今朝の注目記事はこれ。「日経消費DI、3業種ともプラス22年ぶり 外食上向く、1月、物販・外食・サービスの業況判断指数」。日経新聞が定期的に行っている消費動向調査だ。1月度調査で、物販、外食、サービスの業況判断指数(DI)が小幅ながらそろってプラスになった。「3業種ともにプラスとなったのは約22年ぶり。昨秋の台風の影響で客足を落とした外食が上向いた。物販は訪日客や富裕層の需要増に加え、国内の中間層にも回復の兆しが見える」とある。政府がデフレ脱却宣言をするための条件の一つが消費の回復だ。これまで低迷していた消費に回復傾向が見えてきた。事実なら朗報だ。記事は「人手不足による人件費増を背景に値上げに踏み切る外食企業が目立つが、消費者の抵抗感は弱まっているようだ」としている。
記事によると、調査対象となっている14業種のうち「百貨店」「コンビニ・ミニスーパー」「外食」「旅行・運輸」など8業種で業況判断が改善した。昨年10月度の調査でプラスマイナスゼロだった「百貨店」は18ポイント改善。マイナス圏だった「コンビニ・ミニスーパー」はプラスマイナスゼロに戻った。前回マイナス18と大きく落ち込んだ「外食」は、台風の影響が無くなりプラス4に回復した。昨年10月に全品280円から298円に値上げした居酒屋チェーンの「鳥貴族」は、昨年11~12月の既存店売上高がプラスに転じた。生ビールなどを値上げした「つぼ八」も「消費意欲はおとろえていない」と強気だ。こうしたことを受けて日経新聞は値上げに対する消費者の抵抗は「弱まっている」と判断しているようだ。
ただ、「食品や日用品など生活必需品に対する低価格志向はなお根強い」ともある。こうした動きを映して「良品計画」や「イオン」など「コンビニ・スーパー」では依然として値下げ志向が続いている。人手不足で値上げに踏み切る「外食」、企業努力で値下げを追い求める「コンビニ・スーパー」、両者の対応の違いは顕著だ。どの業態も必死に企業努力をしているはずで、どちらが良いとか悪いという話ではない。値下げして企業経営が成り立つところに日本経済の「強さ」と「弱さ」がある。ただ、値下げは永遠には続かない。消費者もそこに気がつき始めている。「外食」で値上げが浸透するのは、値上げが近い将来の所得拡大につながることを見越した賢い消費者が増えていることを暗示しているのではないか。逆に言えば値下げは“消費者不信”の表明でもある。