日向貴彦、Min Jeong Lee
- プロジェクトファイナンスを活用、銀行や保険などから資金呼び込み
- AI巨額投資には期待と不安、過去にはウィーワークなどで失敗も
ソフトバンクグループ株は13日、一時前日比5%安の9366円を付けた。前日に同社の後藤芳光最高財務責任者(CFO)が、米国での人工知能(AI)インフラ整備に向けて外部資金を活用すると説明したが、アナリストからは同計画で得られる利益について慎重な見方がある。
ジェフリーズ証券のアナリスト、アツール・ゴヤール氏は12日付のリポートで、スターゲート計画を担う合弁会社が、どのような投資をするか、ソフトバンクGがどのように投資先からリターンを得るかについては慎重にみる必要があると述べた。
後藤氏は前日の決算説明会で、で、一定の市場規模があるプロジェクトファイナンスを用い、多くの投資家を呼び込む考えを説明した。石油やガスなどのインフラ整備に使われる同手法は、銀行や保険、年金、ファンドなどさまざまな投資家からニーズがあると説明。「他の商品よりも魅力的だと思われれば、こちらの方を優先して取り組む投資家もたくさんいる」と述べた。
ソフトバンクGはエクイティーのみで、負担する金額は「通常の財務活動の中でしっかり財務ポリシーを守っていける」範囲に収まるという。スターゲート計画の1号案件は今期中となる可能性を示した。
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2024年3月期まで3期連続の赤字で守勢を強いられてきた同社だが、米国で巨額投資を計画するなど「反転攻勢」に出ている。1月には、米国でのAIインフラ整備に今後4年で5000億ドル(約77兆円)を投じる「スターゲート・プロジェクト」を発表。ただ同社はこれまで米ウィーワークやインドのOYO(オヨ)などへの投資に失敗し、財務状況に不安をもたらした経緯がある。
再び赤字転落
ソフトバンクグループが発表した24年10-12月期(第3四半期)の業績は3692億円の純損失と、再び赤字に転落した。ブルームバーグが集計したアナリストによる予想平均は1548億円の赤字だった。損失額は23年7-9月期に次ぐ規模だ。
同社の発表によれば、ビジョン・ファンド(SVF)事業の同四半期の税引き前損益は3099億円の赤字だった(前年同期は4227億円の黒字)。投資の実現損益は151億円の赤字、未実現評価損益が3239億円の赤字だった。
SVFの投資先別累計損益では、シンガポールの配車アプリのグラブ・ホールディングスなどはプラスだったが、中国最大の配車サービス会社、 滴滴グローバルやロボットストレージシステムを手掛けるノルウェーのオートストアなどはマイナスだった。
後藤氏は、SVF2を通じて1月にオープンAIに15億ドルの追加出資を実施したことで、現在の総投資額が20億ドルになったことも明らかにした。さらなる追加出資については、「臆測」だとしてコメントを控えた。