• クドロー氏、金融当局は「やり過ぎないようにしてほしい」と発言
  • 現委員長のコーン氏は金融当局の独立性を尊重する姿勢を打ち出す

トランプ米政権ではこれまで、米金融当局の独立性と金融政策運営を尊重する良き理解者として、コーン国家経済会議(NEC)委員長が経済司令塔の役割を果たしていた。だがコーン氏の後任として、エコノミストで経済専門局CNBCのコメンテーターのラリー・クドロー氏にバトンタッチされることで、状況が一変するかもしれない。

クドロー氏は14日、CNBCとの1時間余りに及ぶインタビューで、米景気拡大について「お願いだから勢いに任せてほしい」と発言。「市場の機能は自律的だ。金融当局はやるべきことをやるだろうが、やり過ぎないようにしてほしい」と語った。発言の最後の部分が利上げに言及したものであるのは明らかだ。2015年12月以降、計5回にわたって政策金利を引き上げてきた米金融当局は、20、21両日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを決めると予想されている。

クドロー氏は、金融当局がインフレ動向の分析に誤った経済モデルを用いており、いずれの方向にも物価に影響を及ぼす能力を欠いているとして過去1年間にわたり政策批判を展開してきた。最大限の雇用に加え、物価安定の実現を責務する当局にとって手厳しい一言だ。一方、イエレン前連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任候補として一時最有力と目されたコーン氏は、利上げ観測についてFOXニュースで昨年問われた際、「連邦準備制度は独立政府機関であり、そうのように運営されている」と答えていた。

金融当局を巡る発言にこのようにもっと慎重なトーンを打ち出していたコーン氏と比較すると、クドロー氏の見解は相違が際立つ。クドロー氏がNEC委員長に就任後も米金融当局への批判を続けるようであれば、それは重要な意味を持つと考えられる。トランプ大統領はかつて、自分は「低金利を好む」人間だとコメントしている。

クドロー氏は昨年7月に、イエレンFRB議長(当時)は利上げに関して「自制」を示すべきだと述べている。減税の効果が表れ景気が加速し、実質金利が上昇してから追随すればよいと指摘していた。