
[14日 ロイター] – 米オープンAIは14日、 米実業家イーロン・マスク氏率いる投資家連合による買収提案を拒否し、売却の意思がないことを改めて発表した。
取締役会のブレット・テイラー会長は「オープンAIは売却の対象ではなく、取締役会は全会一致でマスク氏による競争妨害の試みを拒否した」と述べた。
マスク氏率いる投資家連合は10日、オープンAIを統括する非営利組織を974億ドルで買収することを提案したと明らかにした。 もっと見る
オープンAIは非営利組織(NPO)として発足したが、AIモデル開発に必要な資金を確保するため営利組織への移行を試みている。
関連情報
▽オープンAI取締役会、マスク氏らの14.8兆円買収提案を正式拒否<bloomberg日本語版>2025年2月15日 8:32 JST
- オープンAIは売り物でない、マスク氏の試み拒否-テイラー会長
- 支配権持つ非営利団体巡り、マスク氏ら投資家グループが買収案提示
人工知能(AI)スタートアップ、米オープンAIの理事会(取締役会に相当)は14日、同社の支配権を持つ非営利団体を巡り、実業家イーロン・マスク氏率いる投資家グループが提示していた974億ドル(約14兆8000億円)相当での買収提案を正式に拒否したと発表した。
オープンAIのブレット・テイラー会長は発表文で、「オープンAIは売り物ではなく、理事会は全会一致でマスク氏による競争を妨げる最新の試みを拒否した」と説明した。
関連記事:アルトマン氏「ノーサンキュー」、マスク氏らのオープンAI買収提案に
オープンAIを10年前に共同設立し、その後ライバルとなるAIスタートアップを創業したマスク氏は、オープンAIを支配する非営利団体の資産を取得する一方的な提案を巡り、資金力を持つ協力者を集めていた。オープンAIを「かつてのようにオープンソースで安全性を重視した勢力」に戻したいと主張していた。
マスク氏率いる投資コンソーシアムの代理人を務めるマーク・トベロフ弁護士は、理事会が検討する前にオープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)やテイラー会長が提案を拒否する発言をしていたため、理事会が正式に拒否したことには「驚かない」と述べた。
営利化
オープンAIはより一般的な営利企業に再編する計画だ。テイラー会長は発表文で、「オープンAIのいかなる再編の可能性も、非営利組織としてのわれわれを強化し、汎用人工知能(AGI)が全人類に利益をもたらすことを確実にするという使命を向上させることになる」と表明した。
結果はどうであれ、オープンAIが「ポストマネー」ベースで最大3000億ドルの評価額での新たな資金調達ラウンドについて、ソフトバンクグループと協議しているというタイミングで、オープンAIの再編プロセスはマスク氏による今回の提案によって複雑化すると予想される。
現在、オープンAIには非営利団体とその理事会が管理する営利目的の子会社がある。計画されている再編の一環として、同社は非営利団体の資産に対して公正な価値を支払う見込みだ。オープンAIは以前、非営利団体に株式の形で補償すると説明していた。
法律の専門家は、規制当局は非営利団体が受け取る株式の割合に注目するだろうと話す。今回の974億ドル相当の提案で、マスク氏はオープンAIが割り当てる必要がある最低額を引き上げたのかもしれない。
仮にオープンAIが非営利団体により高い価値を割り当てれば、同社の現行ならびに将来的な投資家の株式は希薄化する可能性もある。
原題:OpenAI Board Rejects $97.4 Billion Musk Bid to Take Company (1)(抜粋)