▽【米国市況】S&P500続伸、利下げ意識でテク高い-円は一時148円台

Rita Nazareth

  • 2日に関税発表、ISM製造業指数と求人件数はいずれも予想下回る
  • 米国債利回りは全年限で低下-円は対ドルで一時148円98銭まで上昇

1日の米株式市場ではS&P500種株価指数が続伸。大手テクノロジー銘柄が買われ、指数を押し上げた。トランプ米大統領による関税発表を前に、この日発表された米経済指標は弱い内容となり、利下げ見通しが意識された。米国債は上昇、円は対ドルで値上がりした。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数5633.0721.220.38%
ダウ工業株30種平均41989.96-11.80-0.03%
ナスダック総合指数17449.89150.600.87%

  またもボラティリティーの高い展開となり、S&P500種は朝方、低調な供給管理協会(ISM)製造業指数と求人件数を受けて、1%下落した。ナスダック100指数は0.8%高で終了。ハイテク7強で構成する「マグニフィセント・セブン」の指数は5営業日ぶりに反発した。

The New York Stock Exchange As US Stocks Rise
2日の関税発表に備えるウォール街Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

  トランプ氏の関税に身構える投資家にとって、目まぐるしい局面が続いている。同氏が現在のルールに基づく国際的な通商システムをどこまで覆すのか依然として不透明だ。こうした不確実性が市場を動揺させ、エコノミストによる成長見通しの下方修正を招き、中央銀行は輸入物価上昇によるインフレ圧力を政策判断に織り込まざるを得ない状況となっている。

  シティー・インデックスのファワド・ラザクザダ氏は、「関税発表日を控え、センチメントは脆弱(ぜいじゃく)なままだ」と指摘。「こうした措置の具体的な規模がまだ不透明なため、投資家は慎重姿勢を崩していないと思われる。株式相場の短期的な見通しは依然として極めて不透明だ」と述べた。

  トランプ氏は2日を「解放の日」と銘打って、いわゆる相互関税やその他の関税を賦課するとしている。保護貿易主義を戒める過去の事例として悪名高い、1930年のスムート・ホーリー関税法を上回る規模の貿易が対象になる見通しだ。米国が自ら構築してきた戦後のグローバル貿易体制を根本から覆そうとする、より広範なトランプ氏のプロジェクトの一環でもある。

  マックス・ケトナー氏率いるHSBCのストラテジストは、「『解放の日』が関税を巡る不確実性の終わりを告げることになるとは考えにくい」と指摘。「むしろ4月2日の関税予定日はさらに一段の不確実性をもたらす可能性があり、結果として主要株価指数の広範な弱さが長期化すると当社ではみている」と続けた。

  ウォール街で強気派として知られる3社のストラテジストが、今年のS&P500種の見通しについて楽観的過ぎたことを認め、年末目標を引き下げた。ゴールドマン・サックス・グループとソシエテ・ジェネラル、ヤルデニ・リサーチだ。

  それでも3社はいずれも、S&P500種が前日の終値よりも高い水準で今年を終えると見込んでいる。

国債

  米国債利回りは全年限で低下。経済指標が予想より弱かったことを背景に、米金融緩和への観測がやや高まった。ただ、ISM製造業指数の仕入れ価格は上昇した。

関連記事:米ISM製造業指数、今年初の縮小圏-仕入れ価格は大幅上昇継続 (2)

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.52%-4.7-1.02%
米10年債利回り4.17%-3.8-0.91%
米2年債利回り3.88%-0.2-0.05%
  米東部時間16時54分

  米国の経済成長が鈍化しつつある兆しを背景に、米国債は1-3月(第1四半期)に上昇し、10年債利回りは1月のピークから約0.5ポイント低下した。米国債の堅調なパフォーマンスはさらに続くと市場参加者はみているようだ。

  トレンド追随型のヘッジファンドは先月、米国株ショート・米国債ロングに転じており、このローテーションはさらに進む余地があると、バークレイズは分析している。

  米経済のリセッション(景気後退)リスクが高まる中、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は世界の債券市場が「安定したリターンの源泉」になっているとして、その魅力を訴えている。

  貿易やコスト削減、移民に関するトランプ大統領の強硬政策が当初の想定以上に米経済を減速させ、労働市場に悪影響を及ぼす恐れがあるとピムコは警告。投資家はポートフォリオをより安全な資産へ傾けるべきだとする同社の見解を補強した。

関連記事:ピムコ、債券は「安定したリターンの源泉」-景気後退リスク高まりで

外為

  外国為替市場でドル指数は低下。この日発表された3月のISM製造業総合景況指数は今年初めて縮小の領域に入った。

  円は対ドルで値上がりし、一時0.7%高の1ドル=148円98銭を付けた。米国債利回りの低下などが背景にある。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1273.28-0.97-0.08%
ドル/円¥149.62-¥0.34-0.23%
ユーロ/ドル$1.0793-$0.0023-0.21%
  米東部時間16時54分

