ウクライナ戦争（２３日）

Volodymyr Verbianyi、Aliaksandr Kudrytski

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、キーウでの記者会見で、戦争で荒廃している自国に平和がもたらされるのであれば、退陣する用意があると述べた。ロシアのウクライナ侵攻から24日で丸３年となる。

　　ゼレンスキー氏は、大統領職と引き替えにウクライナの北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）加盟が実現するような申し出があれば、喜んで引き受けるだろうと語った。同氏は「何十年も権力の座に居座ることはない」と言明した。　

　　米国のトランプ大統領は先週、ゼレンスキー氏を「選挙を実施しない独裁者」と表現、選挙の実地を求めた。ロシアもまた、和平合意の一環としてウクライナに大統領選挙を行うよう長く要求しているが、戒厳令下では選挙を行うことができない。

　　ウクライナでの戦争終結の仲介を目指す米国の高官は先週、サウジアラビアでロシア側と直接協議を行った。米ホワイトハウスは、戦争終結の仲介において、ウクライナと交渉している鉱物取引は不可欠な要素と捉えている。

　　ゼレンスキー氏が会見で明らかにしたところによれば、ウクライナの鉱物資源の分配を要求する米国は、交渉の一環としてウクライナに求めていた5000億ドル（約74兆6350億円）の支払いの確約を取り下げた。　　

　　同氏はどのような合意であっても米国による軍事支援が含まれている必要があると主張。米国と合意が成立するのはまだ先になることが示唆された。

　　米国のトランプ大統領と側近らは、ウクライナの鉱物資源やその他資源から得られる収入を米国も取得できることを認めるディール（取引）を受け入れるよう、ゼレンスキー氏に迫っている。

　　ゼレンスキー氏はこの提案について、ロシアの攻撃に対してウクライナが求める強固な安全保障を提供していないとして拒否した。　

　　同氏は会見で、この取引はウクライナと米国にとって「ウィンウィン」でなければならないと述べた。

　　トランプ大統領は、米国がこれまでウクライナに提供した支援に対し、5000億ドル相当の補償を求める考えを示している。ブルームバーグは、ロシアの侵攻開始からこれまでにウクライナに提供された実際の支援規模は900億ドル近くだと報じた。

　　ゼレンスキー氏は、ウクライナで事業を行う米国企業自体がある種の安全保障の形になり得るとの米国側の主張を否定した。

　　ベッセント米財務長官は23日、ＦＯＸニュースに対し、米国はウクライナを「偉大な成長軌道」に乗せるための支援が可能だと語り、「その第一歩は、戦略的鉱物やエネルギー、国営企業に関わるウクライナと米国のパートナーシップだ」と主張し、米国は軍事的保証ではなく「経済的安全保証」を提案していると続けた。

　　ウクライナのイェルマーク大統領府長官は23日、米国との協議が進展しているとテレグラムに投稿した。