▽米副大統領、欧州の規制・政治巡り批判展開 独国防相ら猛反発<ロイター日本語版>2025年2月15日午前 3:50 GMT+9

By Jonathan LandayAndrew GrayAndreas Rinke

米副大統領「ウクライナ戦争の合理的解決を」 ミュンヘン安保会議開幕

[ミュンヘン 14日 ロイター] – 米国のバンス副大統領は14日、ドイツで開幕したミュンヘン安全保障会議の基調演説で、ロシアによるウクライナ侵攻について「合理的な解決」が達成されることを望むとの考えを示した。ただ、ウクライナに関する言及は少なく、ヘイトスピーチや誤情報の規制を巡り欧州連合(EU)を激しく非難する場面が目立った。これに対しドイツのピストリウス国防相が激しく反発。ウクライナ和平を巡る議論に影を落としている。

バンス氏は、欧州の政治家が自国民を恐れていると強い口調で非難。欧州の民主主義に対する真の脅威はロシアや中国ではないとした上で、「私が懸念しているのは内部からの脅威、つまり欧州が米国と共有する最も基本的な価値観から後退していることだ」と主張した。

ピストリウス独国防相はこの発言について「受け入れられない」と反発。ドイツだけでなく欧州全体の民主主義に疑問を投げかけたと反論した。

欧州連合(EU)の外相に当たるカラス外交安全保障上級代表も、米国が欧州に「けんかを売ろうとしている」ように感じられたとの見方を示した。 もっと見る

この衝突はトランプ米新政権と欧州首脳の見解の相違を浮き彫りにし、長年の同盟国である米国と欧州がウクライナ問題などの問題で共通の立場を見出すことを困難にした。

多くの会議出席者は、驚いて沈黙しながらバンス氏の演説を見守った。演説の間、拍手はほとんどなかった。

ロシアによる欧州政治への介入リスクについて否定する場面もあり、会場からは驚きの声が上がった。トランプ米大統領も、ロシアが2016年の大統領選に介入したとする米情報機関の主張を強く非難している。

トランプ米大統領が12日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナでの戦争終結に向けた交渉を直ちに開始することで合意したと言明する中、多くの会議参加者からはウクライナおよび和平交渉の見通しに関心が寄せられていた。 もっと見る

バンス氏は演説に先立ち、トランプ大統領はプーチン氏に対する影響力行使のために、経済的、軍事的な手段を使う可能性があると述べたほか、欧州諸国に対し国防費を増やすよう促した。 もっと見る

▽米副大統領、独極右政党への支持を表明 独政府「選挙干渉」<ロイター日本語版>2025年2月15日午前 7:22 GMT+9

米副大統領、独極右政党への支持を表明 独政府「選挙干渉」

[ベルリン 14日 ロイター] – バンス米副大統領が14日、ミュンヘン安全保障会議で極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を適格な政治パートナーとして支持すると発言し、ドイツ政府から強い反発を招く事態となっている。

AfDは2月23日に予定されているドイツ総選挙に向けた世論調査で約20%の支持率を得ているが、ナチスの過去を持つドイツでは極右政治がタブー視されており、主要政党間ではAfDとの協力を拒否する「ファイアウォール」と呼ばれる合意が形成されている。

バンス氏はこれを念頭に「民主主義は、国民の声が重要という神聖な原則に基づいている。ファイアウォールの余地はない」と述べた。

ショルツ独首相は独メディアとのインタビューで、バンス氏の発言を「非常に異例」と批判。ピストリウス国防相も「米副大統領がドイツだけでなく欧州全体の民主主義を疑問視した」と強く反発した。

ドイツ政府報道官も「友好国も含め、外国人が選挙期間中にこれほど激しく選挙運動に介入するのは適切ではない」と非難した。

トランプ米大統領の側近である実業家イーロン・マスク氏も、これまでにAfD支持を公言している。

バンス副大統領の事務所によると、同副大統領はこの日、AfDのワイデル共同党首と会談した。ワイデル氏の広報担当者もこれを確認し、両氏がウクライナ戦争やドイツの国内政策、言論の自由について話し合ったと述べた。

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▽トランプ氏「欧州は言論の自由失いつつある」、副大統領演説に呼応<ロイター日本語版>2025年2月15日午前 7:21 GMT+9

トランプ氏「欧州は言論の自由失いつつある」、副大統領演説に呼応

[ワシントン 14日 ロイター] – トランプ米大統領は14日、欧州の人々は言論の自由を失いつつあるとの見解を示した。バンス米副大統領も同日ドイツで開幕したミュンヘン安全保障会議の基調演説で、ヘイトスピーチや誤情報の規制を巡り欧州連合(EU)を激しく非難した。 もっと見る

トランプ氏は大統領執務室で記者団に対し、ミュンヘン安保会議でのバンス副大統領の演説は好意的に受け止められたと主張。だが実際には、欧州では即座に批判の声が上がっており、会場近くにいたロイターの記者によると、人々はあぜんとした表情で拍手もなかったという。