
[モスクワ 24日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は24日、米ロ間の将来的な経済取引の一環として、レアアース(希土類)の共同開発のほか、米国へのアルミニウム供給などを提案した。
トランプ米大統領はこの日、プーチン大統領とウクライナでの紛争終結のほか、「米ロ間で今後行われる主要な経済開発取引」を巡り「真剣な協議」を行っていると発言。プーチン氏はトランプ氏の発言から2時間以内に、レアアースに関する閣僚会議を開いた。
プーチン氏は会議後に国営テレビで「われわれは米国のパートナーに提案を行う用意がある。ここでいうパートナーとは行政、政府機関だけでなく、企業も含まれる」と表明。米国とウクライナとの間で検討されているレアアースを巡る取引について懸念はないとした上で、「ロシアは間違いなく、ウクライナよりもはるかに多くのレアアースを保有している」と語った。
また、米国の市場がロシアに対し再び開放されれば、ロシア企業は年間最大200万トンのアルミニウムを米国に供給できると言及。ロシアからのアルミニウム供給は価格形成に大きな影響は及ぼさないものの「価格抑制効果はある」と述べた。
このほか、ロシアのアルミ大手ルサールの本拠地であるシベリアのクラスノヤルスク地方で、水力発電とアルミニウム生産でロシアと米国が共同で取り組むことを提案した。
ロシア大統領府が公開した会議の議事要旨によると、プーチン氏はレアアースがロシアの経済発展と競争力にとっての優先分野になると表明。採掘からハイテク完成品の製造に至るまで、国内産業の潜在力を高めることを目指しているとし、「国家プロジェクトとして、こうした製品の生産量を数倍に増やさなければならない」と語った。
プーチン氏はこのほか、ロシアはウクライナを巡る米ロ和平協議への欧州の関与に反対していないと述べた。むしろロシアとの対話を拒否していたのは欧州側だと指摘した。
プーチン大統領はまた、トランプ米大統領がロシアとウクライナの紛争に感情ではなく理性で取り組んでいると評価。トランプ氏はウクライナの政治状況を改善し、ウクライナ存続のための条件を整えたいと考えているとも指摘した。
トランプ氏の立場はロシアの利益ではなく、ウクライナの利益だとも述べた。
今後の米国との会談については「次回会談は主に二国間関係に焦点を当てる」と表明。防衛予算削減で合意できる可能性があり、それは好ましいことだとの見方も示した。