▽【米国市況】自動車株をトランプ関税直撃、ドルは151円15銭まで上昇
Rita Nazareth
- S&P500種は四半期ベース大幅安に向かう、米GDPの影響限定的
- 米国債利回り曲線スティープ化、金はまた最高値更新-原油は続伸

27日の米国株式相場は続落。トランプ政権の自動車関税表明で貿易戦争拡大への懸念が再燃した。米国内総生産(GDP)統計は予想を上回る内容となったが、あまり材料視されなかった。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5693.31 | -18.89 | -0.33% |
ダウ工業株30種平均 | 42299.70 | -155.09 | -0.37% |
ナスダック総合指数 | 17804.03 | -94.99 | -0.53% |
S&P500種株価指数は四半期ベースで2023年以来の大幅安に向かっている。トヨタ自動車からメルセデス・ベンツグループ、ゼネラル・モーターズに至るまで自動車大手の株価が下落した。大型ハイテク株は強弱混在。アップルは上昇し、エヌビディアは下げた。
トランプ米大統領は26日午後、米国産以外の全ての自動車に25%の輸入関税の賦課を命じる布告に署名。EUがカナダと協力して米国に経済的損害を与えようとするのであれば、さらに大幅な関税を課すと表明した。関税不安は良好な米GDPによる影響を相殺した。米経済は2024年10-12月(第4四半期)に従来推計を上回るペースで拡大、物価指標は下方修正された。

eToro(イートロ)のブレット・ケンウェル氏は投資家の関心が向けられているのは経済の現状であり、数カ月前の状態ではないため、米GDP統計はセンチメントの強い押し上げ要因にはならないと指摘。「投資家が目にしたいのは予想通り、もしくは予想より良好なインフレ統計と、強い雇用の数字だ。そういう結果が出てくれば今の経済的環境に対する安心感がいくらか戻るだろう」と述べた。
トランプ政権が関税政策を推し進める中で、インフレは引き続き連邦準備制度理事会(FRB)が目指す水準を上回っている。28日に発表される2月の個人消費支出(PCE)コア価格指数は、インフレの高止まりを示すと予想されている。
ハイテク株の比重が高いナスダック100指数は0.6%下げた。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)はアナリストの投資判断引き下げで下落。ゲームストップは暗号資産(仮想通貨)ビットコイン購入のために借り入れを行う計画が嫌気され、急落した。

キャピタル・エコノミクスは「貿易戦争が世界の貿易に大きな打撃を与えるとは考えていないが、この見方は米国が発動する関税に対し各国が報復で事態をエスカレートさせないという前提に基づいている」と説明。「世界のインフレは今年、平均して横ばいと予想される。従って中銀の利下げ余地は前年より小さくなるだろう」と述べた。
モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのマネジングディレクター、クリス・ラーキン氏は市場が知りたいのは、関税にまつわる雑音を超えるような材料が出てくるかどうかだと指摘。「目先、最もありそうな展開は相場の乱高下がさらに続くシナリオだ」と述べた。
パイパー・サンドラーのクレイグ・ジョンソン氏は関税とインフレを巡り不確実性が高まっているものの、テクニカル分析では中期的な底入れのシグナルが示されていると指摘する。
「本格的な回復に向かう道筋は一直線ではないことが多いが、株式相場は3月の安値を足場に、向こう数週間で水準を切り上げていくように見受けられる」と述べた。
米国債
米国債相場はまちまち。短期債が長期債をアウトパフォームする展開となり、関税がインフレに及ぼす影響を市場が懸念していることが鮮明になった。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.72% | 1.7 | 0.36% |
米10年債利回り | 4.36% | 0.8 | 0.17% |
米2年債利回り | 3.99% | -2.7 | -0.66% |
米東部時間 | 16時59分 |
長期債利回りが1カ月ぶりの高水準に上昇した一方、短期債利回りは1-2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。5年債と30年債の利回りスプレッドは拡大し、一時は2022年1月以来の大きさとなった。スティープニングの動きは軟調な7年債入札後に一時的に失速する場面もあった。先物の大型取引がこの日のスティープニングを支援した。
利回り曲線のスティープ化は、関税が成長とインフレ、および米財政見通しに与える影響を市場がどう見ているかを反映する。欧州主要国の国債利回りも同様に傾斜がきつくなった。
440億ドルの7年債入札では、四半期末が迫っているにもかかわらず、昨年8月以来のテール(約0.6bp)が発生。プライマリーディーラーの落札比率12.7%も、8月以来の高水準だった。間接入札者の落札比率は61.2%に低下した一方、直接入札者の落札比率は26.1%に上昇した。
外為
ドルは主要10通貨の大半に対して下落。自動車関税の発動表明を受けて短期のボラティリティーが上昇した。英政府の財政方針を受けて、ポンドは堅調。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1273.30 | -0.79 | -0.06% |
ドル/円 | ¥151.05 | ¥0.48 | 0.32% |
ユーロ/ドル | $1.0802 | $0.0048 | 0.45% |
米東部時間 | 16時59分 |
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は、一時0.2%下落。同指数の1週間物ボラティリティーは7.4%に上昇、このまま引ければ2週間ぶりの高水準となる。
月末の資金フローはすでに影響しており、モデルにはドルのサポートが示されていると欧州のトレーダー2人が指摘した。
マッコーリーのティエリー・ウィズマン、ガレス・ベリー両ストラテジストは、自動車関税が米防衛産業の基盤再構築を助ける可能性はあるものの、「他の条件がすべて同じならば、米経済に動揺を与えることでインフレ的な影響がある一方、貿易相手国にはディスインフレ効果を与える」とリポートで指摘した。

