▽日産、ルノーとの相互出資の最低比率10%に下げ-財務強化に道筋
Albertina Torsoli
- 両社はアライアンス契約改定、相互出資の最低比率を15%から10%に
- 日産、ルノー株の売却で約1120億円を調達できる可能性
ルノーと日産自動車は31日、アライアンス契約の改定で合意し、相互出資の最低限比率を現行の15%から10%に引き下げると発表した。財務強化の圧力にさらされている日産は、さらなる株式売却への道筋をつけた格好だ。
これに伴い、日産は保有するルノー株の最大3分の1の売却が可能になり、現在の評価額で約6億9000万ユーロ(約1120億円)を調達できる可能性がある。
依然として日産株36%を保有するルノーは、ライバル意識や相互不信の高まりを背景に、日産との提携関係の部分的な解消を進めている。
一方、日産は財務強化に加え、ラインアップの刷新やトランプ大統領の関税政策への迅速な対応が急務になっている。同社ではホンダとの提携交渉の頓挫を経て、4月1日からイヴァン・エスピノーサ氏が、社長兼最高経営者(CEO)に就任する。新体制下で再建を目指す日産にとっては、今回の契約改定により財務の柔軟性が高まりそうだ。
発表によると、ルノーは日産が保有するインド合弁事業RNAIPLの株式51%を引き継ぎ、来年から日産向けに小型電気自動車(EV)の生産を開始する見通し。ルノーのルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は「日産ができる限り早期に業績を回復させることに、ルノーは強い関心を抱いている」と述べた。
一方、ルノー株の15%を保有する日産は、ルノーのEV事業アンペアへの出資義務から解放される。
アンペアは、ルノーの「トゥインゴ」をベースとした日産モデルの開発・生産を2026年から行う予定だ。デザインは日産が担当する。これについてルノーのダンカン・ミント最高財務責任者(CFO)は電話会見で、提携関係が依然として「健在であることの証しだ」と語った。
今回の取引は規制当局の承認を経て、上期末までに完了する見込み。
原題:Renault, Nissan Back More Share Sales in Alliance Loosening (3)(抜粋)