1月16日 午後3時より行われた、安野貴博による日本の行政・政治をアップデートするAIプロジェクト「デジタル民主主義2030」を開始、実証実験の協力自治体・政党を募集発表会見の内容を本投稿でもご紹介いたします。
以下、書き起こし全文
みなさま、本日は大変お忙しい中、急な呼びかけにもかかわらずお集まりいただき、ありがとうございます。
このたび、私、安野貴博は、デジタル民主主義の実現に向けた、新たなプロジェクト「デジタル民主主義2030」について発表いたします。今まで私は都知事選や衆院選、GovTech東京のアドバイザー等で、AIを活用しながら市民の声を可視化するという取り組みをしてきました。今回は、政治・行政をアップデートするために活用できるAIシステムとして、今年の夏に控える参院選・都議選という時間軸を視野にいれつつ、新たに開発プロジェクトを立ち上げ、協働で実証実験を行う自治体・政党・政治家などを募集いたします。
本日はこのプロジェクトがどのようなもので、国・地方自治体・政党でどのように活用いただけるものであるのかをお話しさせていただきたく、
- 1)2025年現在のデジタル民主主義とAIの可能性について
- 2)ブロードリスニングのさらなる進展について
- 3)新プロジェクト「民意による政策反映」
- 4)新プロジェクト「政治資金の透明化」
- 5)皆様にご協力いただきたいこと
の5つについてお話しします。
1)2025年現在のデジタル民主主義とAIの可能性
まず2025年現在のAIの可能性について、改めてお話しさせてください。昨年は政治においてAIやその他のデジタル技術がどのように使われるとよいか、議論や試行錯誤が大きく進んだ1年であったと思います。私も、昨年夏の都知事選でAI技術を活用した選挙活動を行いました。その後も様々な選挙でSNSやデジタル技術はどのように活用されるべきか、良い点、悪い点の双方について議論が広がったと思います。
技術的な側面を見れば、昨年は大規模言語モデルにおける推論スケーリング則が発見され、OpenAIのo1シリーズなどで飛躍的に性能を伸ばし、自然言語を処理する能力が大幅に向上しています。また、これからは人とAI、さらにはAI同士が連携して自律的にタスクを実行する「AIエージェント」という新たな潮流が始まろうとしています。AIが人間同士のコミュニケーションを効果的に仲介・促進できる能力を獲得しはじめており、行政や政治のあり方を変える可能性があると考えています。
そうした中で、2024年が民主主義におけるデジタル技術の可能性を示した1年だとすると、2025年はそこから一歩進んで、デジタル技術が民主主義のあり方を実際に変えはじめる、まさにデジタル民主主義元年と位置づけられる一年になると考えています。そうした進歩の一端を担うような仕組みとして、今回、複数のオープンソースの開発プロジェクト『デジタル民主主義2030』(ニーマルサンマル)を開始します。この名称は5年後の政治・行政の当たり前を作ろうという意図が込められています。
2)ブロードリスニングのさらなる進展:Talk to the Cityの実用化
たくさんの人の声を聴く、いわゆるブロードリスニングについては、昨年の都知事選や衆院選を通して、訴えてきたことであります。これを可能にするオープンソースツールの一つである”Talk to the City”の改善活動に関して、都知事選の頃から継続的に行って参りました。
昨年末には東京都でも新たな長期戦略の策定で活用いただいたり、日本テレビの選挙特番「zero選挙」でも衆議院選挙のX投稿の解析に活用されました。今後さらに広く、自治体・行政・国・政党などで活用いただける取り組みになるよう、継続的にアップデートを進めてまいります。
本ツールは従来のパブリックコメント等の試みをより一段高度化しうると考えており、全国の自治体等にて潜在的な活用可能性があると認識しています。具体的には、エンジニアがいなくとも、特別な知見がなくとも使えるようにする改善や、より政策立案に対して有益な学びを抽出する機能、解析アルゴリズムの改善等を予定しております。
3)新プロジェクト「民意による政策反映」: デジタル上で大規模熟議が可能なプラットフォーム構築
