▽【米国市況】株は終盤に上昇、関税発表控え荒い動き-円一時150円台

Rita Nazareth

  • S&P500種は一時1.7%下落、四半期ベースでは2022年以来の大幅安
  • 円は欧州時間に一時0.8%高の148円70銭-21日以来の高値

31日の米金融市場は新たなボラティリティーの波に襲われた。トランプ米大統領による関税の発表を週内に控え、株式市場ではS&P500種株価指数が午後に上げに転じた。これを背景に、米国債は上げ幅を縮小。円は対ドルで一時1ドル=150円27銭まで下落した。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数5611.8530.910.55%
ダウ工業株30種平均42001.76417.861.00%
ナスダック総合指数17299.29-23.70-0.14%

  S&P500種は朝方には1.7%下落した。ディフェンシブ銘柄が相場上昇をけん引したほか、原油高につられてエネルギー株も堅調だった。一方、大型テクノロジー株は引き続き売り圧力にさらされた。ナスダック100指数はほぼ変わらずで終了。

Traders Search For Havens As US Stock Selloff Rattles Nerves
ウォール街はボラティリティーに見舞われるPhotographer: Michael Nagle/Bloomberg

  S&P500種は四半期では2022年以来の大幅安。20年3月に新型コロナウイルスがパンデミック(世界的大流行)となって以来、四半期ベースで株式が下落し、債券が上昇するのは初めて。

  トランプ政権は4月2日に何の関税を発表するのか、一貫性のないメッセージを発しており、ここ数年で最大のリスクに備える市場を混乱させている。

  トランプ大統領は、4月2日にローズガーデンで行われるイベントで相互関税について発表する。ホワイトハウスのレビット報道官が記者団に明らかにした。レビット氏によると、発表は「国ベースの」の関税に関するものだが、トランプ氏は別の機会にセクター別の関税を導入することにも注力している。

  モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのマネジングディレクター、クリス・ラーキン氏は「関税が市場の議論を引き続き主導することになるだろう」と指摘。「関税が予想よりも厳しいのか、あるいは緩いのか次第で、市場の短期的なモメンタムが大きく左右される可能性がある」と述べた。

S&P 500 Wipes Out Slide in Final Stretch of Quarter

  ゴールドマン・サックス・グループはS&P500種株の見通しを再び引き下げた。デービッド・コスティン氏率いるストラテジストチームは年末水準を従来予想の6200から、5700前後に変更した。

  「成長見通しと投資家心理がさらに悪化すれば、バリュエーションがわれわれの予測を大幅に下回る可能性がある」とコスティン氏はリポートで指摘。「相場の底を見極めようとする前に、成長見通しの改善、市場価格における非対称性の拡大、極端に弱気傾斜したポジション動向に注視するよう投資家に引き続き勧めている」と続けた。

  テクニカルストラテジストはマーケット・ブレドス(市場のすう勢)にも目配りして、売られ過ぎの状況を示すさらなる兆候を探るよう勧めている。LPLファイナンシャルのチーフ・テクニカル・ストラテジスト、アダム・ターンキスト氏は20日移動平均線を上回って推移する銘柄の比率が10%以下になれば、「降伏の兆候と見なせる」と述べた。

国債

  米国債は小幅高。朝方には米関税政策への懸念からリスク回避の動きが広がる中、大幅上昇したが、取引終盤には下げに転じる場面もあった。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.58%-5.2-1.13%
米10年債利回り4.21%-4.0-0.95%
米2年債利回り3.89%-2.7-0.68%
  米東部時間16時45分

  市場の関心はリセッション(景気後退)が起こり得るという見通しに急速にシフトしており、米国債は四半期ベースでは2.6%上昇した。

  マシュー・ホーンバック氏らモルガン・スタンレーのストラテジストは、「米政権が今後の方針や関税政策の目的を明確にして、今後の対応や次の行動などに関する不確実性が弱まらない限り、世界経済の見通しに対する投資家の信頼感はますます損なわれるだろう」と指摘。「マクロ市場の将来は、投資家や企業経営者の信頼感にかかっている。4月2日を過ぎても、両者の信頼感は引き続き低下し続けると当社では考えている」と続けた。

外為

  外国為替市場ではドルが主要10通貨に対して全面高。月末や四半期末のフローに支えられた。

  円は対ドルで伸び悩む展開。欧州時間には一時0.8%高の1ドル=148円70銭と21日以来の高値に上昇したものの、その後はリスク回避の動きが弱まる中、下げに転じ一時150円台を付けた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1274.252.380.19%
ドル/円¥149.97¥0.130.09%
ユーロ/ドル$1.0817-$0.0011-0.10%
  米東部時間16時45分

