5日、イタリア総選挙の投票から一夜明け、ミラノで記者会見して笑顔を見せる「同盟」のサルビーニ書記長(EPA=時事)

【ローマ時事】4日投票のイタリア総選挙は5日、開票が続いた結果、野党・右派連合を構成する欧州連合(EU)懐疑派「同盟」(旧北部同盟)のサルビーニ書記長(44)が「政権を担う権利も義務もある」と述べ、事実上の勝利宣言を行った。続いてEU懐疑派新興政党「五つ星運動」のディマイオ首相候補(31)も「政権を担う責任を感じている」と対抗して勝利宣言した。

複数の政党の連合体で考えれば右派連合が最大勢力、政党別で見れば五つ星が第1党の勢いで、双方が勝利を主張して譲らない。一方、ANSA通信によると、与党・民主党のレンツィ前首相(43)は選挙結果を受けて党首(書記長)を辞任すると表明した。

5日、ローマで記者会見し、笑顔を見せるイタリア新興政党「五つ星運動」のディマイオ首相候補(AFP=時事)

国営イタリア放送協会(RAI)が同日朝(日本時間同日午後)の段階で伝えた推計では、両院とも右派連合が首位となった。ただ、過半数に届く勢力はない。各党は新政権樹立に向けた連立協議を本格化させる。

RAIによると、上院(改選定数315)の予想獲得議席数は、開票率56%の段階でベルルスコーニ元首相(81)のフォルツァ・イタリアや同盟などを合わせた右派連合が128~140。一方、五つ星は109~119で、政党別では最も支持を集めている。これに対し、民主党を含む左派連合は47~55と劣勢。親EU派が失速し、EU懐疑派が躍進する形となり、EUに批判的なフランス極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首は「EUは長い夜を過ごすことになる」とツイッターに書き込んだ。
下院(同630)も、上院と傾向は変わらない。