Erik Wasson、Billy House

  • トランプ氏の立法上の最優先事項を議会でスムーズに通過させる狙い
  • 10年間で4.5兆ドル減税提案-メディケイドなどで歳出削減も要求

米下院の共和党指導部は12日、予算決議案を公表した。数兆ドル規模の減税と現行36兆ドル(約5600兆円)の連邦債務上限の引き上げに向けて第一歩を踏み出したが、党内の溝が深まる可能性もある。

  予算決議案は、トランプ大統領の立法上の最優先事項を議会でスムーズに通過させるのが狙い。トランプ氏は2017年に成立した個人・法人減税措置の延長、国防および国境警備費の増額、他の歳出削減を最優先に掲げている。

  予算決議案に盛り込まれた約2兆ドルの歳出削減では、メディケイド(低所得者向け医療保険制度)やフードスタンプ(低所得者向け食料支援)といった社会的なセーフティーネットの根幹となる制度の縮小を迫られる可能性が高いと、上院予算委員会の元共和党スタッフディレクターで、現在はシンクタンクの超党派政策センター(BPC)に所属するウィリアム・ホーグランド氏は指摘した。

  下院で共和党がわずかな優勢にとどまり、党内もまとまらない状況を踏まえると、いかなる提案の可決も確実とは言えない。民主党は反対で団結する見通しだ。共和党議員2人が造反すれば、この計画は頓挫する可能性がある。

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ジョンソン下院議長Photographer: Aaron Schwartz/CNP/Bloomberg

  予算決議案についてジョンソン下院議長は記者団に対し、今後数日間を使って共和党議員の支持を集める方針を明らかにした。

  予算決議案は下院予算委員会に対し今後10年間で4兆5000億ドルの減税を認める内容。ただ社会保障などのプログラムで他に節約できる分野が見つかれば、さらに大幅な減税を認める可能性がある。

  4兆5000億ドルという基準は、トランプ政権1期目の17年に成立した減税措置をそのまま延長した場合の規模にとどまる。チップへの課税廃止やトランプ氏の他の選挙公約実現などの税制改正には、財源確保に向けさらなる歳出削減または増税が必要になる。

  また、メディケイド、医療保険制度改革法(オバマケア)に基づく補助金、フードスタンプなどのプログラムで、今後10年間で少なくとも1兆5000億ドルの歳出削減も盛り込まれた。

  一方、連邦債務上限については、4兆ドルの引き上げを早急に進めることで、年内の支払い義務で壊滅的なデフォルト(債務不履行)に陥る事態を回避するとしている。

  共和党議員数十人は本来、債務上限引き上げに反対する立場で、これまで連邦債務上限引き上げに賛成票を投じたことはない。過去の事例でも上限引き上げには超党派の支持が必要だった。

  債務上限は1月2日に復活したが、財務省は会計上の措置を通じて恐らく夏ごろまではデフォルト回避が可能。

原題:Quarreling Republicans Float Plan to Cut Taxes, Raise Debt Limit(抜粋)