  トランプ氏による2日の相互関税発表を控え、主要10通貨はおおむね狭いレンジで不安定な動きとなった。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)のミハリス・ルサキス、アタナシオス・バンバキディス両氏は、1-3月末にかけて企業によるドル需要が強かったことが同行の資金フローでは示されたとリポートで指摘。4月2日の関税予定日を控え、ヘッジファンドはユーロとカナダ・ドルを購入したことも示唆されたという。その上で、ドルのポジションは現在、おおむねニュートラルだと説明した。

  ドイツ銀行の為替戦略グローバル責任者、ジョージ・サラベロス氏は「ドルが年初時点での大方の予想よりも大きく上昇していないのはなぜか。これが最大の疑問だ」とブルームバーグテレビジョンとのインタビューで発言。「米国例外主義のダウングレードが広く進んでいることが一因だ。2つ目として、米国外で積極財政の動きがあることも強調しておきたい」と話した。

ドル・円の推移

原油

  ニューヨーク原油相場は小反落。トランプ大統領の関税計画を巡る不確実性で、経済の先行きが見通しにくくなっている。

  トランプ氏はロシア産原油の買い手を標的に、いわゆる「二次的関税」を発動すると示唆し、ロシアからの原油供給にブレーキをかける考えを明らかにした後で、表現を和らげた。イランの最高指導者ハメネイ師は米国もしくはイスラエルの攻撃を受ければ「断固として報復攻撃」で応じると表明した。

関連記事:プーチン氏に「頭にきた」とトランプ氏-石油関税示唆後、発言を翻す

  RBCキャピタルマーケッツのブライアン・ライゼン、ヘリマ・クロフト両アナリストは「供給を混乱させるテーマが多くあり、そのほとんどがリアルタイムで進行中だ」とリポートで指摘。「とはいえ、需要のダウンサイドリスクは昨年末に多くが想定していたよりも大きくなった。市場への潜在的なインパクトは不鮮明になり、原油市場全体の参加意欲を損なっている」と分析した。

Oil Retreats From Overbought Territory | WTI traded overbought for the first time since Trump took office
上段:WTI先物、下段:WTI先物のRS指数(9日ベース)出所:ブルームバーグ

  トランプ氏がロシア石油制裁の可能性を示唆したことで、短期的な原油価格見通しはさらに押し上げられた。主要な限月スプレッドはこの先の需給ひっ迫を示唆し、北海ブレント価格に連動したデリバティブは急伸。同時にWTIの相対力指数(RSI、期間9日間)は、トランプ氏が大統領に今年就任して以来初めて、買われ過ぎの領域に一時入った。過去3週間の上昇局面が一服する可能性を示唆した。

  原油価格は1-3月(第1四半期)をほぼ変わらずで終えたが、途中の振れ幅は大きかった。地政学リスクや供給だぶつきの予想に加え、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」の増産にトレーダーは振り回された。生産拡大は今月始まる。イランやロシアへの制裁強化は供給を圧迫する可能性がある一方で、米政府による関税発動は世界経済の成長を鈍らせ、エネルギー需要を冷え込ませる恐れがある。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物5月限は、前日比28セント(0.4%)安い1バレル=71.20ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント6月限は0.4%下げて74.49ドル。

  ニューヨーク金相場は反落。過去最高値を更新した後、トランプ大統領の関税発表を控えてマイナス圏に転落した。

  金は今年のコモディティー(商品)市場の中でも特に堅調に推移し、1-3月は1986年以来の好成績を上げた。中央銀行による安定した購入に加え、地政学的およびマクロ経済的な不透明感が強まり安全性に逃避する動きが活発化した。

  ペパーストーン・グループのリサーチャー、クエーサー・エリズンディア氏は「金は歴史的高水準で第2四半期をスタートした」と指摘。「この異例の上昇相場をもたらしたのは、貿易・地政学の緊張激化に対する懸念の深まりだ」と述べた。

  不確実性が高まると投資資金は金に逃避することが多い。ブルームバーグのデータによれば、金を裏付けとする上場投資信託(ETF)の金保有高は、年初から6%余り増加し、前年まで4年間続いていた純流出から反転。合計で2023年9月以来の高水準となった。

  TDセキュリティーズのシニア商品ストラテジスト、ダニエル・ガリ氏によれば、中国人投資家が国内市場でETFを通じて金を購入。これも金相場の好調に寄与した。

  中国政府が保険会社に初めて金投資を認めたことも、国内センチメントを押し上げた可能性があるとガリ氏は指摘。中国保険大手が1%を振り向けるだけで、各国中銀による年間購入の約半分に相当する需要を生む可能性があると、TDでは推計している。

関連記事:中国の保険会社、最大4.2兆円の金投資可能に-試験プログラム始動

  金スポット価格はニューヨーク時間午後2時33分現在、前日比6.02ドル(0.2%)安い1オンス=3117.55ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は4.30ドル(0.1%)下げて3146ドルちょうどで引けた。

原題:Stocks Get Late Boost From Tech as Tariffs Loom: Markets Wrap(抜粋)

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