• 辞任劇が「実際に起きるとは信じられない」-パーブス氏
  • 「貿易戦争発生の確率は劇的に高まった」-オローク氏

トランプ大統領の経済顧問トップであるコーン国家経済会議(NEC)委員長が貿易戦争の兆候が増す中で辞任し、政権は安定への鍵を失ったとの見方から金融市場ではつかの間の平穏が終わった。米国株は6日に続伸したが、先物は上昇分を削る勢いだ。元ゴールドマン・サックス・グループ幹部のコーン氏のNEC委員長辞任で、トレーダーは金融市場に再び混乱が訪れることを確信している。米国債利回り上昇と保護主義のリスクで、株式ボラティリティーは過去1カ月で急上昇していた。

ウィーデンの主任グローバルストラテジスト、マイケル・パーブス氏は「実際に起きるとは信じられない。今朝、コーン氏辞任は真剣に考えておくべきリスクと書いたばかりだ。可能性としては35%程度と考えていた。トランプ氏がこれを発生させてしまうなんて、びっくりだ」と電話で述べた。

 

ジョーンズトレーディング・インスティチューショナル・サービシズのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オローク氏は「トランプ政権で起きた辞任の中で、今回が市場にとって最も大きな意味を持つ一つになるだろう。コーン氏は政権当局者として、金融市場が最も信用する人物だったからだ。辞任によって、全く新たな不透明感が生まれる環境が開けた。貿易戦争発生の可能性は劇的に高まった」と述べた。

S&P500種株価指数先物はニューヨーク時間6日午後7時43分(日本時間7日午前9時43分)現在、1.4%安。同先物は0.88%安で取引を開始し、オープン直後としては2015年6月以来の大幅下落。ダウ平均の先物は400ポイント余り下げて1.6%安。ナスダック100指数の先物は1.4%安。

楽天証券のオーストラリア部門で最高執行責任者(COO)を務めるニック・トワイデール氏はコーン氏について、「トランプ政権を落ちつかせる影響力を持つ人物だと多くの人がみていた。辞任によって、トランプ政権は強硬姿勢がよりむき出しになり、一段と保護主義を強めるのではないかとの見方がある」と指摘した。

コーン氏はS&P500種を1月に大きく押し上げた米税制改革にも深く関わったため、株式市場でも辞任を惜しむ声が挙がっている。スティーフル・ニコラスのチーフ株式ストラテジスト、バリー・バニスター氏は「コーン氏の偉大な功績は税制改革にあった。海外の低めの法人税率に対応し、米法人セクターを競争力のある立ち位置に戻した」と語った。