▽欧州派遣軍がロシアの攻撃受ければどうする、米国が詳細要求<bloomberg日本語版>2025年2月17日 22:25 JST
Alberto Nardelli
- 米国、欧州のウクライナ派兵意欲や可能な措置を把握したい意向
- 欧州首脳は17日にパリで会談、対応策定に着手へ

米国は欧州諸国に対し、ウクライナに提供する用意のある安全保障の確約の内容および、同国に派遣した軍がロシアの攻撃を受けた場合の対応の詳細を明らかにするよう要請した。
ブルームバーグ・ニュースが確認した文書によると、欧州の同盟国がウクライナへの安全保障提供と将来のロシア抑止にどのように寄与できるのか、詳細を求めている。
米国はまた、平和的な解決策の一部として欧州諸国がウクライナに派兵することにどの程度意欲的なのか知りたい考え。その実現に必要だと欧州側が考えている米国の支援や、ウクライナの交渉上の立場を強化するために現時点で欧州に何ができるのかについても、把握したい意向だ。
非公表の協議内容だとして匿名を条件に語った欧州の外交官によると、トランプ政権のウクライナ・ロシア担当特使を務めるケロッグ退役陸軍中将が月内に欧州当局者と会談し、この問題を協議する見込み。ケロッグ氏はトランプ大統領に選択肢を提示する前に欧州側に情報を求めていると、ブルームバーグ・ニュースはこれまでに報じていた。
米国政府はコメントの要請にすぐには応じなかった。

トランプ政権がロシアのプーチン大統領と自分たちの頭越しに交渉を始めようとしていることに衝撃を受けた欧州の首脳らは17日にパリで会談し、欧州としての対応策定に着手する。米当局者は先週のミュンヘン安全保障会議で、米国の行動の用意には限りがあるとも明言していた。
ドイツのベーアボック外相は、欧州の対応には新たな大型の防衛パッケージが含まれる可能性があると示唆。「これまでになかった次元の大型パッケージを立ち上げるつもりだ」と、ミュンヘン安全保障会議への出席に際して行われたインタビューで語った。
一方、スターマー英首相は17日付の英紙テレグラフに寄稿し、必要であれば平和的解決策の一部として平和維持活動のため英国軍をウクライナに派遣すると表明した。
ポーランドのトゥスク首相はパリに向かう機内で記者団に対し、防衛力強化に真剣になるよう欧州首脳に促すつもりだと述べた。
「国防費の増額が必要だと示唆する米国側の発言に不快になるのではなく、耳を傾ける価値はある」と指摘し、「ロシアの軍事力に均衡できなければ、ウクライナを助けることはできないだろう」と続けた。
ただ、将来の平和維持軍の一部としてポーランドが派兵する考えはないとあらためて強調し、派兵を決定する国への兵たん面の支援は行うと付け加えた。
トランプ政権は欧州の同盟国に対し、ロシアへの圧力強化で欧州が供給し得る追加的な機器や、既存の制裁の執行強化とロシアを支援する第3国の組織を標的とした今後とり得る措置について、回答を求めている。
米国はまた、ウクライナが欧州連合(EU)加盟に近づくにつれてEU単一市場へのアクセス拡大が認められるのかについても回答を要請した。
米国が欧州に回答を求めた質問状の存在については、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)がいち早く報じた。
原題:US Asks Europe What Kyiv Peacekeepers Should Do If Attacked (1)(抜粋)
▽欧州首脳、防衛費増額巡り協議 ウクライナ平和維持軍派遣で温度差<ロイター日本語版>2025年2月18日午前 7:35 GMT+9
By John Irish, Elizabeth Pineau, Humeyra Pamuk

[パリ/リヤド 17日 ロイター] – 欧州首脳は17日、パリでウクライナ紛争に関する緊急会議を開催した。防衛力の強化に向けた支出増を求める声が出る一方、ウクライナに平和維持軍を派遣する案については意見が分かれた。
この会合は、トランプ米大統領が18日にサウジアラビアで開始予定のロシアとの協議から欧州各国とウクライナを除外したことを受け、フランスのマクロン大統領が開催を呼びかけた。
会談前にウクライナへの平和維持軍派遣に前向きな意向を表明していた英国のスターマー首相は、17日夕、欧州諸国が地上部隊を派遣するには米国の安全保障上の約束が必要だと述べた。派遣する英軍の規模について言及するのは時期尚早だとした。
平和維持軍派遣はロシアとの直接対決のリスクを高めるだけでなく、ウクライナへの武器供与などで保有兵器が著しく減少している欧州軍に負担をかけることになる。さらに財政が悪化している一部の欧州諸国が、こうした軍事資金をどう賄うのかという難しい問題もある。
スターマー氏が示した平和維持軍派遣方針について、首脳会議参加者の間では対応が分かれた。
ドイツのショルツ首相はウクライナの同意なしに和平協定はあり得ないと述べるとともに、和平協定が結ばれていない状態でのドイツの平和維持軍派遣検討は「極めて不適切」だと述べた。また、国内総生産(GDP)の2%以上を防衛費に充てている国は、欧州連合(EU)の予算規則によって阻止されるべきではないと述べた。
イタリアのメローニ首相も平和維持活動計画には反対のもよう。関係筋によると同首相は「ウクライナに欧州軍を派遣するという案は、私にとっては最も複雑で、おそらく最も効果がないと思われる」と述べた。
一方、デンマークのフレデリクセン首相は軍の派遣について議論する用意があるとし、欧州は国内の防衛費を増額するとともにウクライナへの支援を強化しなければならないと述べた。
ショルツ氏とポーランドのトゥスク首相は、EUの厳しい財政規則を緩和し、各国がEUの財政赤字規則に違反することなく防衛費の増額を可能にするよう求めた。
これに関しては14日、EUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長が、防衛費をEUの政府支出制限から除外することを提案する方針を示している。
関連情報
▽ウクライナ大統領に和平合意押し付けず=米特使<ロイター日本語版>2025年2月18日午前 4:51 GMT+9
▽ウクライナ、米ロが計画する和平交渉に欧州からも代表指名を望む<bloomberg日本語版>2025年2月18日 3:29 JST
▽米、ウクライナ戦争終結へ何が可能か判断 18日外相協議<ロイター日本語版>2025年2月18日午前 2:02 GMT+9
▽西側諸国の存続には「自国優先」が不可欠=米下院議長<ロイター日本語版>2025年2月18日午前 1:57 GMT+9