▽USスチールの物言う株主、保有株を積み増し-経営再建求め購入継続

Joe Deaux

  • アンコラ傘下部門トップ、日鉄の買収は実現しない可能性高いと指摘
  • 上位10位の株主を目指す、アンコラが推すCEO候補も株式を購入

アクティビスト(物言う株主)の米アンコラ・ホールディングス・グループは、鉄鋼大手USスチールの保有株を積み増した。アンコラは経営陣を刷新して事業の立て直しを図るようUSスチールに求めている。

  アンコラ・オルタナティブス部門のポートフォリオマネジャー兼責任者、ジム・チャドウィック氏は、USスチールの持ち分は現在、1億ドル(約148億円)以上だとインタビューで述べた。日本製鉄によるUSスチール買収は実現しない可能性が高まっているとして、USスチール株式の購入を続けているという。

  アンコラと、同社がUSスチールの経営立て直しを主導する新たな最高経営責任者(CEO)に推すアラン・ケステンバウム氏は、まだ具体的な再建案を投資家に明らかにしていない。チャドウィック氏は、北米の圧延鋼板事業を成長させるために「相当な」資本とリソースをつぎ込むつもりだと述べた。

  最近の買い増しにより、アンコラが保有するUSスチール株は1月に公表した発行済み株式の0.18%前後から約1%に切り上がった。これは上位20位以内に辛うじて入る程度だという。チャドウィック氏は上位10位の株主になることを目指していると語った。

  一方、ケステンバウム氏も個人的にUSスチール株の保有を増やしている。同氏の持ち分はUSスチールのデービッド・ブリット現CEOを上回る規模だと、チャドウィック氏は述べた。

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原題:US Steel Activist Investor Boosts Holdings in Turnaround Push(抜粋)