ロシアのラブロフ外相はNHKなどのインタビューに応じ、日本がアメリカから導入する地上配備型の新型迎撃ミサイルシステムが、北方領土問題を含む平和条約の締結交渉を前進させるうえでの障害になっている、と指摘しました。そのうえで、北東アジア周辺の安全保障問題はロシアも含めた多国間の対話によって解決すべきだという考えを強調しました。ロシアのラブロフ外相は21日に日本で河野外務大臣と会談するのを前に、15日、NHKなどのインタビューに応じました。

ラブロフ外相は「日本とロシアが戦略的かつ友好的な関係を拡大するという目標に向かって前進するためには、アメリカのミサイル防衛システムが日本に配備される問題も検討しなければならない」と述べ、日本がアメリカから導入する地上配備型の新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」が、北方領土問題を含む平和条約の締結交渉を前進させるうえでの障害になっている、と改めて指摘しました。

そのうえで「北東アジアを含めた地域の安全保障問題は、日米などの同盟だけで解決すべきではない。すべての関係国が1つのテーブルについて交渉を始めることが大事だ」と述べ、ロシアも含めた多国間の対話によって解決すべきだという考えを強調しました。

共同経済活動 さらに大規模事業の検討必要

日本が平和条約の締結に向けた環境整備のためにロシア側に提案した、北方領土での共同経済活動のうち、海産物の養殖や温室野菜の栽培など優先的に取り組む5つの事業については「規模がそこまで大きくない」と述べ、さらに大規模な事業を検討する必要性を指摘しました。

そのうえで、共同経済活動を実施するにあたって、日本が両国の法的立場を害さないための特別な制度を求めていることについては「必要がない」と述べ、小規模の事業であればロシアの法律に従って実施すべきだという考えを示しました。

北朝鮮への圧力維持「適切でない」

5月までに開かれる見通しの米朝首脳会談については「希望を感じている」と期待を示しました。その一方で「トランプ大統領が、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長と会談しすべての問題を解決する用意があると言ったが、同時にアメリカは北朝鮮に対して圧力を継続しなければならないと表明した。これは適切ではない」と述べ、前向きな動きがあるにもかかわらずアメリカが北朝鮮に対して制裁と圧力を維持する方針を掲げていることは、適切でないと批判しました。