円は一時、1ドル=151円15銭まで下落した。クレディ・アグリコルのストラテジストは、関税によるリスクセンチメントと円を調達通貨とするキャリートレード需要への影響を指摘した。
1日物ボラティリティーは約9.2%。28日には3月の東京消費者物価指数(CPI)が発表される。円は主要通貨の中で最も軟調だった。
原油
ニューヨーク原油先物相場は小幅続伸。貿易戦争の悪化が世界のエネルギー需要を圧迫するとの懸念はあるものの、市場では近い将来における需給引き締まりの兆候が材料視された。
前日に発表された米エネルギー情報局の週間在庫統計によれば、原油在庫は先週334万バレル減少し、約1カ月ぶりの低水準。これを受け、供給過剰を巡る懸念が和らいだ。

トラフィグラ・グループやガンバー・グループといった大手石油商社は、年内の原油価格に対し弱気な見通しを示している。特に石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラス以外の産油国からの供給が増加し、相場の重しになるとの見方だ。OPECプラスも、これまで数回にわたり延期していた生産引き上げを4月に開始する見込み。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物5月限は前日比27セント(0.4%)高の1バレル=69.92ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント5月限は0.3%上昇して74.03ドル。
金
金スポット相場は上昇し、過去最高値を更新した。トランプ米大統領が、米国産以外の全ての自動車に対する25%の輸入関税賦課を発表したことが手掛かり。ゴールドマン・サックス・グループは金相場の予想を上方修正し、年末までに1オンス=3300ドルに上昇するとした。
金スポットは一時1.3%高の3059.63ドルとなり、1週間前に付けたそれまでの最高値を上回った。トランプ氏が自動車関税の賦課を命じる布告に署名したことを受けて貿易を巡る緊張が高まるとの見方が広がり、安全資産としての金の需要が強まった。ゴールドマンは金相場見通しの上方修正について、予想を上回る中央銀行の需要や、金を裏付けとする上場投資信託(ETF)への強い資金流入を理由に挙げている。
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの金戦略責任者、アーカシュ・ドシ氏は、金が今年に入り力強いパフォーマンスを見せている背景には、北米の投資家によるETF購入があると指摘。
インタビューでドシ氏は、政策面や地政学的な不確実性を受け、「特に北米の投資家の間で成長やインフレの見通しを見直す動きが広がっている」とし、「そうした不確実性は金に有利に働き、投資配分において株式や長期の米国債との比較で金を選好する動きが見られ始めている」と述べた。

金スポット相場はニューヨーク時間午後3時2分現在、前日比36.10ドル(1.2%)高の1オンス=3055.48ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は38.60ドル(1.3%)上昇し3090.90ドルで引けた。
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