道も、センチメントにプラスとなった。S&P500種は週間で2.9%上昇。

関連記事:トランプ氏、中国の習主席と電話会談-TikTokや貿易を巡り協議

  トランプ氏は、追加関税や減税といった最優先事項に重点を置く考えを表明している。大統領選後は、トランプ氏の提案する政策が企業利益を押し上げるとの見方から株価は上昇した。昨年12月には米連邦公開市場委員会(FOMC)がタカ派的なシグナルを発したことで株は下げたが、最近はインフレ鈍化がデータで示唆され、利下げ観測が再燃している。

  パイパー・サンドラーのクレイグ・ジョンソン氏は「今週のデータでインフレ鈍化が示されたことと、一部金融機関の決算に対する明るい反応により、債券と株式は上昇した」と指摘。「このところ短期的に見られた売られ過ぎの状況と強気センチメントの弱さが、主要指数の回復を下支えしている」と分析した。

  ネーションワイドのマーク・ハケット氏は、株価の反発は心強く、強気筋と弱気筋のバランスが均衡状態になりつつあることを示唆していると指摘する。

  同氏は「相場は決算シーズンを通じてジグザグパターンが続く可能性が高い」としつつ、「決算シーズンが終わって期待値がリセットされ、買い戻しの窓が再び開かれれば、強気筋は再び主導権を握ることができるだろう」と分析した。

S&P 500 Is Heading for Best Week Since November | The index is tracking the biggest advance since election week

  ジャニー・モンゴメリー・スコットのダン・ワントロブスキ氏は「3連休となる週末を控え、米国株は上昇を続けているようだ」とした上で、「テクニカル面での設定はほぼ完璧だった。売られ過ぎの状況とポジティブなニュースがぶつかり合い、現在の上昇をもたらしている」と述べた。

  20日にトランプ氏が大統領に就任した後は、株式投資家は安堵(あんど)できそうだ。過去の例を見ると、S&P500種のパフォーマンスは大統領就任式の後に改善することが多い。

  ジェフリーズのアナリストはS&P500種について、「就任式の前後は不安定な動きとなるケースが多い」としつつ、数カ月後には改善し始めると指摘。就任式前の6カ月では平均8.3%の上昇だが、就任式後の12カ月では約9.5%上昇すると説明した。

  20日の米金融市場はキング牧師の生誕記念日の祝日で、株式や債券など一部が休場となる。

国債

  米国債市場では10年債がほぼ変わらず。週間では上昇し、利回りは約15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.85%-0.1-0.02%
米10年債利回り4.62%0.80.18%
米2年債利回り4.28%5.01.19%
  米東部時間16時40分

為替

  外国為替市場ではブルームバーグのドル指数が上昇。ただ午前中は、トランプ次期米大統領と中国の習近平国家主席との電話会談の詳細が報じられた後に一時下げる場面もあった。主要通貨では円の下げがきつい。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1316.143.450.26%
ドル/円¥156.22¥1.060.68%
ユーロ/ドル$1.0271-$0.0030-0.29%
  米東部時間16時40分

  円は対ドルで値下がりし、一時156円37銭を付けた。

円は値下がり

  杉崎弘一氏らモルガン・スタンレーMUFG証券のストラテジストは、リポートで、トランプ次期米政権が厳しい関税賦課を直ちに発表しなければ、FOMCの追加利下げと日銀の正常化継続という見方により、日米金利差は縮小に向かうだろうと記した。

  スワップ市場は、日銀が来週の会合での0.25ポイント利上げする可能性を約90%織り込んでいる。

原油 

  ニューヨーク原油先物相場は続落。ただ、週間ベースでは4週連続高となった。寒波の影響で既に需給がタイトだったところに、米国の対ロシア制裁により世界的な供給リスクが高まった。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物はこの日、1バレル=78ドルを下回ったが、週間では2%近く上昇。

  バイデン米政権が先週、ロシア石油業界に厳しい制裁を科したことで原油輸送コストが大幅に上がっている。中国やインドなど長年ロシア産原油の買い手だった国が他の供給元を探る動きも見られている。

関連記事:バイデン政権、ロシア石油業界に包括的な新制裁-取引の締め付け強化

  BOKファイナンシャル・セキュリティーズのシニアバイスプレジデント、デニス・キスラー氏は、ロシアからの石油密輸に関わっているとされる「タンカー183隻などへの制裁が、原油相場の焦点となっている」と指摘した。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は、前日比80セント(1%)安い1バレル=77.88ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント3月限は50セント(0.6%)安の80.79ドルで引けた。

  金相場は反落。カザフスタンの中央銀行が、国内の生産者から購入した金を国際市場で売却すると表明したことが響いた。同中銀によれば、カザフスタンは年間約65トンの金を生産。中銀は2011年以降、自国で採掘された金を全て購入している。

  金スポット相場はこの報道後に動きがやや大きくなった。プラス圏に戻る場面もあったが、その後に下げ幅を拡大した。

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  スポット相場はニューヨーク時間午後3時6分現在、前日比12.63ドル(0.5%)安の1オンス=2701.68ドル。週間では3週連続高となった。今週発表されたインフレ指標が市場予想を下回ったことを受け、年内の米利下げ観測が再び強まったことが背景にある。

  ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は2.20ドル(0.1%)安の2748.70ドルで引けた。

原題:S&P 500 Has Its Best Week Since November Election: Markets Wrap(抜粋)

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