  ドル指数は1-3月(第1四半期)としては2017年以来の大幅安。金融市場での相場下落時の逃避先とされるドルだが、最近はその役割を果たせていない面もある。

  コンベラの首席FX・マクロストラテジスト、ジョージ・ベッセイ氏は、「金融市場では緊張状態が続いている。今週の主要な貿易政策の発表を前に、関税に関するトランプ大統領の発言が不透明感を増幅させている」と指摘した。

ドル・円の推移

原油

  ニューヨーク原油相場は大幅反発。トランプ大統領がロシア産原油の供給抑制に動く可能性を示唆した。ロシアは世界3位の産油国であり、主要な輸出プレーヤーでもある。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は3%余り上昇し、バレル当たり71ドル台に乗せて終了。トランプ氏が大統領に就任する前の1月15日以来の大幅高となった。ロンドンの北海ブレント6月限は75ドルに接近した。予想を下回る米生産データと、アルゴリズム主導のトレーダーによるポジション調整も原油相場を一段と押し上げた。

  トランプ大統領はウクライナ問題を巡るロシアのプーチン大統領の発言に「頭にきている」と述べ、停戦が成立しない場合にはロシアの石油を対象に「二次的な関税」を検討するだろうと話した。NBCニュースが30日に伝えた。プーチン氏懲罰に向けた協調的な動きは、原油市場全体に著しい影響を及ぼしかねない。ロシアがウクライナを侵攻して以来、ロシア産原油を購入してきたインドと中国が特に圧力を受ける。

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WTI先物とブレント先物出所:ICE、NYMEX

  CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「需要リスクと供給リスク。どちらの懸念が大きいか市場は決めかねているようだ」と指摘。「今のところは供給不安が先行しているようだが、金融市場全般でリスク資産の下げが続けば、原油もいずれ需要不安に屈するだろう」と述べた。

  米エネルギー情報局(EIA)は1月の国内生産が日量1315万バレルに減少したと発表。11カ月ぶりの低水準であり、週間統計を基にした推計値を下回った。ブリッジトン・リサーチ・グループのデータによれば、商品投資顧問業者(CTA)のWTIショートポジションは27%。26日の54%から手じまわれたことが示された。CTAの取引は価格変動の増幅につながる傾向がある。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物5月限は、前営業日比2.12ドル(3.1%)高の1バレル=71.48ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント6月限は2.8%高い74.77ドル。この日が最終取引だった5月限は74.74ドルに上昇した。

  ニューヨーク金相場は3日続伸。最高値更新で新たな週をスタートした。トランプ大統領の関税発表を控え、経済に打撃を与える貿易戦争への懸念が深まっている。

  先週までの金スポット価格は週間ベースで4週連続高。金融市場全般に広がるリスクオフのムードが安全性への逃避を促した。

  モルガン・スタンレーの商品ストラテジスト、エイミー・ガウワー氏によれば、現物需要とマクロ経済の好環境が金相場を押し上げていると指摘。延べ棒やコイン、上場投資信託(ETF)が最近買われているのは「ここに来て新たな金買いが入っていることを意味し、この先も大量に入ってくるとみられる」とブルームバーグテレビジョンで述べた。「それに投資ポートフォリオの中で金利や株式、債券などとどう競争するかというマクロ的なアングルも金に作用している」と続けた。

  経済および政治の不確実性が高まると、金は逃避先の資産として需要を集めることが多い。金現物が裏付けている上場投資信託(ETF)の金保有高は、年初から6%増加。ブルームバーグがまとめたデータによると、昨年までは4年連続で純流出となっていた。

  金相場は年初から大きく上昇し、過去最高値の更新を繰り返している。中央銀行の金購入に加え、地政学的かつマクロ的な不確実性の上昇で逃避需要が金相場を支えた。金利スワップ市場が織り込む今年の米利下げ見通しは2回に後退したものの、金買いは失速していない。利息を生まない金投資に、政策金利の低下は追い風となる。

  モルガン・スタンレーのガウワー氏は、金価格が年内にオンス当たり3300ー3400ドルに上昇すると予想する。複数の主要中銀も金相場の見通しを引き上げている。ゴールドマン・サックス・グループは年末までに3300ドルに達するとして、今月、見通しを上方修正した。中央銀行からの需要が予想より強いほか、金ETFへの資金流入を理由に挙げた。

  金スポット価格はニューヨーク時間午後3時30分現在、前日比36.92ドル(1.2%)上昇し1オンス=3122.04ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は36ドル(1.2%)高い3150.30ドルで引けた。

原題:Stocks See Wild Swings in Run-Up to Tariff Rollout: Markets Wrap(抜粋)

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