次に、新プロジェクト「民意による政策反映」です。ブロードリスニングが意見の可視化や全体像のマッピングを主としたものであるのに対して、ここでは政策反映、つまり意見が集まって具体的な政策案になり、それが実現していくまでの合意形成、大規模なオンライン上での熟議を実現するシステムを作ろうというプロジェクトです。
本プロジェクトでは先行する台湾の事例を参考にしています。台湾ではJOINやvTaiwanという仕組みがあり、オードリー・タンさんもデジタル担当大臣の時に携わっておられたのですが、要は人々の声を集めて可視化をした上で、政策案に対してどれだけ賛成・反対や意見が集まったのかを整理しながら、立法のプロセスに乗せていくことで、政策実現までを支えるようなシステムを作るものです。例えばJOINでは5000人の賛同が集まった案について、政府が検討することを約束しており、すでに250件以上の政策が検討プロセスに乗せられたと言われています。
永田町だけ、あるいは地方議会だけで議論が進んでいて、一般の有権者の声は届かないのか、といった問題意識に対して、「興味関心がある方であれば誰でも政策について議論できる」という場をAIとWebの技術で実現していきます。
4)新プロジェクト「政治資金の透明化」: 政治資金透明化ダッシュボード開発
昨年の衆院選でも、政治とカネにまつわる問題が大きく取り沙汰されました。私はこの課題を根本的に解決する鍵は透明化にあるのではないかと考えています。考える上で、キャッシュレス化が進んでいるスウェーデンの事例が参考になります。スウェーデンでは閣僚に対してクレジットカードが政府から貸与され、何にどれだけ使ったのかのクレジットカード明細がどんどん開示されるようになっています。
同様の試みは、草の根で日本でも始めることができると思います。個人や企業がクラウドサービスの会計アプリを使って、きちんとお金の流れを見える化しているように、政治家も現代的なシステムを使ってダッシュボード上でお金の流れの可視化を行い、それを市民にも公開することができると思っています。
このような仕組みは市民のためのみならず、政治家のためにもなると考えています。政治活動・政策実現に注力できるよう、なるべく限定的な事務コストで資金管理ができるようにすることは事務コストの削減に繋がります。更に、透明化に対する強いコミットメントを示すことにもつながり、市民の方の理解も集められるものになると考えます。本プロダクトを利用しようと思う議員が徐々に増えてゆくことによって、ボトムアップで政治とカネの問題を解決する道を探りたいと考えています。
5)皆様にご協力いただきたいこと
今回ご紹介したプロジェクト『デジタル民主主義2030』では、政治的な立場や国・地方・政党などの枠を超え、誰でも無料でオープンソースのシステムを活用して実証実験を開始できるプロジェクトです。すべての自治体、政治家、首長、政党の方々に、積極的にご利用いただきたいと思っており、もしご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報いただければと思います。ただし、私たちのプロジェクトは、特定の政治家や政党のみを支援することはせず、あくまで中立的な立場から技術基盤や知見を提供してまいります。
開発については、既に10名ほど、チームメンバーが集まってプロジェクトを開始しており、例えば東京大学特任研究員で『なめらかな社会とその敵』の著者である鈴木健さんにもボードメンバーとして参画いただいています。開発や活用をサポートいただく方は引き続き募集しており、関心がおありの方はぜひご連絡いただければと思います。
技術は良い方向にも悪い方向にも使えます。どの方向に技術を使おうとするかによって、大きく社会のかたちが変わるような時代に私達は生きています。是非、一丸となって、どのような社会を作るために技術をどう使うべきかを一緒に模索できればと思います。
私からの話は以上です。それでは、質疑応答に移りたいと思います。
動画は下記よりご覧下さい
本記事で使用したサムネイル画像は、aismiley.co.jp より拝借いたしました。
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7/7東京都知事選候補者、安野たかひろ(33歳・無所属)のスタッフが運営する事務所公式アカウントです。テクノロジーで、誰も取り残さない東京へ。 本人: https://note.com/takahiroanno/