アメリカのトランプ大統領が今週にも発動を決めるとしている、鉄鋼製品などに高い関税を課す異例の輸入制限措置に対して、国内外で反発が広がっていることについて、ロス商務長官は、貿易戦争は求めていないとしながらも、貿易赤字を削減するためにこの措置が必要だという考えを改めて強調しました。

トランプ大統領が今週にも発動を決めるとしている、鉄鋼製品などに高い関税を課す異例の輸入制限措置をめぐっては、各国からの反発に加え、アメリカ国内でも与党・共和党や産業界などから慎重な対応を求める声が相次いでいます。これに対してアメリカのロス商務長官は7日、CNBCテレビのインタビューで、「われわれは世界経済を壊す意図はない」と述べ、貿易戦争は求めていないと説明しました。

そのうえでロス商務長官は、カナダとメキシコに対して、NAFTA=北米自由貿易協定の再交渉が合意すれば、措置の対象から外すなど、柔軟な姿勢を示していると説明しましたが、貿易赤字を削減するためにこの措置が必要だという考えも改めて強調しました。一方、この措置の発動をいつ決めるかについて、アメリカの一部メディアは、現地時間の8日にも発表する見通しだと伝えています。

米報道官 国ごとに対象から外す例外措置も

米報道官 国ごとに対象から外す例外措置も
ホワイトハウスのサンダース報道官は、7日に開いた記者会見で、「安全保障の観点から、メキシコとカナダを例外とする措置がありうる」と述べ、NAFTA=北米自由貿易協定の再交渉を行っているメキシコとカナダについては対象から外す可能性を示唆しました。

そのほかの国についても、サンダース報道官は「ケースバイケースで国ごとに安全保障の観点から例外となりうるかどうか決めるだろう」と述べ、対象から外れる国がさらに増える可能性もあるという考えを示しました。そのうえで、トランプ大統領は今週末までに措置の発動を正式に決めるという見通しを示し、今後は日本などの同盟国が対象に含まれるかどうかが焦点になります。

米主要経済団体が反対の声明

アメリカの主要経済団体「全米商工会議所」のドナヒュー会頭は7日、鉄鋼製品などに高い関税を課す異例の輸入制限措置に反対する声明を発表しました。この中で、ドナヒュー会頭は「貿易戦争の可能性がますます大きくなっていることを強く懸念している。各国から輸入される鉄鋼やアルミニウムに新たな関税を発動しないよう求める」として、今回の措置に反対する考えを強調しました。そのうえで、「この新たな関税は、多くの貿易相手国から報復措置を招いて、アメリカの製造業に損害を与えるとともに、中国による鉄鋼やアルミの過剰生産という問題の解決にもつながらない」と厳しく批判しています。