Rita Nazareth

  • 米国の次回利下げ予想、9月までに時期早まる-短期金融市場
  • ドル指数は年初来安値を更新、ユーロ4日続伸-原油3日続落

14日の米国債相場は続伸。この日発表された米小売売上高が市場予想以上に減少したことを受け、米利下げ観測が再び強まった。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.70%-3.8-0.80%
米10年債利回り4.48%-5.3-1.16%
米2年債利回り4.26%-4.8-1.11%
  米東部時間16時49分

  10年債利回りは4.5%を割り込んだ。10年債相場は週間ベースでは5週連続の上昇と、2021年7月以降で最長の上昇局面となった。

  短期金融市場では次の米利下げ時期予想が早まり、9月までに実施されるとの見方が完全に織り込まれた。

  1月の米小売売上高は前月比0.9%減と、約2年ぶりの大きさで減少した。市場予想は0.2%減だった。

関連記事:米小売売上高、1月は約2年ぶりの大幅減-幅広い分野で落ち込む (2)

  トレードステーションのデービッド・ラッセル氏は「消費者マインドに関する指標は、消費者が不安になっていることを示していた。この日の弱い小売売上高でそれが確かめられた」と指摘。「しかし、その結果生じるスラック(たるみ)は、米金融当局にとっては良いニュースだ。バランスを利下げ方向へともう少し傾けることになる」と述べた。

Treasury Yields Fall After Weak Retail Sales

株式

  米株式市場では、S&P500種株価指数が過去最高値近辺で推移し、前日比ほぼ変わらずで終了。ナスダック総合指数は小幅に上昇した。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6114.63-0.44-0.01%
ダウ工業株30種平均44546.08-165.35-0.37%
ナスダック総合指数20026.7781.130.41%

  個別銘柄では、メタ・プラットフォームズがこれで20営業日続伸。デル・テクノロジーズも高い。イーロン・マスク氏の人工知能(AI)事業であるxAIと、サーバー分野で50億ドル(約7620億円)超の取引を行う方向で協議していると伝わった。

US Stock Futures Slump After Trump Follows Through On Tariffs
NY証券取引所のトレーディングルームPhotographer: Michael Nagle/Bloomberg

  小売売上高について、インタラクティブ・ブローカーズのスティーブ・ソスニック氏は「きょうの指標から得られる前向きなシナリオはこうだ。景気が減速して金利が低下する。個人消費の弱さは一時的なもので、投資家の株式選好には影響を与えない」と指摘。

  「その逆はもっと悪いシナリオだ。消費者と政府がいずれも財布のひもを固く締め、米金融当局が望むより、あるいは対応可能なペースよりも速く国内総生産(GDP)に影響を与えるというものだ」と指摘した。

  米金融市場は週明け17日、プレジデンツデーの祝日で休日となる。

外為

  ニューヨーク外国為替市場では、ドル指数が年初来安値を更新。弱い米小売売上高に加え、米関税政策を巡る不透明感が続いていることで、ドルに対する強気な見方が揺らいだ。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1288.17-3.72-0.29%
ドル/円¥152.31-¥0.49-0.32%
ユーロ/ドル$1.0495$0.00300.29%
  米東部時間16時49分

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.5%安。小売売上高の発表を受け、米利下げ時期に関する市場の織り込みが12月から9月に早まった。 

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)の市場戦略グローバル責任者、ウィン・シン氏は小売売上高について、年内の米利下げ幅に関し再評価を促すことになると指摘。その上で、市場は1回の悪い統計で「パニックボタンを押す」べきでないと述べた。

  同氏は実質賃金の伸びと労働市場の健全さを挙げ、米国の個人消費は引き続き「期待が持てる」と話した。

  みずほのFICC戦略責任者、ジョーダン・ロチェスター氏は「ドルは不安定な状態にある。トランプ氏の発言が日々変わるので、市場はやや方向感を失った状態が続いている」と述べた。

Dollar Falls to Fresh Low of the Year

  円は対ドルで続伸。小売売上高の発表後に上げ幅を拡大し、一時0.5%高の1ドル=152円03銭を付けた。その後はやや上げを縮小して152円台前半での推移となった。

ドル・円相場の推移

 

Speculators Are Paring Long Dollar Bets

They now hold some $31.2 billion in bullish greenback bets

https://www.bloomberg.com/toaster/v2/charts/x55rh00pwzm9sqcxqzbo1tyu0xp2pfi5.html?brand=cojp&webTheme=default&web=true&hideTitles=true

Source: CFTC, Bloomberg

Note: Data includes net futures positions recorded by CFTC through Feb. 4, 2025

  ユーロは対ドルで4日続伸。欧州各国を対象とした米国の関税は即座に導入されることはないことが分かり、買いが続いた。

  この日発表されたユーロ圏の2024年10-12月(第4四半期)域内総生産(GDP)改定値は前期比0.1%増。速報値ではゼロ成長とされていた。

関連記事:ユーロ圏GDP改定値、10-12月期は0.1%増-ゼロ成長から修正 (1)

原油

  ニューヨーク原油相場は3日続落。主要な市場指標が供給は十分にあることを示したほか、米国がイランの原油輸出を削減させる実現性が薄いとして売りが出た。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物で期近2限月の価格差は一時1セントまで縮小。昨年11月以降で最小となった。1カ月前は1.52ドルあった。

  ベッセント財務長官はフォックス・ビジネスに対し、イランの石油輸出を現在の日量約160万バレルから10万バレルにまで削減したいと述べた。この発言後、原油価格は一時1%上昇した。しかし、その計画の実現性を疑問視する声があり、トランプ米大統領の関税政策が需要を損なうのではないかとの懸念も根強く、下げに転じた。

Timespreads Signal Market Weakness | WTI's prompt spread grazed November lows during the session

  CIBCプライベート・ウェルスのシニア・エネルギー・トレーダーのレベッカ・バビン氏は「市場は米国がイランの輸出量を10万バレルに削減する能力を疑っているだけでなく、石油輸出国機構(OPEC)が潜在的に埋め合わせできることも見込んでいる」と指摘。「関税に関するニュースは需要への影響を考慮する上で、今後も市場に混乱をもたらすだろう」と述べた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物3月限は、前日比55セント(0.8%)安い1バレル=70.74ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント4月限は0.4%下げて74.74ドル。

  金スポット相場は反落。ただ、一時は過去最高値に接近する場面もあった。

  中国などの中央銀行が金準備を積み増しているほか、金を裏付けとする上場投資信託(ETF)の金保有高もここ数週間に拡大しており、年初から12%上昇している金相場を支えている。

  金スポット価格はニューヨーク時間午後2時31分現在、前日比45.35ドル(1.6%)安い1オンス=2882.86ドル。週間では7週連続の上げ。ニューヨーク商品取引所の金先物4月限は前日比44.70ドル(1.5%)下げて2900.70ドルで引けた。

Gold Set for Seventh Weekly Gain | String of advances is longest since August 2020
金スポット週足チャート出所:ブルームバーグ

原題:Bonds Rally as Weak Retail Sales Bolster Fed Bets: Markets Wrap(抜粋)

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