▽USスチールの行方、ラトニック氏が鍵握る-日鉄や物言う株主と協議
Joe Deaux
- ラトニック商務長官、日鉄やアンコラと過去1週間に相次ぎ会談
- 日鉄は買収完了した場合に追加で70億ドルの投資を提案-関係者
日本製鉄が買収提案しているUSスチールの将来を左右する重要な人物として、ラトニック米商務長官が浮上してきた。同氏は過去1週間、日鉄やアクティビスト(物言う株主)と会合を重ねてUSスチールへの投資などを競わせている。
事情に詳しい複数の関係者によると、日鉄は141億ドル(約2兆1000億円)でのUSスチール買収が完了した場合、追加で70億ドルの投資を行うと申し出ている。非公開情報であることを理由に関係者は匿名で述べた。
ラトニック氏はまた、USスチールの株式1%を保有し、同社の取締役会を刷新して新たな最高経営責任者(CEO)を指名しようとしているアクティビストのアンコラ・ホールディングス・グループとも会合を持った。アンコラは、日鉄との取引が破談になった場合にUSスチールに60億-70億ドルの投資を行う意向を示しているという。
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トランプ大統領はこれまで、USスチールが米国企業として残ることを望むと繰り返し述べている。USスチールを巡る問題でラトニック氏を政権内のキーパーソンに据えたことは、ディールメーカーでありたいというトランプ氏の強い意欲を示唆している。
ホワイトハウスと商務省はコメントの要請に応じなかった。USスチールからのコメントは現時点で得られていない。日鉄とアンコラはコメントを差し控えた。
関係者によると、トランプ氏からUSスチール問題の責任者を任されて以降、ラトニック氏は日鉄の森高弘副会長、USスチールのデービッド・ブリットCEOと会談した。森氏は1日午後に再びラトニック氏と会い、先週に提示した案をさらに引き上げる可能性があるという。
セマフォーは3月27日、日鉄がトランプ政権との協議の一環として、USスチールの製鉄所への最大70億ドルの投資を提示したと報じていた。
協議に詳しい関係者の話では、状況はまだ流動的であり、こうした動きがトランプ氏の考えを変えるかどうかは定かではない。

原題:Lutnick Fields Rival US Steel Bids From Nippon Steel, Activist(抜粋)